長野県の森林は、種や挿木により受け継がれている。その種や苗木は「林業種苗法」という法律により、県が育成していることをはじめて知った。
会派で小海採種園を調査したが、ここではカラマツのエリートツリーを生育していたが、種を取るところを見たことがない。
今回佐久地域振興局林務課と森林づくり推進課造林緑化係の皆さんと川上採種園を視察した。県内には採種・採穂園が8カ所あり、すべて県林務部が管理している。ヒノキ・カラマツ・アカマツは採種し、スギは挿木による採穂という。このほか、御代田町の国有林に国管理によるカラマツの採種園があり県が種子採種をしている。
カラマツの種子は、その年によって取れるときと取れないときがある。およそ5年から7年に1回取れる。日商条件や種を取る母樹の高齢化・高木化により年々種が取りにくくなっている。
苗木の生産は平成27年2,413千本から令和2年4,109千本に増加している。令和2年の種別内訳は、スギ102千本、ヒノキ273千本、アカマツ93千本、カラマツ1223千本、その他322千本。昭和初期にはカラマツの苗木を1000万本くらい生産していた。戦後復興で電柱や杭として活用され、カラマツはおよそ1万ヘクタール植樹されたものが、今、伐期にきている。ウッドショック等により、カラマツの需要が好調のため、カラマツの主伐が行われる。このため、再造林をしていくため苗の生産、種の生産が必要となっている。
カラマツの苗木が年90万本必要となる見込みであり、そのための必要種子は発芽率3割として300万粒、重さで12キロ、松ぼっくりで1159ℓが必要となる。実際にすべてが出荷できるわけではないので2000ℓの松ぼっくりが必要。
カラマツ採種造園地(小海)から種子が採取されるまでに15年程度必要。そこで種が取れて苗木となり植林され材木として世の中に出るまでに50年。いま、担当している一番若い職員でも現役のうちに製品を見ることはない。息の長い仕事である。
長野県議会棟の前に「県有林の記」という碑がある。明治維新以降、木材需要の高まりの中で乱伐が繰り返され、山が荒れ霜害や水害がたびたび起こるようになり、時の関清英知事が、「県自らが森林の経営に当たることを考え、職員に計画の作成を命じた。 その目的のひとつは、広く模範を全県に示して植林の普及啓発をはかることであり、いまひとつは、県有財産を造成することによって自治の財政的基礎を固めることであった。これが県有林の起こりである。 その計画の概要は、県下各地の御料林及び国有林約7500町歩の払い下げを国に願い出てこれを県有林とし、31年間で植林を終え、212年間でこの事業を完成し、その間に28億円の収益を得、その後も毎年35万円の収益を確保しようというものであった。」
教育は100年の計、というが森林は200年の計である。
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