リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガット弦に思う(15)

2020年06月21日 15時34分38秒 | 音楽系
ただ最近の若手奏者も含めて、合成樹脂弦を使っている演奏家の方がずっと多いというのは事実です。そういった状況を踏まえて、こうおっしゃる方がいました。

プロは毎回条件シビアな会場で演奏することもあるので、合成樹脂弦を使うけど、われわれアマチュアはそうではないのでガットを使うんだ。

もちろんこうおっしゃってガット弦を使うのは自由ですが、一言二言もの申させて頂きましょう。

まずプロでガット弦に関心がない人は多分いないということ。でも環境的な問題が少ないはずの録音でも実はガット弦を使う人はそう多くはないのです。これはプロにとってもガット弦を扱うのが大変だということ、それと6コース以下の現在入手可能なバス用ガット弦の性能に満足していないのではないかと推測します。

もちろん紹介させていただいたようなオールガット弦というのを貫いている奏者もいますが、これにはある程度の条件が必要です。それは楽器のクオリティ、そして楽器の形状です。楽器のクオリティのことを持ち出すのはなかなか厳しいものがありますが、形状的にはフランドル式リュートとかドイツテオルボのようにバス弦の弦長を長くとっている楽器は有利です。