(1)近年は「状況証拠(evidence of circumstance)」だけで立件して裁判に持ち込む判例も出てきて、もちろん慎重な捜査で間違っても冤(えん)罪を起こさない判断が必要になってくる。
情報化新時代の犯罪(a crime of a new era of intelligence)として、他人のパソコンを遠隔操作して爆破予告など脅迫事件を起こして複数の誤認逮捕を引き起こした片山祐輔被告の事件は、「状況証拠」は積み重ねたが被告が一貫して事件を否認し続けて肝心のパソコンを「誰」が操作したのかの証拠「不在」証明(alibi)を巡って、まったく新しい司法展開の世界に突入した。
(2)発信証拠のパソコンは特定できても、所有者は特定できても、関係メールを直接発信したのは所有者なのか別の他人なのか、それを誰が使用、操作したのかの証明は極めて困難だ。
発信時間にパソコンを操作し、その目撃証言でもない限りはパソコン操作の特定など不可能に近い。自室でひとりの状況では状況証拠はあってもまず証拠能力を特定するなどできない。逆にパソコン所有者本人がその時に操作できない証拠の開示を求めるしかない。
(3)被告本人が否認し続ける中で保釈になった(release him on bail)のは、同事件での証拠能力、立件能力に限界があったことが要因だろう。
ところが事件はさらに混迷を迎える。片山被告が地裁の公判に出廷中に、何者かが真犯人と名乗り片山被告を「スケープゴートにした(犯人に仕立てた)」(報道)と裁判を否定する内容のメールがメディアに送られてきた。
(4)一見、片山被告は出廷中でこのメールには関与できない状況にあると見られるが、その前日に片山被告がスマホを河川敷に埋めるところを追跡捜査員が確認しており、掘り起こされたスマホからは同メールが残っていることがわかった(報道)という手の込んだ話だ。
捜査当局はタイマー機能を使ってメールを送信した疑いがあるとして同被告の保釈取り消しを請求し、一方弁護側は同メールによって同被告が犯人でないとして起訴の取り消しを申し立てた(報道)ややこしい話に発展している。
(5)問題は一旦保釈された片山被告の所在がつかめないことだ。昨日は片山被告と弁護団が記者会見を行う予定の席にも片山被告はあらわれずに、弁護団が「真犯人にはめられているのかもしれない」(報道)として一方的に本人の無罪を主張する姿勢には、とても公平で公正な司法の一翼を担う弁護士のものとは思えない「うかつ」さと「偏向」が見て取れた。
(6)被告の保釈中の所在の把握、確認が出来ないなどとは間違ってもあってはならないことで、弁護団の責任は大きく逃亡、犯罪誘発の可能性もあり許されるものではない。
そうした手落ちの中で被告のいない記者会見を続け、一方的に同被告の無罪を主張するなどとは理解に苦しむものだ。
本日になって片山被告自ら同事件の犯人だとの連絡が弁護団に伝えられ、その後のメールも自分が送ったと述べたと報道されて、片山被告は保釈が取り消されて再び収監された。
(7)情報化新時代の特徴の犯罪に対する証拠能力の研さんを高めるとともに、高い状況証拠の積み重ね、組み合わせで間違いのない立証能力の向上性の確立も必要だ。
情報化新時代の犯罪(a crime of a new era of intelligence)として、他人のパソコンを遠隔操作して爆破予告など脅迫事件を起こして複数の誤認逮捕を引き起こした片山祐輔被告の事件は、「状況証拠」は積み重ねたが被告が一貫して事件を否認し続けて肝心のパソコンを「誰」が操作したのかの証拠「不在」証明(alibi)を巡って、まったく新しい司法展開の世界に突入した。
(2)発信証拠のパソコンは特定できても、所有者は特定できても、関係メールを直接発信したのは所有者なのか別の他人なのか、それを誰が使用、操作したのかの証明は極めて困難だ。
発信時間にパソコンを操作し、その目撃証言でもない限りはパソコン操作の特定など不可能に近い。自室でひとりの状況では状況証拠はあってもまず証拠能力を特定するなどできない。逆にパソコン所有者本人がその時に操作できない証拠の開示を求めるしかない。
(3)被告本人が否認し続ける中で保釈になった(release him on bail)のは、同事件での証拠能力、立件能力に限界があったことが要因だろう。
ところが事件はさらに混迷を迎える。片山被告が地裁の公判に出廷中に、何者かが真犯人と名乗り片山被告を「スケープゴートにした(犯人に仕立てた)」(報道)と裁判を否定する内容のメールがメディアに送られてきた。
(4)一見、片山被告は出廷中でこのメールには関与できない状況にあると見られるが、その前日に片山被告がスマホを河川敷に埋めるところを追跡捜査員が確認しており、掘り起こされたスマホからは同メールが残っていることがわかった(報道)という手の込んだ話だ。
捜査当局はタイマー機能を使ってメールを送信した疑いがあるとして同被告の保釈取り消しを請求し、一方弁護側は同メールによって同被告が犯人でないとして起訴の取り消しを申し立てた(報道)ややこしい話に発展している。
(5)問題は一旦保釈された片山被告の所在がつかめないことだ。昨日は片山被告と弁護団が記者会見を行う予定の席にも片山被告はあらわれずに、弁護団が「真犯人にはめられているのかもしれない」(報道)として一方的に本人の無罪を主張する姿勢には、とても公平で公正な司法の一翼を担う弁護士のものとは思えない「うかつ」さと「偏向」が見て取れた。
(6)被告の保釈中の所在の把握、確認が出来ないなどとは間違ってもあってはならないことで、弁護団の責任は大きく逃亡、犯罪誘発の可能性もあり許されるものではない。
そうした手落ちの中で被告のいない記者会見を続け、一方的に同被告の無罪を主張するなどとは理解に苦しむものだ。
本日になって片山被告自ら同事件の犯人だとの連絡が弁護団に伝えられ、その後のメールも自分が送ったと述べたと報道されて、片山被告は保釈が取り消されて再び収監された。
(7)情報化新時代の特徴の犯罪に対する証拠能力の研さんを高めるとともに、高い状況証拠の積み重ね、組み合わせで間違いのない立証能力の向上性の確立も必要だ。