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京都府「公契約大綱について」

2012-03-30 12:48:20 | 雇用労働・産業
平成24年3月29日第5回京都府入札制度等評価検討委員会提案

公契約大綱(案)
 はじめに
 京都府は、公契約の発注者としての立場から、「公正な競争」、「地域経済への配慮」、「安心・安全の確保」のバランスがとれた入札契約制度を構築し、公共調達に求めら
れる社会的要請に応えていく必要があります。
 この公契約大綱は、そうした観点に立ち、公契約の基本理念とともに、発注者として主体的に取り組む具体的な内容を、府民の皆さんに分かりやすく示すものです。
これまでの京都府における入札制度改革の経緯を踏まえ、今回は、建設工事を中心として、具体的な取組を取りまとめました。
 今後、社会経済情勢に即応して、柔軟に、かつ、迅速に見直していくこととしています。
(注)この大綱において「公契約」とは、京都府の代金支払いの原因となる府が締結する契約とします。

Ⅰ 目的
 この大綱に基づき、公契約の適正化を進めることにより、公契約に対する府民の信頼を確保し、府民福祉の増進及び地域経済の健全な発展に寄与します。

Ⅱ 基本方針
 公正な競争の下で公共調達を行い、地域経済の活性化や府民の安心・安全の確保を実現するため、次の事項を公契約の基本とします。
◇入札及び契約の過程での透明性の確保
◇談合その他の不正行為の排除
◇健全な競争、品質及び価格の適正の確保
◇地域における雇用、経済効果への配慮
◇地域の安心・安全の確保
◇技術と経営に優れ地域に貢献する優良企業の評価
◇暴力団排除の徹底及び不良不適格業者の排除

Ⅲ 府が取り組むべき内容
上記Ⅱの基本方針に基づいて、公契約の適正化を図るため次の取組を進めます。
なお、具体的な取組は別紙のとおりです。

1 透明で健全な競争の確保
◆一般競争入札を基本に公正で透明な入札を実施します。
◆情報の漏洩防止など万全のコンプライアンス対策を実施します。
◆最低制限価格算定基準の適切な見直しなどダンピング対策を強化します。

2 地域経済の発展と優良企業の育成を促進
◆府内企業(府内に本店を置く企業)への発注を原則とする運用を徹底します。
◆技術と経営に優れ地域に貢献する優良な企業を評価します。
◆地域の安心・安全に貢献する企業を優先する入札方式を実施します。
◆入札執行残分を地域の事業に還元します。

3 下請負人へのしわ寄せ防止と労働者の労働環境確保
◆労働関係法令等の遵守を徹底します。
◆元請下請関係の適正化を推進します。
◆重層的な下請構造を改善します。

4 事業活動における社会貢献の評価
◆障害者雇用等に積極的な企業を評価します。
◆環境負荷の低減に積極的な企業を評価します。

Ⅳ 公契約の相手方に求める内容
 上記Ⅱの基本方針を踏まえ、契約を誠実に履行するとともに、次の事項に重点的に取り組むよう求めます。

1 下請負人へのしわ寄せ防止と労働者の労働環境確保
◆労働関係法令等の遵守の徹底を求めます。
◆元請下請適正化指針の遵守を求めます。
 ・施工体系図等の提出及び再下請負人等への指導の徹底
 ・不適正事案における調査への協力
 ・下請重層化の抑制

2 事業活動における社会貢献
◆障害者雇用及び障害者等が働きやすい職場環境づくりを求めます。
◆防災等の地域の安心・安全活動への参加と協働を求めます。
◆事業活動に伴う環境負荷の低減を求めます。

Ⅴ 評価・検証による改善
 第三者委員会による評価・検証を行いながら、PDCAサイクルを実施し、社会経済状況に応じ、柔軟に、かつ、迅速に改善策を講じます。

【別紙】
1 透明で健全な競争を確保する取組

(1)透明性、公平性、競争性を確保する取組
○一般競争入札を基本とし、予定価格1,000万円未満の建設工事は指名競争入札とする。
○建設工事の一般競争入札では、応札可能者数が概ね30者以上となるよう入札参加資格要件を定める。
○建設工事の指名競争入札では、概ね20者を指名し、指名理由を公表する。
○入札事務を発注組織から分離するとともに、公契約の適正化、入札契約制度の運用管理の一元化を段階的に実施する。
○建設工事について電子入札を全面的に実施する。

(2)コンプライアンス対策の取組
○情報漏えいの未然防止のための取組を行う。
・建設工事等の発注事務等に関する京都府「発注担当職員行動指針」を定め、発注担当職員と事業者等との接触を制限する。(業務上必要な場合を除き接触を禁止、業務上必要
な場合も決められた場所以外での接触を禁止、業務上の打合せ等は原則複数職員で対応し記録)
・発注担当職員以外の入札情報(設計額、予定価格等)へのアクセスを制限する。
・決裁ルートを必要最小限とする。
・最低制限価格の算定において補正係数を導入する。
・「建設工事等の入札情報に関する問い合わせ等に係る取扱要綱」を定め、問い合わせ内容について記録し、所属長への報告を義務付ける。(非公開情報の不正な聞き出し等は
入札コンプライアンス管理指導者に報告)
・非公開情報の不正な聞き出し等については公表し、当事者を指名停止措置とする。
・電話録音機を導入する。
○組織的な管理運営を行い、高いコンプライアンス意識を醸成する。
・建設工事の各発注所属に入札コンプライアンス管理指導チームを設置し、接触制限など未然防止の取組を点検し、職員指導を徹底する。
・各部局に入札コンプライアンス管理指導者(発注に係る決裁を行わない者から選任)を設置する。
・高いコンプライアンス意識を持った組織づくりを行う。(管理指導チームによる職員指導、階層別入札契約担当者向けの研修実施、コンプライアンス相談員や内部通報制度
の活用)
・第三者委員会においてコンプライアンス対策の取組を評価・検証し、改善する。
○不正事案に対する厳罰化(ペナルティ強化)を図る。
・贈賄、談合及び非公開情報の不正な聞き出し等に対しては、指名停止期間を大幅に延長する。(最大36箇月)
・懲戒処分の対象となる行為を明確化する。
○京都府暴力団排除条例に基づき、公契約からの暴力団の排除を徹底する。
○建設工事の入札参加資格審査から工事完成までのプロセスにおいて、不良不適格業者を排除する。

(3)ダンピング対策の取組
○公募型プロポーザル方式や公募型コンペ方式を活用する。
○最新の中央公共工事契約制度運用連絡協議会の価格算定モデル式に現場状況を反映させた最低制限価格算定基準を採用する。
○建設工事の積算内訳書チェックを厳格化する。
○建設工事の総合評価競争入札の一部で予定価格の事後公表を試行する。
○建設工事の低入札価格調査制度を検証し、見直す。
・低入札調査基準価格を下回った場合は、厳格な調査を実施し、その結果を踏まえ制度の見直しを検討する。

2 地域経済の発展と優良企業の育成を促進する取組

(1)府内企業への発注の徹底
○地域経済に配慮し、施工できる企業が府内にないか、極めて少数の場合を除き、原則として府内企業に発注する運用を徹底する。例外的に府外企業の入札参加を認める工事は、
第三者委員会でチェックし公表する。
 ・WTO案件や特殊・専門工事で施工できる企業が府内に無いか、極めて少数なことが客観的に明確なもの(第三者委員会で該当工事の類型を事前に審査)については、実施状況を第三者委員会へ報告する。
 ・上記以外の工事で、府外企業の参加を認めようとする場合は、個別の入札参加資格要件を第三者委員会で審査する。
○下請負先を府内企業とするよう要請し、府内企業の下請負率に応じた工事成績評価を実施する。
○府外企業への下請負については、理由書を徴取する。

(2)技術と経営に優れ地域に貢献する優良な企業の評価
○建設企業の格付けにおける主観点で評価する。
○優良企業にインセンティブが働く等級区分及び発注標準を設定する。
○生活密着工事については、地域に精通した企業による入札を試行する。(応札可能者数が不足する場合は上位ランク企業を参加可能にし競争性を確保)

(3)総合評価競争入札の活用
○地域貢献の評価項目を充実し、評価点を細分化する。
○同価の場合に災害対応等で地域貢献する企業を優先する入札方式を試行する。

(4)事業費の入札執行残分の有効活用
○建設工事の事業費について入札執行残分を地域の事業に還元する。

3 下請負人へのしわ寄せ防止及び労働者の労働環境を確保する取組

(1)元請下請関係の適正化
○労働関係法令等の遵守を契約(下請契約を含む)に明記する。
○「京都府が発注する建設工事に係る元請下請関係適正化及び労働環境の確保に関する指針」を定め、その遵守を契約で義務化する。
 ・発注所属毎に契約遵守窓口を開設する。
 ・全ての工事で施工体系図と下請契約書の写しの提出を求める。

(2)重層的な下請構造の改善
○特殊で専門的な工事を除き、下請負は、土木工事で2次まで、建築工事で3次までとすることを義務化する。
・重層化する場合は、理由書及び労働者の賃金水準や下請けの内容が適正であることが分かる書類の提出を求め、法令遵守について厳しくチェックする。

4 事業活動における社会貢献を評価する取組

(1)障害者雇用等に積極的な企業の評価
○障害者雇用や消防団への協力など地域貢献を行う企業から物品を優先調達する。
○建設企業の格付けにおける主観点で評価する。

(2)環境負荷の低減に積極的な企業の評価
○グリーン入札(環境配慮企業からの物品の優先調達)を推進する。
○建設企業の格付けにおける主観点で評価する。
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