こんにちは「中川ひろじ」です。

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松枯れ対策について長野県林業総合センターで説明を受ける

2017-09-01 22:58:02 | 環境・森林

 

社民党松本総支部は、9月1日長野県林業総合センターへ、松枯れ問題について学習するため訪れた。当日は宮所長と柳澤研究員に丁寧な対応をしていただき感謝を申し上げます。私は松枯れについて林業総センターでお話を聞くのは2回目となるが、新たな認識もあったので整理しておくことにしました。

1、松枯れの仕組み

①松枯れはマツノザイセンチュウが赤松内で一定の条件の下で増殖することに対して、赤松の防御反応として松自身が出す何らかの物質によって仮道管が詰まり、松が枯れる症状のことをいう。初期の症状としてはマツヤニを出なくなるので、それによってマツノザイセンチュウによる松枯れであることを確認している。

②マツノザイセンチュウは、北米原産の外来種であり、北米の松は耐性をもっている。後に発見されるニセノマツノザイセンチュウは、在来種で赤松は耐性を持っている。現在、マカオ経由でポルトガルに上陸したマツノザイセンチュウによりヨーロッパにも松枯れが拡大しているとのことである。

③マツノザイセンチュウは、赤松の枯損木の中にいるマツノマダラカミキリに寄生し、成虫となったマツノマダラカミキリとともに、一度に400匹(200つがい)のマツノザイセンチュウが赤松に移動し、気温が15℃以上になると繁殖を始める。一度に100ケの卵(50のつがい)を産み、4日後に生育して次の産卵を行う。つまり4日ごとに世代交代をして50倍、50倍と増え続ける。*200×50×50×50×50×50×50×50=312,500,000,000

その後、マツノマダラカミキリの産卵期に再びマツノマダラカミキリに移り、産卵されたマツノマダラカミキリの蛹に移行する。

④マツノマダラカミキリは、赤松の枯損木内で6月中旬頃、羽化して成虫となり、生きている赤松の若い枝の樹皮を食べ、3週間ほどで赤松の枯損木に産卵をして死ぬ。8月から9月にかけて幼虫が発育し、蛹化、6月中旬に羽化して成虫となり枯損木から脱出する。

従来、マツノマダラカミキリは希少種であったが、マツノザイセンチュウが日本に入ってきてから増え始めた。マツノマダラカミキリのメス1匹から100~200ケの卵を産む。だいたい2倍くらいずつ増加していると考えられている。

 

2、防除方法

(1)マツノザイセンチュウ

①マツノザイセンチュウを直接防除することは現在のところできない。センチュウが入る前の松に「殺センチュウ剤」を樹幹注入する。マツノマダラカミキリによって、殺センチュウ剤が注入された松に運ばれてきたセンチュウは死ぬ。

②これまでに松枯れした地帯から実生で出てきた松の中にはマツノザイセンチュウに対する耐性をもつ松もある。しかし、耐性のない松の花粉を受粉するので増やすことは容易ではない。

(2)マツノマダラカミキリ

①幼虫は赤松の枯損木内で生育しているので、羽化脱出前に枯損木を処理することで死滅する。処理の方法は、燻蒸・破砕・焼却の方法がある。6月から10月までに枯れた枯損木(当年枯れ)を翌年5月まで(羽化成虫脱出する前)に処理する。

②成虫は、マツノザイセンチュウが移る前に農薬を散布する。マツノマダラカミキリが農薬が散布された松の枝を食べると死滅する。

3、ポイント

①マツノザイセンチュウを死滅させる効果的方法はない。

②枯れた木は処理しないとマツノザイセンチュウの幼虫の生育場所となる。しかし現在の長野県の松枯れ対策は先端地域に集中的に行うので枯損木については松枯れ対策はしていない。造林事業で対応していく。枯れた松の処理について活用方法を模索している。

③空中散布は生きている松にしか行わない。

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