いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

自衛隊の危険と矛盾。 the self defense forces under the risk and the discrepancy

2014-02-09 15:11:26 | 日記
 (1)自衛隊(the self defense forces)は日本が他国から攻撃されたときに主権(領土)と国民を守るために防衛する戦力組織だ。交戦権を認めず、戦力不保持の平和憲法主旨から戦後しばらくは野党中心に違憲存在と主張されてきた。

 近年は個別的自衛権(right of separative self defense)が国際法上も認められた権利であり、国民的合意を得て自衛隊の防衛役割、任務も社会的認知を受けてきた。
 そこへ米国覇権主義に取り込まれた日本は日米軍事同盟関係の要請の中で、憲法を拡大解釈して国連協力事業参加名目で自衛隊の戦闘紛争地への国連PKO活動による海外派遣を国会の多数決で強行決定した。 
 安倍首相はさらに憲法改正により自衛隊の国防軍化を目指している。

 (2)自衛隊法は他国からの攻撃に対して個別的自衛権による主権(領土)と国民を守るための役割、任務を想定するものだから、当然のように自衛隊の海外派遣などを想定もせずに適切に対応するものとはなっていない。

 たとえば、日本人が国外でテロ攻撃を受け人質にとらわれても自衛隊は奪還、脱出のために銃器、武器の使用は認められずに、つい近年までは日本人の救出者を陸上輸送して安全に脱出させることもできなかった(リビア石油プラント基地での現地日本人従業員がテロ組織に攻撃されて死亡者も出た事件を契機に在外日本人を陸上輸送できるように自衛隊法改正)。

 (3)自衛隊の役割、任務を考えれば当然の法概念であり、あくまで現地国政府の日本人被害者の安全救助対応にすべてを委ねる日本の交戦権を認めず、戦力を保持しない平和憲法規定の主旨だ。

 こういう自衛隊の役割、任務の中で、憲法を拡大解釈して憲法に抵触する自衛隊の海外派遣だけを進行させた結果、海外での自衛隊の役割、任務の限界による「危険(risk)」にさらし、危機管理に対して置かれた人道上の適切な安全行動仕様も持たない「矛盾(discrepancy)」にさらされている。

 (4)現状が「危険」であり「矛盾」であるから、武器を使用する自衛隊(国連PKO活動では限定武器の使用許可)を海外に派遣することが日本の平和憲法主旨の中で普通であるということではない。

 問題は、現状背景のとおり自衛隊の法、役割、立場、国民合意形成を整備せずに拙速な海外派遣決定を先行している「危険」であり「矛盾」である。
 安倍首相は自衛隊の国連PKO活動海外派遣について、当時も国民の過半数が反対したが今では国際平和に貢献していると自画自賛しているが、自衛隊の海外派遣における置かれた安全業務環境はその平和憲法との整合性、立場上厳しいものがある。

 (5)安倍首相は参院予算委員会で自衛隊の武器使用基準の緩和について前向きな姿勢(議論)を示している。
 自衛隊の海外派遣での武器使用を緩和すれば平和憲法との整合性に問題もあり、国連平和活動名目での憲法改正論議につなげるものだ。
 当然のように日本の軍事強化への中国はじめアジア諸国からの警戒批判を受けることになるだろう。

 平和憲法下での自衛隊の役割、任務と反比例する拡大解釈して海外派遣を強行した危険と矛盾の政治的ジレンマ(dilemma)だ。

 (6)自衛隊の海外派遣は後戻りはもうできない。自衛隊の危険と矛盾を最小公倍数(the least common multiple)でどう解決するのか。政治の責任は重い。

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