昔は寿司屋でイカの握りを頼むと、すべて煮たイカ(煮イカ)だった。当時はいろんな寿司ネタに火が通されていた。冷凍技術が発達していなかったからだと思われる。煮イカには甘いタレがかけられていることもあった。
やがて握り寿司のイカに生の刺身が使われるようになった。家庭にも電気冷蔵庫が普及してきたころだ。煮イカよりも生のイカのほうが高級に見えた。寿司屋がみな右へ倣えをしたから、昭和40年ころに煮イカの握りは絶滅してしまった。それは高度経済成長と軌を一にしていた。
寿司はすでに高級品だった。志賀直哉の「小僧の神様」の時代から、寿司はある程度高級品だったが、まだ屋台で売っていた。屋台が店にまで高級化したのは、いつごろのことか私は知らない。
少なくとも私が子供のころは屋台の寿司屋というのはもうなかった。銀座の九兵衛という寿司屋が考案したと言われる軍艦巻きはすでに存在していた。軍艦巻きは寿司の革命で、これまで握れなかったウニやイクラを寿司ネタにすることが可能になった。
イカの握りは当初、スルメイカを使用することが多かった。スルメイカは元来煮たり干したりするもので、生で食べるときわめて硬いものだった。それを、刺身で食べられるようにとイカソーメンなどが工夫されたが、それでも硬かった。
そのためかどうか知らないけれども、ヤリイカやモンゴウイカが寿司に使用されるようになった。
私が自腹で寿司を食べられるようになってから、ヤリイカよりモンゴウイカのほうが、肉厚で噛みやすいと寿司屋に言ったら、「モンゴウイカは学校給食でフライにするイカだよ」と馬鹿にされた。なにをきどっているのだ、つい先だってまで、イカは硬いから煮て食うものであって、わざわざ刺身にして硬いのを我慢して食うような食材ではないと言いたかったが止めた。
ついでケンサキイカやアカイカが刺身にされるようになった。アカイカはほんのり甘くて柔らかく実にうまかった。現在、私はイカの刺身はアカイカしか食べない。それ以外のイカは刺身には向かず、煮たり焼いたりフライにして食べたほうがおいしいからだ。
寿司屋が談合したわけではないのに、握り寿司のイカが生のイカで統一されてしまったのは、なぜだろうか?こんなところに群衆心理の愚かさを感じてしまい、腹を立てるのは私が異常なのだろうか?
やがて握り寿司のイカに生の刺身が使われるようになった。家庭にも電気冷蔵庫が普及してきたころだ。煮イカよりも生のイカのほうが高級に見えた。寿司屋がみな右へ倣えをしたから、昭和40年ころに煮イカの握りは絶滅してしまった。それは高度経済成長と軌を一にしていた。
寿司はすでに高級品だった。志賀直哉の「小僧の神様」の時代から、寿司はある程度高級品だったが、まだ屋台で売っていた。屋台が店にまで高級化したのは、いつごろのことか私は知らない。
少なくとも私が子供のころは屋台の寿司屋というのはもうなかった。銀座の九兵衛という寿司屋が考案したと言われる軍艦巻きはすでに存在していた。軍艦巻きは寿司の革命で、これまで握れなかったウニやイクラを寿司ネタにすることが可能になった。
イカの握りは当初、スルメイカを使用することが多かった。スルメイカは元来煮たり干したりするもので、生で食べるときわめて硬いものだった。それを、刺身で食べられるようにとイカソーメンなどが工夫されたが、それでも硬かった。
そのためかどうか知らないけれども、ヤリイカやモンゴウイカが寿司に使用されるようになった。
私が自腹で寿司を食べられるようになってから、ヤリイカよりモンゴウイカのほうが、肉厚で噛みやすいと寿司屋に言ったら、「モンゴウイカは学校給食でフライにするイカだよ」と馬鹿にされた。なにをきどっているのだ、つい先だってまで、イカは硬いから煮て食うものであって、わざわざ刺身にして硬いのを我慢して食うような食材ではないと言いたかったが止めた。
ついでケンサキイカやアカイカが刺身にされるようになった。アカイカはほんのり甘くて柔らかく実にうまかった。現在、私はイカの刺身はアカイカしか食べない。それ以外のイカは刺身には向かず、煮たり焼いたりフライにして食べたほうがおいしいからだ。
寿司屋が談合したわけではないのに、握り寿司のイカが生のイカで統一されてしまったのは、なぜだろうか?こんなところに群衆心理の愚かさを感じてしまい、腹を立てるのは私が異常なのだろうか?