院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

花粉症の原因

2013-02-20 00:11:30 | 医療
 花粉症の薬のテレビコマーシャルが活発である。眠くなりにくいなどのことを売りにしている。花粉症の薬はもともと抗ヒスタミン剤だから眠くなるのだ。

 根治療法として、鼻の粘膜を焼く方法などが提唱されているが、大丈夫なのだろうか?人体の器官でひとつとして不要なものはない。その粘膜を焼いてしまって、不可逆的に粘膜機能を失わせて、あとで困ったことにはならないのだろうか?

 治療はいろいろ試みられているけれども、すべて対症療法である。原因がなぜ問われないのか不思議でならない。むろん花粉症の原因については精神医学の雑誌には載っていない。しかし、医者一般が読む総合誌には載っていてもよいと思うのだが載っていない。

 花粉症が日本だけの現象なのか?海外でも増えてきたのか?・・調べればすぐに分かるようなことさえ伝えられていない。

 ただ漠然と「杉の木を植林しすぎた」と言うだけである。ほんとかよと思う。もともと杉林の近くに住んでいた人たちはどうだったのだろうか?杉林の近くで明治時代から花粉症が多かったという報告は見かけない。だから、杉を植林しすぎたから、という説には信頼がおけない。

 花粉症は30年前から出てきた。それまでは存在しても数が圧倒的に少なかった。国民病ではなかった。そこで、いろんな説が出ているが、決め手はない。たとえば、人体が寄生虫をもたなくなったからだという説がある。人体は寄生虫をもっているのが「正常」な姿で、それに対して免疫機構が発達してきたのに、寄生虫がいなくなったから免疫機構が暴走したという説だ。

 黴菌との同居が少なくなったからだという説もある。除菌がブームになって、子供のうちに汚いことをさせないから、免疫系に異常を生じるのだという説である。

 早いところ、これらの説を実証してほしい。実証しようと思えばできるはずなのだが、なぜか実証した研究がいつまでたっても出てこない。

 アレルギー反応で悪さをするのはIgEという免疫グロブリンで、これは日本人が発見した。なのに寄生虫説も黴菌説も実証されていない。対症療法はもういいから、早く原因を突き止めてほしい。