Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ロンボックのバリ人コミュニティーにて

2012年09月08日 | 
 ロンボック島には過去の歴史のいきさつから多くのバリ人が住んでいて、私が滞在する西ヌサ・トゥンガラ州の州都マタラムにも、いくつかの大きなバリ・コミュニティー(いわゆるカンプン・バリ)が存在する。マタラム近郊のチャクラヌガラに住む知人の家に連れていってもらった。その一角は、聴覚的には大きな音でアザーンが聞こえる以外は、完璧にバリだった。家ではおっさんたちが、グンデルの練習をしていたし。
 彼らが楽しみにしているのは、バリから来るバリの伝統音楽のカセットやCDである。はっきり言って、バリ人よりバリ・ステレオやアネカ・ステレオの出すカセットの新発売情報に詳しい。僕は友人にカユマスのグンデルの新しい録音が出たことを話したら、すでにカセットでそれを持っていたくらいである。
 バリのカセットを専門に扱っている店がチャクラヌガラにある。もちろんバリにある専門店にくらべれば相当にしょぼいが、翌日がクニンガンなのでキドゥンやルランバタンのカセットがよく売れているらしい。普段はカセットだけでは生活できないので、バイクや車のバッテリー販売と兼業である。
 こうした店はロンボックに住むバリ人たちにとってなくてはならない存在なのだ。カセットは儀礼にかかせない音世界であり、またカセットは新たな曲を学ぶための「先生」なのだから。ちなみに「タバナンの様式でグンデルを学んだ」といったら、彼らは行ったことのないタバナンの地名を次々に言っては、その村のスタイルだといって曲を演奏してくれた。すべては、カセットから学んだ曲であり、そのうちの何曲は一緒に演奏もできた。ちなみに私が学んだトゥンジュク村のグンデルのカセットはどうもロンボックには入荷していなかったらしい。残念。