結婚記念日

　この一週間、悲しい出来事が続いた。そんな中で結婚記念日を迎えるのは少しばかり憂鬱だと数日前には感じていた。今朝起きても、ぼくの心は決して晴れてはいなかった。朝からいろいろ思い出してはまた涙を流した。
　大学に行きながら考えた。この数日の出来事はすべて事実だ。でも結婚記念日はわが家にとってはめでたいことではないか。そう、21回目の結婚記念日。「それ」と「これ」とは別。
　結婚記念日は、こうして平穏無事に生活してさえいれば、必ず1年ごとに巡ってくるんだ。ぼくは気を取りなおして、花屋に花束を注文した。なんだか、いつもよりもずっと花が鮮やかに、美しく見える。こんなときだもの……。