長野県議会「改革・創造みらい」のONLINE研修会が開催されました。
講師は、千葉商科大学准教授の田中信一郎さんです。田中さんは、以前、長野県環境エネルギー課の企画幹をつとめていました。もっと前は参議院議員の中村敦夫さんの政策秘書をしていて、私も山口わか子衆議院議員の秘書をしていた時に、公共事業チェック議連で静岡空港を一緒に調査したことがあります。覚えていないと思いますが。
さて、今回のテーマは「脱炭素社会を目指す持続可能な地域づくり」です。国も長野県も2050年実質カーボン排出量をゼロにする目標を掲げています。カーボンゼロにする=化石燃料の削減=無理、という方程式が一般的(?)ですが、①人口減少社会で、減少していく行政資源で、増加していく課題を解決するために気候変動対策が有効。車に過度に依存しない都市構造への転換・地域主導型自然エネルギー事業の促進・新築住宅の断熱化、既存住宅の断熱回収の促進など。加えれば、国も「緑の戦略システム」で提起している有機農業の推進もあります。
車に過度に依存しない都市構造とは、移動距離が短いまち・建物の用途を含めた土地利用のコントロール・移動の可能性を高める・マイカーを不便にし、他の移動手段を便利にする(共同駐車場の設置など)。これらにより、家計の実質所得の増加・不動産価値の維持・生活利便性の向上・健康寿命の延伸・域内経済の活性化・交通事故の減少・環境負荷の低減・公共交通の採算性の向上・インフラ費用の抑制・景観の形成・新たな観光需要の喚起など、多面的な効果が期待できる。
この発想は大事だなと思います。私も2月定例会で、知事答弁のあと「ゼロカーボンに向けて、どう危機感を共有するのか考えると、かつて信州は夏場でもクーラーがいりませんでしたが、近年ではクーラーなしでは寝られないほど暑さが夜まで残ります。また、寒い冬の信州の風物詩である御神渡りも、今年は見ることができませんでした。ただ、危機感だけでは人は疲れてしまいます。それゆえに、人は慣れてしまいます。新型コロナ禍で、会議や講演会がWEBで多く開催されるようになりました。これは、移動によるCO2排出を削減することになりました。省エネ家電を使えば電気料がお得になります。農林水産省も、CO2削減に向け、有機農業の面積を現在の40倍、100万ヘクタールまで増やす戦略を発表しました。CO2を土の中に閉じ込めることが大きな効果を生むという研究もあります。CO2削減は面白い、楽しいことだ、というインセンティブがあれば、より積極的に取り組むことができるということも、同時に考えなければならない課題だと思います。」と問題提起しました。
流出する化石エネルギー費用を地域に回すことについて。例えば、松本市のエネルギー代金の流出は458億円/年(田中資料)だそうで、住民参加型・地域内事業で仮に再生可能エネルギーを10%増やすだけで、45.8億円が、地域内経済に貢献するということになります。これは大きなインセンティブになるのではないでしょうか?
また、長野県では循環器系疾患による死亡率が高く、医療費も高くなっている。その原因はヒートショックで屋内の温度の寒暖差が原因の一つになっているので、高断熱・高気密の住宅を建てると健康寿命を延伸することができる。これも重要なインセンティブになります。
こうした気候変動対策が人口減少社会において多面的な効果が期待できる実例を積み上げていくことが今後の課題であり、県民をその気にさせる方策が条例をつくった議会にも求められています。
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