いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

EU離脱の政治的変化論。 political change in EU leaving

2019-09-09 19:47:27 | 日記
 (1)政治状況も1国のリーダーが変われば、変わる。米国は8年の民主党オバマ大統領から共和党トランプ大統領に代わって、政治基盤がガラリと変わってこれまでの理想主義、協調主義から米国第一、保護主義に変わって政治、経済、社会、軍事でこれまでの国際基準、秩序を大きく変えることになった。

 (2)英国は3年前に国民投票でEU離脱を決めて、その後就任したメイ首相がEU側と離脱交渉を進めてきたが、英国議会の同意を得られずに行き詰まり今年7月に辞任して、その後EU離脱強硬派のジョンソン首相を選出して今年10月末のEU離脱期限が迫って「合意なき離脱」も辞さないジョンソン首相と来年1月末までのEU離脱延期法の成立の議会と全面対決が続く。

 (3)ジョンソン首相の打つ手は「合意なき離脱」が認められなければ議会を解散(議会の3分の2以上の賛成が必要)して総選挙で決着するというものだったが、そもそも国民投票で国民が選択した「EU離脱」(EU leaving)がありながら交渉が行き詰まったからといって議会を解散して総選挙で再び国民の判断、審判を求めるというのは論理矛盾、自暴自棄的行動であり、英国の議会制民主主義の破たん、危機、低下を招くだけのものだ。

 (4)英国のEUからの離脱は仏、独主導のEU理念、運営に対してそもそも不満が強く、EU内の財政、金融危機国の救済、アフリカなどからの大量の難民、移民の受け入れに積極的だった仏、独に対して英国が反発、反対して国民投票でEU離脱を決めたものだ。

 その政治状況は、英国がEUと離脱交渉を進めているうちに難民、移民の受け入れに独などが犯罪の増加により一定の歯止めをかけるなど沈静化もはかられてギリシャ、イタリアのEU債務国も改善のきざしもみられて政治状況が変わってきた。

 (5)EUを主導してきた独のメルケル首相も選挙敗北で3年後の辞任の意向を示して、仏マクロン大統領も富裕層優遇の国内政策が国民の反発を受けて大規模な抗議デモが続いてともに国内政治基盤が弱体化しており、英国がEU離脱を決めた頃とは政治状況が大きく変化してきている。

 こういう今日的EU状況、事情でも英国はEUから離脱する意味があるのか、時間の変化、経過のなかで考えものの政治状況の変化だ。

 (6)ちょっとしたパラドックス性(paradoxical)、パロディ性(parody)のようでもあり、現在の英国民がこれをどう考えているのか、英国首相と議会の混迷を深める対立みせつけられて、そういう意味での総選挙でEU離脱、政治、政権のあり方を問うことも意味があるともいえる。

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