Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

対になっている低い音と高い音の太鼓

2013年05月09日 | 浜松・静岡

 「対になっている低い音の太鼓、高い音の太鼓」と私が書くと、ブログの読者の何人かはすぐさま、バリの太鼓(クンダン)のワドンとラナンと考えるだろう。しかし、本日は浜松まつりの喇叭隊で用いられる太鼓のお話。浜松まつりの太鼓は、基本的に2拍ずつ低い太鼓、高い太鼓が交互にたたかれる。バリ風にいえば、DDTTDDTTDDTT…が繰り返されるのである。もちろんこのリズムは喇叭に影響するので、しっかりと叩けないと旋律がバタバタとずれてくる。
 これは私の大いなる誤解なのかもしれないのだが、基本、低い太鼓から始まる。つまり、低低高高が一かたまりになって、繰り返されるのである。ところがいろいろな喇叭隊を聞くと、これが逆になっているグループが散見されるのだ。これがもし間違ったままやっているとすれば、許しがたい間違いである。やはり低い音は強拍を感じるから、普通なら強拍・強拍・弱拍・弱拍を繰り返すのだが、これが逆になって聞こえてしまう。バリでは絶対に許されまい。、ワドンとラナンを逆に叩くなんて絶対にありえない。
 もしこれが間違いだとすれば、喇叭手にも、太鼓手にも両者に問題がある。まず、太鼓だけが繰り返されて演奏している間に、喇叭は旋律を吹き始める場合があるが、そのときに太鼓の低高を聞き間違えるか、あるいは意識していない場合、そして太鼓は、もし旋律である喇叭は低高を間違えて入ってしまった場合、それを修正しなくてはならないのだが、それができない場合が考えられる。あるいは、喇叭の音が大きすぎて、わけがわからなくなっているのか?
 正直なところ、バリの音楽を聞きなれている私にとっては、これが気になって仕方がないのである。「頼むから太鼓を修正してくれ」と、心の中で懇願しているわけだ。しかし、まあ、そうはいっても、それがこうした芸能の面白さでもある。もしかしたらこうした問題は、すでに「間違い」と認識されなくなっているのかもしれないし。それにしても、ちょっと音楽のことがわかり始めると、素直に聞けないところが、もはや「職業病」である。