院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

混合診療禁止の長所

2013-07-16 05:15:49 | 医療
 例えばの話だが、「リチウムイオン水」という何の役にも立たないが別に害になるわけでもない点滴液があったとする。

 中味は生理的食塩水のようなもので、点滴したからといってどこが良くなるわけでもない。だが、このような、おまじないのような溶液の「効能」を信じている医者は案外いるのだ。

 「リチウムイオン水」はよく効くと信じているから、その医者は善意で患者に打つことを勧める。でも、1本1万円もする。

 何かの感染症で抗生物質を使ったとする。抗生物質の値段が5千円だとすると、健康保険の3割負担で1500円で済む。上述のような医者は本当は「リチウムイオン水」を使いたい。儲けたいからではなくて、患者のためになると信じているからだ。

 ところが、「リチウムイオン水」には健康保険が適用されていない。だから、どうしても使用したければ、抗生物質にも保険を適用してはならない。つまり、患者に1500円ではなく100%の5千円を支払わせなくてはならない。そうしてからでないと「リチウムイオン水」は使えない。

 以上を「混合診療の禁止」という。

 「混合診療の禁止」の是非については、賛成派反対派がいて、さまざまな論議があるけれども、少なくとも「リチウムイオン水」が無際限に使用されるのを防いでいることは確かである。