いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

戦争の傷。 wound of war

2018-01-10 20:10:23 | 日記
 (1)戦争の傷(wound of war)というのは、生涯消えることはない。1945年に日本が受けた広島、長崎の原爆投下による被害は、今も苦しめられている人々がいて、1945年以前に旧日本軍がアジア侵略戦争で侵略支配による韓国では戦争被害の当時慰安婦が現存する。

 戦争被害は「心」の傷が重いが、元慰安婦問題は戦後戦争責任一括処理で解決したとする日本と歴史認識問題で謝罪と責任を求める韓国朴政権との間で2015年に安倍首相のおわび会見と韓国の和解財団基金に10億円を拠出することで元慰安婦問題の合意決着がはかられた。

 (2)ところがその後に誕生した文大統領が元慰安婦問題の見直しを主張して再交渉にまで言及すると、日本側はこれに対して国と国との合意決着を無視する無原則外交として強く反発して受け入れずに批判している。

 韓国内には元慰安婦問題を{カネ」で解決したとの批判もあって、このたび韓国側は日本が同問題解決のために拠出した10億円を韓国政府予算で用意(報道)して、日本拠出の10億円の取り扱いを日本側と協議する意向を表明した。

 (3)文大統領が主張していた再交渉については、日本側の努力の継続に期待して言及しなかった。これで韓国国内の反発、批判を抑えれるのかはわからないが、政治、外交上は一連の同問題の韓国の日本への批判、対応は韓国の「国内問題」であり、日本に対しては決着した問題というのが原理原則である。

 (4)しかし、今日的国際政治はこの原理原則が揺らいでいる。米国ではオバマ前大統領が進めた核軍縮政策は、トランプ大統領の登場で核戦略強化に転じ、包括合意をしたTPP交渉は一方的に離脱して国際的な温室効果ガス削減枠組みからも一方的に離脱宣言をして、それまでのオバマ前政権の国際協調路線から米国第一主義、保護主義に転じている。

 政権が代われば政策、理念、方針、主義が変わるものではあるが、こうも簡単に一方的にこれまでの外交上の規律を破棄、放棄して自国利益優先にばかり走るとすれば、国際秩序(order)は維持できない。

 (5)冒頭に戻れば、元慰安婦問題は生涯消えることのない深い、重い(侵略)戦争の傷跡であり、根本解決はむずかしいものではある。しかし国と国との責任ある立場からの交渉解決は必要で、合意がはかられた以上はどの政権であっても国際法上、政治、外交上は尊重されるべきものであり、理解、認識に問題があると考えればあくまで韓国の「国内問題」として対策、対応されるべきものであり、この政治哲学、原理原則を無視しては国内、国際関係の混乱、無原則、無秩序(disorder)を招くだけの無統治性といえる。

 (6)まずは文政権が「国内問題」として韓国内で対処、対応して一定の筋の通った結論のもとに、あるとすれば日本の努力について話し合うということではないか。

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