イギリスの放送局BBCは、とてもよい番組を作る。問題の掘り下げ方が他局よりも深く、同局の科学番組やドキュメンタリーを私は好んで見ている。
ところが、このたびの「人類・遥かなる旅路」にはがっかりさせられた。
1万5000年前に、地球は寒冷期になって人類の住める地域が南側に狭められ、狩猟採集がままならなくなったので、仕方なく人類は農耕を始めたと語られていた。文化変容を目的論的に説明しているのだ。
これは俗説であって、ウサギの耳が長くなったのは遠くの物音を敏感に聞くためで、これによりウサギは外敵の接近をいち早く察知できるようになった、という説明の仕方と同じである。本当は進化はもっと複雑な過程である。
またこの番組では、初めのうち人類は野生の植物を採集していたが、効率が悪いので一か所で栽培するようになったのが農耕の始まりである、という通俗的な解釈をしていた。
農耕の発明には分かっていない部分がたくさんある。本当は野生の植物を単に一か所に集めたわけではない。それより先に、品種改良がおこなわれていた。実際、農耕遺跡から出土する植物は8倍体16倍体であって野生の品種ではない。栽培されていた植物は、すでに味も収量も格段に改善されていたことが分かっている。
BBCともあろうものが、こんなに杜撰な説明を子供たちに吹き込んではいけない。子供たちの思考の発達をストップさせてしまうだろう。
BBCには分からないことは分からないと言い切る王道を歩んでほしい。
ところが、このたびの「人類・遥かなる旅路」にはがっかりさせられた。
1万5000年前に、地球は寒冷期になって人類の住める地域が南側に狭められ、狩猟採集がままならなくなったので、仕方なく人類は農耕を始めたと語られていた。文化変容を目的論的に説明しているのだ。
これは俗説であって、ウサギの耳が長くなったのは遠くの物音を敏感に聞くためで、これによりウサギは外敵の接近をいち早く察知できるようになった、という説明の仕方と同じである。本当は進化はもっと複雑な過程である。
またこの番組では、初めのうち人類は野生の植物を採集していたが、効率が悪いので一か所で栽培するようになったのが農耕の始まりである、という通俗的な解釈をしていた。
農耕の発明には分かっていない部分がたくさんある。本当は野生の植物を単に一か所に集めたわけではない。それより先に、品種改良がおこなわれていた。実際、農耕遺跡から出土する植物は8倍体16倍体であって野生の品種ではない。栽培されていた植物は、すでに味も収量も格段に改善されていたことが分かっている。
BBCともあろうものが、こんなに杜撰な説明を子供たちに吹き込んではいけない。子供たちの思考の発達をストップさせてしまうだろう。
BBCには分からないことは分からないと言い切る王道を歩んでほしい。