1,新型コロナ対策について
(1)県の広報のあり方について
【中川】新型コロナ第5波は、これまでに比較して異次元と言ってもいいような感染拡大となりました。そこで、第5波を振り返りながら新型コロナ対策について質問をいたします。
最初に知事にお伺いします。ワクチン接種をしても感染防止を行わなければならない理由や、第5波において職場や家庭でどのような状態で感染が拡大しているのか、そしてその対策などについて、知事は記者会見で何度も県民に説明をしていますし、街頭でもお話をしています。しかし県民の皆様にお聞きするとなかなか伝わっていないという印象があります。新型コロナ対策について、補正予算もつけられていますが、何を、どのように県民に周知し、どのような効果を求めていくのか知事のお考えをお聞きします。
【知事】広報予算に関連して、何をどのように県民に周知し、どのような効果を求めていくのかという御質問であります。
これまでも様々、必要な情報を県民の皆様方にしっかりお伝えしようということで情報発信に努めてまいりました。
今回、今後に向けてでありますけれども、先ほども申し上げたように、これからの大きな波を防いでいくということがまず第一に重要な課題でありますので、感染拡大防止を徹底するための集中的な呼び掛けを考えていきたいと思っております。
また併せて、現在ワクチン接種が進んでいるわけでありますけれども、まだ若年層の皆さんにはこれからという段階でもございます。まずワクチン接種の有効性、そして副反応、リスク、こうしたことについての正しい情報提供も行っていきたいと思っております。
また、暮らしや産業に対する支援策、なかなか必要な方に届いていないという御意見も頂いておりますので、わかりやすい周知を行っていきたいと考えております。
市町村、関係機関・団体の皆様方にも御協力いただきながら、適切な媒体を用いて、創意工夫をしながら、効果的な情報発信に努めていきたいと考えております。
【中川】ぜひ伝える広報から伝わる広報ということを念頭に置いて取り組んでいただきたいと思います。
(2)ワクチン接種で行動制限の緩和をする件について
【中川】9月20日から22日までに群馬の病院で、25人中24人がブレイクスルー感染したことでクラスターが起きています。ワクチン接種済であることや検査での陰性をもって行動制限を緩和するという方針が政府で議論されていますが、ブレイクスルー感染や検査後の感染など、ワクチンを接種していたり検査で陰性でも感染を拡大させる可能性があります。また、ワクチンを接種しないことで解雇されたり、ワクチン接種済でないとイベントに参加できない等の事例があると聞いており、ワクチン非接種者への差別を助長することになるのではないかと考えます。
こうした問題をふまえた上で、ワクチン接種や陰性証明で行動制限を緩和することについての見解と、どのように県として行動制限の緩和を行っていくのかを伺います。
また、ワクチンを接種できない方、希望しない方が差別、誹謗中傷を受けないためにどう取り組んでいくのか、知事に伺います。
【知事】ワクチン接種や陰性証明で行動制限を緩和することについての見解と、どのように県として行動制限の緩和を行っていくのかというご質問でございます。
国が示したワクチン検査パッケージは、緊急事態措置区域あるいはまん延防止等重点措置区域における行動制限の緩和という点が主眼に置かれています。
まだ具体的な内容はわからないので、確たる方向性が見えづらいところがありますけれども、私どもとしては長野県は、東京都等と違って緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置がずっと講じられているような県ではありませんので、必ずしも同じような扱いだけではいけないのではないかというふうに思っております。
ワクチン接種の推進であったり、あるいはその感染拡大の抑止ということにも活用できないかという観点で、幅広く検討していきたいというふうに思っております。
ワクチン接種等を踏まえた経済活動活性化検討会を設置させていただいておりますので、海外あるいは他の都道府県の実例、あるいは民間の皆様の取組、こうしたものも参考にしながら多面的に検討を行っていきたいと考えております。
【中川】行動制限の緩和については、ぜひとも科学的知見に基づいた対応をお願いしたいと思います。
(3)ワンヘルス(人獣共通感染症)について
【中川】次に、健康福祉部長にお伺いします。これまでのインフルエンザなどの感染症では家畜や野生鳥獣から人へ感染する人獣共通感染症が確認されています。新型コロナが今後、どのように変異していくのかは分からない中で、新型コロナウイルスや2009年のパンデミックインフルエンザウイルスが人から家畜やペット、動物園動物に感染した事例も知られていることから、家畜・野生鳥獣への対策とともに、健康福祉部としても新型コロナを含め新興感染症対策としてワンヘルスの立場から獣医師との連携を強化しておく必要があるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
【健康福祉部長】人獣共通感染症対策としての獣医師との連携が必要ではないかとご指摘をいただきました。
全ての感染症のうち、約半数は、動物から人、人から動物へと伝播可能な人獣共通感染症だと言われております。
新型コロナウイルスにおきましても、人からイヌ、ネコ、ミンクなどにも伝播し、ミンク間での流行により変異したウイルスが、再び人に感染した事例が海外で報告されております。
こうした中で、ご指摘のとおり、人、動物、環境の衛生に携わる方たちが連携して取り組む、ワンヘルス(One Health)という考え方が世界的に広がってきておりまして、国においても、医学や獣医学といった分野間の連携を推進しているところでございます。
県といたしましても、今後発生しうる新興感染症の予防・探知・治療等に効果的に取り組めるよう、国の取組等も踏まえながら、獣医師や関係機関との連携について研究してまいりたいと考えております。
(4)ウイルスやワクチンの効果についての科学的な説明について
【中川】国や県が推奨する感染対策が行われていても感染が拡大している事例は見受けられるのでしょうか、ワクチンを打たれた方からの感染はあるのかお伺いしたうえで、なぜワクチンを接種しても感染するのか、どのようにウイルスは変異をするのかなどについて、科学的な説明が県民の行動変容につながっていくと思われます。見解をお伺いします。
【健康福祉部長】感染対策が行われていても感染のあった事例など、そういったことの科学的な説明が必要ではないかとのお尋ねを頂戴いたしました。
国や県が推奨いたします感染対策を行っていても感染が生じた事例としては、一例として申し上げますと、マスクの着用に関する分析を行って公表したことがございます。
調査対象となった陽性者は全員、外出時にはマスクを着用し感染対策を行っておりましたが、そのうちの約9割に当たる人は、食事や休憩の場面で、マスクを外して会話等をしていたことが分かっております。
また、ワクチンを接種しても陽性となる事例は一定数ございまして、そこから同居者等に感染した事例も生じております。
議員ご指摘のとおり、こうしたワクチンを接種しても感染が生じることでありますとか、ウイルスの変異のメカニズムなど、新型コロナウイルス感染症に関する科学的な知見を分かりやすい形でお示しすること、さらには県内で発生した具体的な事例をお伝えしていくことは大変重要と考えております。今後も適時適切な情報提供・情報発信に努めてまいりたいと考えております。
【中川】健康福祉部長から、ワクチンを打った方からそのほかの方に感染の事例があるとお聞きしました。どの程度あるのでしょうか。
【健康福祉部長】先ほどワクチンを2回接種済みの方が感染し、さらにそこから感染された方がどのくらいいらっしゃるかというご質問をいただきました。3名いらっしゃるとのことでございます。
(5)自宅療養について
【中川】首都圏では自宅療養中に死亡する例が報道されていますが、県はどのような医学的基準で入院、宿泊療養、自宅療養と振り分けられているのでしょうか、また自宅療養のための注意事項の内容も含めて県民に知らせることが必要ではないでしょうか。自宅療養・宿泊療養中で、容体が急変し入院されている方が長野県内では1割いると聞いていますが、振り分け診察がきちんと行われているのだろうかと感じますが1割という数字をどう捉えていますか。
【健康福祉部長】入院、宿泊療養、自宅療養の医学的な振り分け基準についての御質問でございます。
本県の振り分け基準については、国の法令、通知を基に新型コロナウイルス感染症対策専門家懇談会に諮った上で定めたところでございますし、これに従って感染症指定医療機関等の医師と保健所により振り分けを行っています。重症・中等症の方はもとより、基礎疾患を有する方等については原則として入院としているところです。
入院が不要とされた方については、原則として宿泊療養としていますが、例外として、小児は、日本小児科学会の見解に基づき、自宅療養を基本としているほか、同居家族のいない自立生活可能な独居者等も自宅療養が可能としているところです。
次に、自宅療養に際しての注意事項については、療養者に対しては詳細な説明を行っておりますが、一般の方に対しても厚生労働省のホームページ等の様々な媒体によって広く周知されており、県としても周知に努めてまいりたいと考えております。
次に、容体急変により入院される方が1割いらっしゃることについての御質問でございます。
新型コロナウイルス感染症は、発症後、数日間経過した後、症状が増悪する可能性があるとされており、振り分け診察の時点で医師が適切に判断したとしても、一定の割合でそうした方が出てくることは十分想定されるところです。
こうした新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえると、健康観察を毎日実施し、症状が増悪した場合に直ちに入院できる体制をとることが最も重要であり、本県では第5波においても、そうした対応をしてまいりました。
なお、9月中旬から、振り分け診察の段階で必要な方に対して抗体カクテル療法を実施してきており、今後、療養中に症状が増悪する方の割合は低下してくるのではないかと考えております。
(6)自宅・宿泊療養者・濃厚接触者のPCR検査を
【中川】宿泊療養者、自宅療養者、濃厚接触者は、10日から2週間ほど療養・待機が求められていますが、解除の際PCR検査を受けて陰性を確認することが必要ではないでしょうか。
【健康福祉部長】宿泊療養者、自宅療養者の療養解除の際のPCR検査についての御質問でございます。
新型コロナウイルス感染症は、発症日から日数が経過するに従ってウイルス量が急速に減少し 他者への感染力が極めて小さくなるとされています。
こうした知見を背景に、国の基準では、宿泊療養・自宅療養については、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合に療養を解除することとしており、必ずしもPCR検査が必要とされていないところです。
なお、本県においては、療養解除に当たっては、医師や保健所など医療保健関係者による健康状態の確認を経た上で解除しております。
また、濃厚接触者については、陽性者との最終接触日から14日間、自宅待機を行っていただいているところです。
これらの方には、全員にPCR検査を実施し、陰性を確認しておりますし、その後に健康観察も実施していることから、14日間の経過とともに自宅待機を終了することが適切であると考えております。
(7)抗体カクテル療法について
【中川】治療薬として期待されている抗体カクテル療法ですが、国が一括管理して無償で医療機関へ振り分けていると聞いています。長野県内では30の病院が登録されているということですが、どのような使われた方がされているのか、県民に周知すべきではないでしょうか。また、必要数は確保されている状況でしょうか。
【健康福祉部長】抗体カクテル療法は、重症化リスク因子のある、酸素投与が必要のない軽症から中等症の患者を対象に、原則入院治療により実施されているところです。
本県では、医療機関でいわゆる振り分け診察を行う際に、抗体カクテル療法の必要性を判断していただき、必要な場合にはその際に実施するなど、重症化の予防のために積極的に活用をしているところです。
また、本県では、抗体カクテル療法に使用する中和抗体薬は、約30の医療機関にあらかじめ在庫として配置しておりまして、それ以外の医療機関にも、要請に応じ、国から必要な薬剤供給が行われています。
この治療法は、新たな治療法でもございますので、どのような場合に、どのような方を対象に行われるか、また、高い効果が認められることなど、県民に対して適切な情報の周知に努めてまいります。
(8)ワクチンの接種状況について
【中川】現在ワクチン接種の進捗状況は、ほぼすべての市町村で8割の方に接種ができる状況だと聞いています。しかし、一部の市では供給がないため10月の接種計画が立たないとも聞きましたが、対応はできているのでしょうか。
【健康福祉部長】県内のコロナワクチンの供給状況については、先ほど清水議員のご質問にお答えをさせていただいたところでございますけれども、ファイザー社製ワクチンにつきましては、10月4日の週までには、12歳以上の対象人口に対しておおむね8割を供給できる見通しであり、モデルナワクチンを加えると9割というところが見込まれるという状況でございます。
ただし本県では人口規模の小さな町村に比べると大きな市への供給は比較的遅れている状況が認められるところでございます。
県では市町村に対して今後の接種計画も含めて状況を丁寧に聞き取りをし、接種完了を迎えた余剰が見込まれる市町村から不足している市町村にバイアル単位で融通をするなどの取り組みを行っております。
10月4日の週以降の供給についてはまだ国が明らかにしていませんけれども、引き続き必要量を要望して、市町村の接種計画に支障がないように努めてまいりたいと考えております。
(9)子どもの感染等による親の休業支援を
【中川】昨年の緊急事態宣言下での休校・休園時には保護者への支援が行われましたが、今後子どもたちの感染による休園・休校に伴い、親が仕事を休みやすい体制をつくっておくことが必要ですが、どのように支援をしていくのでしょうか。
【産業労働部長】子どもの感染に伴う保護者の休暇取得制度につきましては、去る9月7日に、厚生労働省から、保育園や小学校等の保護者を対象とする「小学校休業等対応助成金・支援金」の再開が発表されたところでございます。
制度内容は近日中に公表されるとお聞きしておりますが、仮に昨年度と同様であれば、子どもの世話を保護者として行う労働者に対して有給休暇を取得させた事業主に対して、助成金が支給されることが見込まれております。
県といたしましては、詳細が決まり次第、制度を所管する長野労働局と連携し、事業主への周知を図るとともに、産業・雇用総合サポートセンターにおいて相談に応じるなど、必要な支援に努めてまいります。
(10)疫学調査における事業者支援について
【中川】飲食店の事業者が濃厚接触者となり、疫学調査で2週間自粛を求められた場合にも、協力金的な支援を行うべきではないでしょうか。
【産業労働部長】議員ご指摘のとおり、飲食業の方が濃厚接触者となり、不要不急の外出自粛を求められた場合、従業員の方には、休業手当等の制度があるものの、事業主には、それに特化した支援策はございません。
こうした状況は、全国共通のものだと考えられますので、今後、国に対して、支援の制度化を要望してまいります。
なお、県としましては、感染症第5波の影響により、8月または9月のいずれかの売上が50%以上減少している中小事業者に対して、特別応援金第2弾を支給するべく、現在、準備を進めているところでございます。
(11)環境機器導入支援について
【中川】新型コロナに対応した様々な環境機器が出回っています。県はCO2センサーの補助をしていますが、ウイルスを不活化することが大学などで証明されている空気清浄器や、抗ウイルスコーティングなどにも支援を行なってほしいという要望がありますがいかがでしょうか。
【産業労部長】飲食業を対象とした、CO2センサーの無償配布については、現在、申請を受け付けており、これまでに7千を超える店舗から希望を頂いております。
当事業は、デルタ株の感染拡大を背景に、第三者認証に関する国の通知において、CO2センサー等により確認しながら換気の徹底を行うことを認証基準とするよう求められたことを踏まえ、実施しているもの。
現在、新型コロナウイルスの消毒・除菌の効果に関しては、経済産業省の要請に基づき、独立行政法人 製品評価技術基盤機構が国立感染症研究所、学校法人北里研究所等と共同で、有効性の評価を行っております。これまでに、アルコール消毒や次亜塩素酸水等が示されている一方で、空気清浄機や抗ウイルスコーティングに関しては、有効性等が未だ示されていない実情です。
こうしたことから、当面はCO2センサーの普及を進めつつ、新たな対応については、国の専門的な見地からの見解を踏まえ、考えてまいります。
(12)新型コロナ療養者の避難先について
【中川】新型コロナ療養者の避難先の確保を市町村に要請していると聞いていますが、現状確保された市町村はどのくらいあるのでしょうか。確保できない市町村に対して県はどのような支援を行うのでしょうか。
【危機管理部長】新型コロナウイルス感染症の自宅療養者の速やかな安全確保と、避難所における感染拡大防止のためには、県と市町村が連携して、自宅療養者の避難の確保を図ることが重要であると認識しています。
そのために、本年8月には、市町村に対して自宅療養者の避難先の確保について要請を行うとともに、9月からは、市町村において適切な避難所運営が可能となるよう、自宅療養者の情報を市町村と共有し始めたところです。
現在、自宅療養者がおられる市町村を中心に、約3分の1の市町村で避難先を確保している状況です。
これから台風シーズンを迎えるにあたり、検討中の市町村に対しては、自家用車による避難を含め、速やかに避難先を確保していただくよう依頼しているところであり、また、県としても、県有施設の避難所としての活用の検討や、避難所運営、感染対策への助言など、必要な支援を行ってまいります。
【中川】自宅療養者の避難先として、県の宿泊療養施設を使うことができないのかあらためてお聞きします。
【危機管理部長】自宅療養者の避難先として、宿泊療養施設を利用できないかとの御質問でございますが、災害には、地震のような突発的な災害と事前に風水害の恐れがある場合があります。このうち、風水害が事前に予想される場合には、宿泊施設での受入れができるよう、空室の確認や移送について調整し、可能な場合は、宿泊療養施設を利用することを想定しています。
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