リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ブサール先生の教え(10)

2022年08月08日 23時35分41秒 | 音楽系
「しかしもしたまたま完璧にマスターしたとしても、些細な利益のために自分を安売りして音楽の女神を冒涜するようなことをしてはいけません」

要するにカネ儲けに走るなということですね。私は若い頃、ギターを完璧にマスターしたわけではないにも関わらず、あちこちで弾いてやれギャラが安いだの高いだのとぼざいていました。女神を冒涜しまくっていたわけですね。頂いていたギャラはかわいいもんでしたが・・・

現在のリュート界では些細な利益でも得ることが大変ですが、ポップスなんかはものすごいお金が動くアーチストがいます。もう両極端です。50年くらい前は、決して安売りしているわけではありませんが、そこそこ稼いでいるミュージシャンがいました。でもそういう時代はとっくに過ぎ去っています。今から思うと、私自身はそういういい時代の最後のおこぼれにあずかっていたわけです。
 
リュートで自分を安売りするというのはどんなことが考えられるでしょう。受け狙いのポップスばかり弾くこと?ポップスのどこが悪いねん!という声も聞えます。でも今も昔も食っていかなくてはなりません。ブサール先生のおっしゃることを忠実に守るだけでは世の中渡っていけません。

そのためにはどんな仕事でも・・・しかしそうはいっても決して魂まで売るようなことはせず、どっかでブサール先生のおことばを手の届くところには置いておいて処世していかなくてはならない、というのが実際のところかな。(笑)