いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

(逆)風,と共に去りぬ。  gone with the contrary-winds

2010-05-08 19:54:33 | 日記
 (1)「風と共に去りぬ」。米国南部ジョージア州アトランタの大自然と南北戦争を背景に
富豪女性の伝統家系を精神として守り通す、強い南部女性の愛の生涯を、歴史的叙事詩
(epic:ありのままの姿の表現)あふれる映像として描き切った長編映画。

 正直で、真っすぐな何不自由なく育った、育ちの良さがそのまま大人になった勝気で、
無垢な女性、スカーレット・オハラ(scarlett o'hara)が、動けば動くほど想いを遂げられずに、
ラストシーンでは人生のすべてを身の回りから失い、ひとりぼっち南部ジョージアのアトラ
ンタの大平原の大木の脇に立ち、「明日は明日の風が吹く」(原訳では「明日はまた別の明
日」)と、それでも力強く生きていこうとする姿がドラスティック(drastic)なラストシーンだった。
 スカーレット・オハラを演じた希代の英国女優の末世、その後を暗示するかのようなラストシ
ーン。

 英国育ちの気品あふれる、個性豊かな気質で、超美系女優のヴィヴィアン・リーが激情型
の気質の強い米国南部の富豪女性、スカーレット・オハラの内面描写、豊かな表情も含めて
演じ切ったのが見事だった。

 「明日は明日の風が吹く」(原訳では「明日はまた別の明日})という、人間の低力(そこぢ
から)の持つエネルギーがあふれでるラストシーンのセリフ(台詞)が、印象的だ。

 (2)08年のリーマンショックに端を発した世界同時不況以来、工場縮小、リストラ、リコール
対応、ボーナスカット、ユーロ経済圏の経済危機といっこうに明日は明日のいい風が吹いて
こない現代経済。

 ついでに普天間基地移設先問題の政治混迷では、日本の首相とスカーレット・オハラが
ほぼ完全にダブって映る。
 思慮も戦略もなく、感情のままに動けば動くほど想いを遂げられなくて、最後は「ひとりぼ
っち」。
 育ちの良さと世間知らずは、共にそのままで、しかし、スカーレット・オハラの気の強さ、
そこぢから(energetic:低力)は首相には見られずに、「明日は明日の風が吹く」と言って
みても、ただ「反対」の逆風(contrary-winds)に吹かれてフラフラと漂流するだけの、こち
らは三文芝居だ。

 「風」に立ち向かうだけの時間と学習は、宿題をいつまでも手つかずに過ごした夏休みの
ごとく浪費して、いよいよ時間がなくなってのあわてぶりとシナリオのない下手な土壇場を
演じてみせる首相。

 (3)スカーレット・オハラを、鬼気迫る名演技で演じたゾクッとするような希代の超美系の
ヴィヴィアン・リーは、しかしその気品、気質、美系の故(ゆえ)なのか、「風と共に去りぬ」
そのままに現実でも、ちょっと寂しい人生のラストシーンをむかえたのです。

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