いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

開門か非開門か-その2。 open the gate or close the gate , vol.2

2019-09-14 20:20:14 | 日記
 (1)司法では解決できない問題はある。「ひとつ」の食べ物を巡って2人が対峙してどちらも自分が食べると主張し合っている。半分に分けて食べ合っては2人とも生きられない。もちろんどちらも食べなければ2人とも生きられない。解決には誰かがもう「ひとつ」食べ物を提供するしかない。

 (2)漁業が主体だった諫早湾に国が農業干拓事業を進めて、塩害を防ぐために諫早湾を閉門したことに漁業関係者から湾内の海流がとどこおり漁業事業に弊害がでて不振になったとして、双方から諫早湾閉門、開門の争いがくり返されている。

 訴えを受けた司法は高裁でも閉門、開門それぞれの立場を認める複数判決をして、最高裁では非開門の確定判決が示されたが漁業関係者が異議訴訟に訴えて、今度はこれに最高裁が国勝訴(非開門)とした2審判決を破棄して高裁に審理差し戻しを命じた。

 (3)それぞれに生活が懸かって複雑な経過をたどっているが、最高裁は非開門の確定判決がありながら、今回高裁に審理を差し戻したことは司法としての判断に限界があることを示したものであり、もはや冒頭例のように政治が判断する段階にきていることを指し示す事態だ。

 (4)漁業と農業が共存することがむずかしい自然界の摂理に共存を求めるならば、画期的な産業構造革命、技術革命が必要でありたとえば農業干拓地を巨大ドームで覆うとか塩害に強い品種改良などが求められるが、有効な対策がない中での閉門、開門の不毛のくり返しの争いだ。

 (5)国が国営事業として諫早湾の漁業主体の特殊環境事情に対して農業干拓事業を進めたのだから、国の責任は重く解決策を考え、示す責任がある。司法に判断、解決をゆだねるやり方はここでは適当ではない。

 金銭も含めた補償対策(国民投資者からは政策に疑問はあるが)、農業干拓事業の見直し検討、検証すべきことであって、閉門すれば漁業に開門すれば農業に被害影響を及ぼしてこのままでは問題解決には至らない。

 (6)今回の最高裁の差し戻し判決も以前の非開門確定判決が開門期限限定の暫定的なものであって、その後時間が経過しており事情の変化について高裁に審理を尽くすよう求めたものだ。

 結局それで漁業、農業双方が共存できることにはならない主張なので、高裁で審理することには限界がある。

 (7)諫早湾では漁業と農業が共存できないとするならば、画期的な産業構造革命、技術革命論があるならば国は将来的な研究開発の実現性の意義を提示して、双方に理解を求める方法論(methodology)はある。

 相当に科学技術の高さ、実現のむずかしさ、負担の大きさはあり、そうでなければ事業後出しの国の農業干拓地の見直しは避けられない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする