リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

1979年バーゼルに行く、補遺(3)最終回

2020年06月29日 16時43分56秒 | 音楽系
今村氏ははじめ佐藤氏のところ(デン・ハーグ)で勉強していましたが、76年か77年頃スイスのバーゼル(スコラ・カントルム)に移りました。私が先述しましたように76年に佐藤氏のところに居候させて頂いたときには、今村氏はまだデン・ハーグにいまして一晩中リュートのことについて語りあったものでした。もっともその時は夏でしたので、緯度の高いオランダではすぐに夜が明けますが。私が右指の爪を切って指頭奏法に切り替えたのはオランダから帰ってきたすぐあとのことでした。

今村氏は76年当時既に右手の爪を切っていました。師匠は爪弾き、生徒は指頭ということになります。すでに70年代後半には多くの人が指頭奏法だったと記憶しています。佐藤氏が爪を切ったのはグライフを入手した90年代の初めの頃のようです。90年頃に発売されたアルバムではまだ爪を使って(弦も合成樹脂、金属巻弦)演奏したいるようです。

現在も爪弾きの方も少数ですがいます。弦もそうですけど、爪が音楽になるわけではないので、要はどんな演奏をするかということに尽きると思います。