いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

教育への公権力。 public rights power against the education

2014-02-14 19:33:54 | 日記
 (1)文明、文化の高さが国民の成熟度をはかるバロメーター(barometer)となるが、それを推進するのは教育力だ。
 自治体の首長は全国学力テストでの当該県の結果について敏感で、最近も県内の成績下位の校名や校長名を公開するとかしないとかで物議をかもして、またあからさまに対立姿勢を示して教育現場への影響力、指導力を強める首長もいる。

 教育は国の基本的政策であるが、教育現場からは政治的影響力を排除して中立性(neutralization)を保つことが理念とされてきた。

 (2)教育内容は初等、中等教育では文科省による学習指導要領にもとづき全国均質で平均的な学習能力の育成をはかってきたが、かっての教育現場(人事、運営)は日教組が強い影響力を持って、中立理念とは異質の政治的に偏向した構図であった。

 日教組は教育内容に踏み込んだものではないにしろ、教育の中立性を盾に政治の介入、政府との対立を強めていたパラドックス(paradox)として政治的影響力を持った組織だった。
 大学は教育研究の自主性、自由、独立から大学自治の名のもとに一切の公権力(public rights power)の介在を排除して、政治権力から距離を置いてきた。その大学が学生運動に適切に対応できずに公権力の介入を招いた。

 (3)安倍首相は教育改革に意欲を示して、従来の6・3・3・4年制の教育制度の見直しに着手しており、自治体も校長の民間人任命による教育の効率化、成果主義を目指している。

 現在の教育行政、学校現場は互選による教育長、教育委員長を頂点とする教育委員会の主導で行われているが、近年の学校いじめ問題の顕在に有効な役割を果たせずに機能せず、社会問題化していた。
 
 (4)教育の最大の問題、課題は教員の資質劣化であり、それが招く学校現場の管理崩壊にある。
 教育行政改革、仕組み変更ばかりでは教育の質的向上、変化はみられないだろう。詰め込み式教育に限界がくるとゆとり教育に転化し、それでは学力低下を招いてまた見直しとの国の教育行政、制度に一貫性、普遍性のないところが教育効果の改善につながっていない。

 (5)それは大学の受験制度のめまぐるしい変化とも共通する。教育というのは、成長過程に合わせて知識との遭遇期、興味関心期には与える時間を豊富に、応用、探究期には自主、自由、独立した教育環境を提供、整備することが基本だ。
 教員の資質劣化で混乱した教育現場を教育行政、制度改革で見直そうとするところが機能性、適切を欠いている。

 (6)安倍政権の教育行政改革の意図はよくわからないが、教育への政治介入、主導を強めており、今回は首長が教育長、教育委員長の任免を直接決定する教育改革を進める。
 冒頭の首長の当該県の学力テストの結果に一喜一憂する姿勢が教育行政に強く反映されることになる。

 国民の成熟度とは何か、成長途上の子どもの教育の本質について、一喜一憂することのない普遍的であることと、やはり教員の質的向上にこそ改革的見直しが必要だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする