いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

敵基地攻撃論。 the theory to attack the enemy base

2020-07-09 20:01:07 | 日記
 (1)日本の自衛隊能力は国際的見地からすれば相当の高い軍事能力を持っているといわれるが、防衛費予算が年々拡大を続けている以外には国民にはそれがよく伝わらない、わからない。防衛問題は他国に情報が知れることは安保上不利益になることから情報公開が進まずに、自国の防衛能力は自国民が一番知らないというパラドックス(paradox)だ。

 (2)北朝鮮のミサイル発射が日本上空を通過することがあり、防衛省はイージス・アショア(地上型迎撃ミサイルシステム)配備計画を進めてきたが、安全構造上の問題が解消されないとして計画中止を発表した。多額の予算を使ったうえでの計画中止だ。

 迎撃ミサイルシステム・イージスは迎撃確率が50%程度と低く、世界は多弾頭、極超音速ミサイル開発でイージスでは対抗できない時代ともいわれて、イージス・アショア計画には疑問も指摘されていた。

 (3)河野防衛相の突如のイージス・アショア配備計画の中止決定だったが、それを受けて今度は自民党内ではそれではと「敵基地攻撃」(attack the enemy base)能力保有論議が出ている。ミサイル攻撃を迎撃できないなら敵基地を攻撃しようという先制攻撃型防衛論で自民党内では根強く議論されてきたものだ。

 (4)攻撃をされる前にその敵基地を攻撃しようというのは究極の防衛論であり、世界の軍事大国は核兵器保有また近年は軍事衛星情報による即時攻撃体制で圧力をかけているものだが、日本は憲法第9条で国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せず、交戦権を有しないと規定しており、安倍政権前まではこれは「専守防衛」論として個別的自衛権の範囲内として解釈してきた。

 (5)安倍政権になって保守思想の強い安倍首相の独自の憲法解釈変更によりこれを集団的自衛権にまで拡大解釈する安保法制を制定して、米国など同盟国と協力して海外の紛争地域に自衛隊を派遣する道を開いた。

 自民党内の敵基地攻撃論は究極の防衛論ではあるが憲法第9条の戦力不保持、交戦権を有しない規定では理論的にも正当性を欠いて、許容、容認できるものではない。そのための日米安保体制、同盟関係であり、理論的、論理的な矛盾、錯誤にあたる。

 (6)世界軍事力は宇宙時代に入り、宇宙軍創設により軍事衛星を使った宇宙からの情報収集、監視、攻撃を可能にしており、軍事衛星による敵基地攻撃ということになればイージス・アショアは宇宙時代にそぐわないことになり計画中止は必然的なことであり、これに代わる自民党内の敵基地攻撃論がどういう意味があるのか理解はできない。

 (7)自民党内超保守思想には核(兵器)保有論も根強くあり、憲法第9条精神を度外視した危険な空論(a futile argument)が存在する。力には力の侵略植民地支配の過去反省による唯一の戦争被爆国として国連核兵器禁止条約にも背を向けては、核軍縮による世界平和を主導する日本の立場がない。

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