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20210904 信州社民ネット講座 コロナ禍における貧困の現場と労働問題

2021-09-08 00:22:18 | 雇用労働・産業

コロナ禍における貧困の現場と労働問題について、毎日新聞社会部専門記者東海林智さんにお話を聞きました。(以下抜粋)

■リモートワーク対象にない非正規、広がる流動性

現状では、流通や飲食を含め、対面するような仕事はほとんどが非正規が担う。バックヤードの正社員はリモートワーク。

そうした状況にありながらいったん休業などになれば、当初は多くの非正規は雇い止め(100万人超え=正社員含む)、休業補償なしの休業を強要された。

■シフト制という働き方の問題点が鮮明に

シフト制とは、本来は所定の労働時間(週30時間、月100時間など)が規定され、それを使用者が月単位あるいは週単位で労働日を指定するというやり方。これは法的に規定されている訳ではないが、「ふわっと認められている状態」(厚労省)だという。何時間働くという労働条件を明示していないので、労働契約法に違反する可能性が高い。

■シフト制で起きていること

コロナ禍で休業を強いられた時、企業は正社員に関しては国の制度も利用して休業補償を行ったが、非正規のシフト制で働く労働者については、労働時間はシフトを指定することで初めて確定するので、休業補償の対象となるのは、確定したシフト分だけとの考え方で対応。

■シフト制が拡大するのはなぜか

シフト制は、労働力のジャストインタイム。必要な時に必要なだけ使える、都合の良い労働力である。しかし、いったん大きな事態があれば、あっという間に仕事をなくし、補償もなく放り出される。今回の事態の一つの特徴でもある女性の困窮につながっている。

さらにシフト制は、シフトに入れる量を調整することで、労働者を自由にコントロールできる。有給が欲しい、補償を求めるなど、労働者の権利を行使しようとする労働者はシフトを削減する。シフトを全く入れないことで、解雇せずに労働者が離職することを待つ、労働者の奴隷化である。

■もう、一方で個人請負の拡大=ウーバーは究極の自転車操業=

ウーバーイーツなどに代表される個人請負の働き方もコロナ下で広がった。個人請負で働く人は、その名の通り、自営業者であり労働者ではない。その仕事をする上でのすべての責任は自営業者にある。配達中に交通事故にあっても、労災補償はない、仕事のために何時間費やそうが最低賃金の保障もない。

健康メーカータニタのように、正社員で採用した後、経理や営業事務などやっていた仕事を次々と個人請負させるシステムが始まっている。

■いつの間にか日雇い派遣が大復活

コロナ自粛当初、日雇い派遣が多く働く現場(特に運送、運輸の現場)で動きが止まり、仕事がなくなっていく、製造業の日雇い派遣も広がる。ネットカフェを寝場所に派遣労働をしていたいわゆるネットカフェ難民に仕事がなく、ネットカフェにも泊まれない状況が出てきた。緊急事態宣言でネットカフェまでが営業自粛を迫られるようになった。さすがに、宿泊所としてビジネスホテルが準備されたが、ビジネスホテルに宿泊しながら、派遣の仕事がある日は外に仕事に行くなどして、なんとか生き延びる。

■犯罪組織に直結した不安定雇用

コロナで仕事がなくなり、収入の道が途絶え、犯罪組織につながってしまった例。入り口は「闇の職安」①女性派遣労働者のケース。販売業務などの派遣をしていた21歳の女性、コロナの緊急事態宣言の前ぐらいから、徐々に仕事がなくなり、埼玉県内のアパートの家賃5・4万円が払えなくなる。滞納が数ヶ月続く中で追い出しの通告を受ける。「高収入」「即金」などでネットで検索。「闇の職安」の入り口にたどりつく。そこで紹介された仕事は特殊詐欺の受け子だった

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