いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ソフトな全面禁煙擁護論。 logic of passive no smoking

2010-05-01 19:33:52 | 日記
 (1)あまりにも大々的な宣伝アピールだったので目に止まった、愛煙家による喫煙キャン
ペーン誌。「喫煙は日本の文化」で愛煙家にも言わしてほしいと、その道の作家、学者がズ
ラリと名を連ねての評論集。
 喫煙は日本の文化と謳っているけれど、英国植民地政策の一環として、中央アジアから東
アジアへ普及してきて中国から日本にも波及した世界文化のひとつ。
 その昔、香港では植民地支配の経済統治のため、阿片を強制、常習化して阿片戦争に発
展した歴史もある。阿片を長いパイプで吸うウツロな現地人の映像が目に浮かぶ。

 読みもしないけれど、喫煙キャンペーン誌は、「大人の身だしなみ」とか、「理想に囚われす
ぎると」、「煙草のみを狙い撃つ空気」、「税収に貢献する喫煙のどこが悪い」、「ほんとに健康
に悪いのか」と、多分その道の作家、学者の意見なのでけっして狭い観念での喫煙擁護論だ
けではないことが予想できるが、言いたい放題。

 (2)タバコをどうして吸うのか考えてみた。本当に健康に悪いのかと言っても、栄養補給やそ
れこそ健康のためにタバコを吸うのではないことは間違いない。もちろん、国家財政に貢献
するために殊勝にも吸う訳でもない。
 大人の身だしなみという、少年期の大人へのあこがれ、格好つけ、背伸びと、同年期との
区別、比較存在感が、端緒かな。あとは、精神安定剤、つまるところが、手放せなくなる常
習性(一応、病理的現象)というところ。

 (3)禁煙志向というのは、WHOの「健康のためには全面禁煙」という指針にもとづくもので、
これは①喫煙者への規制的な作為と言うよりは(結果的にはそこに行き着くことになる訳だ
けれど)、②喫煙しない人の生活環境を整備し維持するための、社会的申し合わせ、理念
(logic)だ。

 JTが専売的にタバコを販売して税収を上げている中で、タバコを吸う人も吸わない人もい
る社会。タバコのもつ煙(広い意味でダイオキシン)、匂い、付着物効果が、そのうちの一つ、
二つは嫌悪を持つものであることは間違いない。

 (4)そこで、喫煙者に便宜をはかる分煙化というのが社会では一般化している。便宜という
こともあるし、一定しない喫煙マナーから禁煙者、社会環境を守る意味合いもあるし、結果
として喫煙二次感染の防止の役割もある。喫煙者は、分煙化で禁煙者の利益も守られてい
ると考えるのだろう。

 JTが専売的にタバコを販売しておいて、全面禁煙とはパラドックス(paradox)。不特定多数
が集まる場所までもの分煙化による、能動的な喫煙保護(active smoking)の社会的効果よ
りは、喫煙は完全に個人的な嗜好、趣味としてエリアを自発的に分断して限定して、受動的
な禁煙保護(passive no smoking)の利益の方を優先(priority)しようという申し合わせ、理念
が、全面禁煙論。

 喫煙キャンペーン誌の意見に見られるような、禁煙論が「喫煙者」への強制的、強迫観念
的な作為ではなく、「禁煙者」へのソフトでささやかな擁護論なのだ。

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