(1)政府がコロナ感染者数でこれまでの全数は握報告から定点は握(重症者、特定医療機関限定)報告に見直す検討をしている。きっかけは医師が診療後早朝まで全数報告の入力に追われて業務リスクが増している改善対策だ。
今のところ対応は自治体の判断にまかせる方針で、東京都など自治体からはこれまでの全数は握報告を継続する意向が出ている。
(2)全数は握と定点は握では、実態調査は握の精密度ではかなりかけ離れが大きいのが原因だ。疫病は全数は握により傾向、特徴、方向を見極め対策をとるのが有効とみられるが、コロナ対策では前述のように医療機関、医師に過度の業務負担リスクがかかり、対策が十分とはいえない実情があきらかになっている。
(3)全数は握報告をどういう方法論(methodology)、仕組み、手段で実施するのか十分機能していない実情がある。それとこれまで全数は握報告を受けて、コロナ感染分析、判断、対策にどう生かされてきてコロナ対策として有効に活用されてきたのかはわからない。
(4)コロナ感染状況は今夏、第7波を迎えて過去最大の感染者急増状況となり、全数は握報告が効果を上げているのか疑問、問題だ。全数は握報告が統計のための統計になっていて、自治体のコロナ対策のための実態は握、対策に努めている自治体満足型自己防衛論(corona self-defense theory of autonomy)になっている懸念はある。
(5)コロナ感染はいくつもの変異株の乗り換えでその都度感染者が急増拡大して、現在第7波の過去最大の感染者急増拡大を迎えており、これまで全数は握報告で傾向、分析、対策が有効に機能したとはとてもいえない実情だ。
これでも自治体が全数は握報告の必要性、有効性にこだわるのなら、そのための方法論、仕組み、手段について有効な対策、考えを示す必要がある。
(6)自治体の行政の都合だけで医療機関、医師に過度の業務負担リスクを負わせるだけの自治体満足型自己防衛論では無責任行政だ。コロナ感染状況は国、地域の特性、実情によって一概に比較することはできないが、欧米ではワクチン接種が普及、進んでいる事情もあり行楽地では市民がマスクなしでレジャーを楽しんでいる報道もあり、すでにインフルエンザ並みの日常対応でこれからはコロナと共存していく社会体制がみられる。
(7)日本でも全数は握、定点は握報告論だけでなく、ワクチン接種の加速実施、特定医療機関、病床利用率の改善、医療機関、医師の業務負担軽減について、国、自治体が一体となって対策、対応してコロナ感染拡大を食い止める方法論、仕組み、手段が求められる。