後藤浩輝騎手の本と言えば、処女出版の「意外に大変。」(東邦出版)、「後藤チョップ」(廣済堂)、そしてこの「 後藤浩輝の“戯言”」(東邦出版)の3冊が刊行されているが、この本が一番の秀作だといえる。
本を出す目的がある。理由はさまざま、だと思う。
この本は、騎手として「競馬ファン」に、「後藤浩輝騎手ファン」に、「後藤浩輝マニア」に
何を伝えるか、そのコンセプトがしっかりとしている。
特に半分以上をさいているレース解説は、「競馬ファンに対して」、騎手としてレースを解説することにより、競馬(レース)に対する楽しみを広げて貰いたいという意図を十分に果たしている。
競馬には、レースにたどり着くまでの馬一頭一頭のドラマがある。
レースにはオーナーの思惑や、調教師の指示がある。
それらを加味したうえで、騎手どおしの駆け引きがあって、レースが成立している。
この本の出版から半年後、『武豊TV!』の放映が開始され、武豊騎手がレース回顧、解説をしているのだが、少なからず影響を与えていると想像する。
著書の中で後藤騎手が、ファンが自分に対して、しっかりとしたあるべき姿を持ってくれているようになった。それは「後藤は何かをしてくれるのではないか」から「後藤はこうしなくていけない」という。
すこし小難しいことをいうと、これは仕事でいうところの「結果」を求められるようになったことに繋がります。
この本は、ファンに結果を求められたことに対する報告書だといえるでしょう。
いい仕事をしていれば、いい報告書も書けます。
さて、送り手側としては8年前にそのようなメッセージを発したわけだが、受け手の我々はどう変わっただろうか。
相変わらず、レース結果がすべて、ではないだろうか。
馬券のプロには遥かに及ばないが、競馬ファンのプロにはなりたいものだ。
落馬負傷で療養中の後藤騎手だが、ターフへの1日も早い復帰を期待している。
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