(1)台湾海峡で問題が起きれば日本の有事だと安倍元首相など保守思想の強い政治家が主張して防衛力強化の必要性を訴えてきたが、中国軍がペロシ米下院議長の訪台に強く抗議して4日から予告どおりに台湾海峡での大規模な軍事演習を実施して、日本のEEZ内にミサイル5発が落下(報道)したといわれて現実のものとなった。
(2)与那国島、西表島、石垣島が台湾海峡に接して近く日本のEEZ内ミサイル着弾は脅威で、ペロシ米下院議長の訪台への中国の強い反発、抗議とは直接関わらない日本に対する中国の行き過ぎた軍事圧力の軍事演習行動で許しがたいものだ。
中国は事前にも予定されていた日中外相級会談も直前になって中国側の意向で取りやめになって、これに中国側の説明が今回の問題で「日本はG7諸国、EUとともに中国を非難する理不尽な共同声明を発表した」(報道)とするもので、非難決議はこれまでもよくある話で、だから日中双方が話し合いで理解を深める必要性がある大切なもので、今回の問題に絡めて日中外相級会談を中止する問題ではない。
(3)中国が事前に米中首脳電話会談でペロシ訪台をけん制しながら実現したことで習主席の面目が失われる事態に、冷静さ、判断を失っている。米中貿易戦争では習主席が日本との関係改善を求めて接近して、一時は習主席の国賓待遇の訪日も予定されたが、日本の尖閣諸島領海への中国艦船のたび重なる侵入問題に香港民主派抑圧問題の影響で延期になり事実上立ち消えになっていた。
(4)中国が米国との対立のリスクを同じアジアをけん引する隣国日本との関係改善で補おうとしたものであり、こうした中国側の事情背景を無視した今回の筋違いの日本EEZ内のミサイル着弾の軍事演習余波といえる。
(5)ペロシ米下院議長の訪台は当初4月に予定されたが同氏がコロナ感染して8月に延期されたもので、露のウクライナ軍事侵攻を受けて中国も台湾への軍事圧力を強めるのではないかとの懸念の中で、ペロシ下院議長が訪台を実現して中国をけん制する意味合いがあるともいわれて、事前通告で予想されたとはいえ日本にも日本のEEZ内への中国演習ミサイル着弾という危険な影響が出た。
(6)中国側のこれまでの対応にも最近中国軍と露軍艦船、軍事機がそろって日本近海を公然と行き来する示威行動が増えて、不可解な行動が目につく。中国政府は露のウクライナ軍事侵攻に明確な立場、仲介を示さずに慎重な姿勢をみせて、日本近海では中露軍が共同して示威行動に出ているのはNATOの露への経済制裁に協力的な日本に対する圧力を強める意向があるのではないのか。そんな思いもみえるミステリアス中国(mysterious china)だ。