いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

作家以外から見た文学。 look the literature except writers

2020-07-22 20:06:35 | 日記
 (1)芥川賞、直木賞の発表があった。文学界の著名作家の名前を冠した賞はいつまでも重さを感じさせて色あせないのは、今でも有名、人気作家が多数受賞しているからであり、日本では文学界のノーベル賞ものとの感慨もある。

 しかし年1回の選考だったものがいつからか年2回になって商業主義が前面に出て、何か年中芥川、直木賞を選考している印象だ。

 (2)賞はほしい人にはどんどん機会を与えてダイナミズム(dynamism)にするのもいいが、年1回総決算の価値、重みという意味はある。出版業界はデジタル文書化、比較本を読まなくなった世代到来で紙ベースの本が売れなくなって大手出版社でも廃業する企業が続き、書店も経営難で縮小傾向にあり芥川、直木賞の年2回実施も本への興味、関心を高めたい文学界の事情もあるのだろう。

 (3)芥川、直木賞は同じ作家の選考委員が作家の候補作の中から選考する方式で、同類意識の作家から見た文学優秀作品の選考という純度、精度の高い選考であり、読者の好み、人気、支持とは直接結びつかない、しかし世俗に迎合しない文学の硬質感をあらわすおもしろい選考方式ではある。

 作家が作家の作品を評価、選ぶからには専門性が高く、読者の評価とは一味違うことが考えられ、期待されることが考えられる。音楽でも視聴者の人気、好み、支持と違って、ミュージシャンが選ぶミュージシャンの優秀曲というと観点の違いに別の興味、意味はある。

 (4)これはこれでおもしろいが、年2回も実施するのであればひとつは作家選考委員によるもの、もうひとつは経済、文化、社会思想、知識など多方面からの選考委員による芥川、直木賞の選考があってもいいのではないか。

 本来の設立趣旨とは違うかもしれないが、文学界、出版界、書店の縮小傾向を考えるなら幅の広い社会思想、知識層からの問題提起型の選考方式だ。

 (5)難点は選考委員は候補作品をすべて読破しなければならずに、忙しい日常で他業界の選考委員にそんな時間があるのか、作家選考委員との環境の違いがある。
 賞は1年総決算としての年1回というのが適当と考えるが。

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