いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

VWのコンプライアンス不正。 illegality of VW

2015-09-24 19:52:21 | 日記
 (1)ドイツの車はベンツ、BMWとブランド力の高い世界的名車が多いが、機能性もそうだが安全構造性の高さ、考え方が魅力でもある。
 日本の車のように行き渡った自動制御装置満載車というよりはライトは手で操作するとか、「遊び心」というよりはアウトバーン超高速長距離走行での「注意力」を喚起する安全運転のちょっとした心遣い、配慮が見られるのは、ドイツの思想、哲学、法理論体系からくるものではないのかと思わせる。

 そのドイツVW(フォルクスワーゲン)は日本のトヨタと販売台数世界一を争うドイツを代表する自動車メーカーで、日本でも比較価格の手ごろ感もあって輸入車の販売台数トップを占める人気車だ。

 (2)そのVWが今欧州で人気のディーゼル車の排ガス規制検査で「当局の検査の時だけ排ガス低減機能が作動するソフトウェアを搭載し、規制を逃れ」(報道)て通常走行時は大量(基準値の最大40倍ー報道)の有害物質を排出していたことが判明した。

 ディーゼル車はロータリーエンジンの独自の運転機能性、構造性の優秀性、燃費向上性から注目されていたが、大量の有害物質を排出することが課題となっていた。

 (3)しかし地球環境時代に合わせて技術開発により有害排出量を大幅に減らすことに成功し、クリーンディーゼルとして欧州市場では50%を超える(報道)占有比率で人気車となっている。

 自動車は数百、数千ともいわれる部品の組合せによる精密製造品としてリコールはつきもので、利用者の安全性確保のために自動車メーカーにはリコールの申告が義務付けられている。

 (4)トヨタも米国でハイブリッド車のブレーキ不具合事故によるリコール認定が遅れて訴訟問題となり多額の賠償金支払いと国際的批判を浴びることにつながったことがある。
 VWは世界戦略としてトヨタ、米国自動車産業と熾烈な販売競争をくり返して、ドイツの安全性優先の思想、哲学、理念よりは利益第一主義の商業主義に陥っての今回の排ガス規制検査のすり抜け不正(対象1100万台・対応費用8700億円ー報道)となった公算が強い。

 (5)リコールの遅れ、認定問題と違って検査すり抜け不正(illegality)となると悪意が明白であり、ドイツ(産業)の国際的信用性に及ぼす影響は大きいものがありメルケル首相も会見で懸念を表明している。

 VWの世界的販売戦略を急拡大(報道)させた現会長は自ら任期を2年延長して続投することを内定(同)させ経営に意欲を示したばかりだが、早々に会長辞任を発表した。
 ドイツの思想、哲学、法理論体系を確立した歴史、文化、伝統に根差したコンプライアンス(compliance)重視国家、社会からくる早期決断だったように思う。

 (6)同時期、日本でも大企業の対面を保つために東芝が長年粉飾決算まがいに手を染めていたことが判明した事件が起きたが、日本社会の経営責任者は問題解決の道筋をつけてから交代するというようなことが責任の取り方として主流であったのとはあきらかに異なる早々の会長辞任決定であった。

 地球環境時代を迎えて自動車産業も環境適合車の開発が求められて、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の開発競争も激しくなっているが、製造者責任としてのコンプライアンスを欠いては未来はない。 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする