リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

テオルボあれやこれや(3)

2007年08月01日 10時34分56秒 | 音楽系
バス弦と指盤上の弦長の比率が前回書いたようなものであれば全てテオルボなのかというとそうではなく、テオルボがテオルボたるには基本的には大型の楽器である必要があります。現代みたいに工業規格があるわけではないのでそれほど厳密には定義できないんですが、かなりボディは大きくて(あいまいな言い方ですえねぇ(笑))指盤上の弦長は75cm~90cm近くって感じですね。では73cmとか71cmだとテオルボとは言えないのかと言われるとちょっと困るんですけど。(ちなみに現代のクラシック・ギターのほとんどは65cmで、コントラ・バスの小さいので95cmあたりからです)

あと、テオルボを全体的に小さくして指盤上の弦長が65cmくらいまでの楽器のことをテオルボ型リュート(リウト・ア・ティオルバート)とかアーチ・リュートとか言うことがあります。大体の製作家はこの理解で楽器を制作しているみたいですが、演奏家によってはもっと大きな楽器をアーチ・リュートと呼ぶ人もいるようです。こうなってくると、アーチ・リュートとテオルボはどう違うんっ?てことになってきますねぇ。ナイジェル・ノースがその著書Continuo Playing on the lute, Archlute and Theorboでこれらの楽器を定義していますが、結構ややこしく微妙であったりします。テオルボの定義には形状の他、調弦の仕方もからんでくるんですが、そこまで踏み込むとややこしいのでやめときます。