5月3日の安倍首相の憲法改正発言を受けて、これをどう考えるのか信州大学の成沢孝人教授が問題提起を行いました。
安部首相の発言について
安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。改憲項目として、戦争の放棄を定めた9条に自衛隊の存在を明記した条文を追加することと、高等教育の無償化を定めた条文の新設を挙げた。(5月3日朝日新聞)
最初に高等教育の無償化について・・・憲法は高等教育の無償化を禁じてはいないので法律でいつでもできる。憲法9条1項2項を残して3項に自衛隊の存在を明記する意味は・・・新安保法制の違憲性をなくすため。従来の自衛隊に関する政府見解は、戦力に至らない実力組織。したがって集団的自衛権は認められないとしてきたが、2014年閣議決定で限定的な集団的自衛権を認めた。これにより新安保法制で自衛隊が海外で武力行使ができるように変わった。これを追認し9条2項を実質的に無力化することになる。
私たちは何を訴えるべきか・・・「ミサイルがとんできたらどうするのか」「ほかの国が攻めてきたらどうするのか」という議論に対して、「反撃をしたときの犠牲者と非武装の抵抗とどちらが犠牲者が少ないか」「軍事論として、自衛隊が国民を守ることが本当にできるのか、アメリカが本当に日本を守るのか」「国民を守ることを自衛隊だけにまかせていいのか」「攻められない平和外交」「自衛隊員の命を守る」ことなどが会場参加者との意見のやりとりのなかで出された。
私の考え・・・おりしも韓国において朝鮮民主主義人民共和国と対話で緊張感をなくし経済的な協力を進めようとする文在寅(ムンジェイン)新大統領が誕生した。金大中(キムデジュン)大統領、盧武鉉(ノムヒョン)大統領に続く革新大統領であり韓国の民主化運動の代表である。日本が侵略戦争を行いその結果として朝鮮半島の分断があることを考えれば、日本の外交は朝鮮半島の緊張をなくすことにこそ力をいれる義務がある。昨年韓国を訪れて従軍慰安婦問題について、日本では矮小化して報道されているが、韓国の国民は「日本政府から正式な謝罪もない日韓合意は許されない」という考えが多いことを知った。セゥオル号の沈没事件でも「真実を引き揚げろ」という運動が行われていて、韓国の民主化運動がこれから大きくなっていく予感がありました。すでにソウル市長は民主化闘争のリーダーであるパクウォンスン氏に変わっていて、民主的な市政運営や格差是正の非正規労働者の正規化などの政策が進められていた。朝鮮半島の緊張を和らげ、憲法を改悪し無駄な軍事力拡大路線を突き進まなくてもいい日本の外交政策の転換のチャンスであり野党は、この点でも共通の政策を合意する必要がある。そして安保法制廃止、共謀罪反対の運動を朝鮮半島の緊張をなくす平和外交を本気ですすめる外交政策への転換を求める運動を、韓国の民主化運動をすすめる皆さんとも連携をして行う国際運動にしていく市民運動の強化も求められている。また、5月9日は松本の日中友好協会の総会も開催され日中間の諸問題を「民から官へ、経済から政治へ」影響を拡大することで解決していこうという問題提起もあった。日米安保だけではない、北東アジアの非核化を含め多国間の安全保障体制を構築することが現実的な日本の平和をつくるということも付言しておきたい。
5月9日毎日新聞
参照:ソウル市行政視察
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