さくらフィルムが「100年プリント」と称してフィルムを売り出し、印画紙でなくフィルムが何故100年プリントか?と多くの人が考えて、「100年プリント」を最後にさくらフィルムがフィルム市場から撤退したことはいつぞや書いた。
カラーフィルムの歴史は浅く、いつか画像が消えてしまうのではないかとの疑念が拭い去れなかった。事実、私が1960年代に撮ったカラープリントは、ほとんど見えないほどに画像が劣化した。とくにサービスサイズが駄目で、別に引き延ばしたキャビネ版は消えずになんとか残った。
だから、写真が趣味だった私は、どうしても残したい写真はわざわざモノクロで撮った。モノクロは明治時代からの実績があるからだった。案の定、モノクロで劣化した写真は今日までない。
さて、世はデジカメ時代である。写真のデジタルデータをPCに残しておくと、PCをモデルチェンジしたときに移植し忘れるだろう。写真再生ソフトがどんどん変わっていって、いずれ写真データを再生できなくなるだろう。
そこで、デジタルデータをプリントして紙に残しておくという手段が考えられるわけだが、プリンターで印刷された写真のインクが劣化しないとの保証がない。インクには銀塩プリントほどの歴史がまだない。そこで、デジタルデータでも銀塩プリントにしている私だが、上記のように銀塩プリントでもカラーは消えることがあるので、もう防衛手段はない。
中世の絵画が残り、明治時代の写真はセピア色に劣化している。もっと新しいカラー写真は、すぐに消えてしまうほど保存年限が短い。新しい技術ほど保存が難しいという逆説が起こっている。これが技術の宿命なのかもしれない。
女優の扇千景さんが京都弁でコマーシャルした「私にも写せます」というカセット式の8mmカラーフィルムをご存知の方は、けっこう年配である。8mmフィルムで映画を撮影することが、かつてはやった。しかし、今それらの8mmフィルムを再生できるだろうか?映写機があまり残っていないのではないか?
つい最近までビデオの主流だったカセットビデオを、いま再生して楽しんでいる人がどれだけいるだろうか?それより前のオープンリールのビデオを再生できる機械なぞ、いまどき持っている人がいるのだろうか?
つまり、映像保存が大衆化したら、結局なにも保存されていないという状況になってしまった。現在盛んなデジタル動画も同じ運命をたどるだろう。
註:古いモノクロ写真がセピア色になるのは、定着液の洗い流しが不十分だったからだ。定着液を十分に洗い流した写真はセピア色にはならないことは、意外に知られていない。
カラーフィルムの歴史は浅く、いつか画像が消えてしまうのではないかとの疑念が拭い去れなかった。事実、私が1960年代に撮ったカラープリントは、ほとんど見えないほどに画像が劣化した。とくにサービスサイズが駄目で、別に引き延ばしたキャビネ版は消えずになんとか残った。
だから、写真が趣味だった私は、どうしても残したい写真はわざわざモノクロで撮った。モノクロは明治時代からの実績があるからだった。案の定、モノクロで劣化した写真は今日までない。
さて、世はデジカメ時代である。写真のデジタルデータをPCに残しておくと、PCをモデルチェンジしたときに移植し忘れるだろう。写真再生ソフトがどんどん変わっていって、いずれ写真データを再生できなくなるだろう。
そこで、デジタルデータをプリントして紙に残しておくという手段が考えられるわけだが、プリンターで印刷された写真のインクが劣化しないとの保証がない。インクには銀塩プリントほどの歴史がまだない。そこで、デジタルデータでも銀塩プリントにしている私だが、上記のように銀塩プリントでもカラーは消えることがあるので、もう防衛手段はない。
中世の絵画が残り、明治時代の写真はセピア色に劣化している。もっと新しいカラー写真は、すぐに消えてしまうほど保存年限が短い。新しい技術ほど保存が難しいという逆説が起こっている。これが技術の宿命なのかもしれない。
女優の扇千景さんが京都弁でコマーシャルした「私にも写せます」というカセット式の8mmカラーフィルムをご存知の方は、けっこう年配である。8mmフィルムで映画を撮影することが、かつてはやった。しかし、今それらの8mmフィルムを再生できるだろうか?映写機があまり残っていないのではないか?
つい最近までビデオの主流だったカセットビデオを、いま再生して楽しんでいる人がどれだけいるだろうか?それより前のオープンリールのビデオを再生できる機械なぞ、いまどき持っている人がいるのだろうか?
つまり、映像保存が大衆化したら、結局なにも保存されていないという状況になってしまった。現在盛んなデジタル動画も同じ運命をたどるだろう。
註:古いモノクロ写真がセピア色になるのは、定着液の洗い流しが不十分だったからだ。定着液を十分に洗い流した写真はセピア色にはならないことは、意外に知られていない。