(1)参院には衆院の行政チェック、非常時補完機能が求められるというのがオルタナティブ(alternative)の役割として認識されているが、衆院優先権の制度上の課題(行政推進)もあってそういう機能が発揮されずに衆院の追随機関としての存在が目立ち、近年は参院不要論の1院制論も出る。
(2)今年、経済界、労働組合、学界で構成する「令和臨調」を立ち上げて参院改革も主なテーマとしており、参院改革論にも注目が集まる。参院改革といっても政治の既得権益、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界ではむずかしい話で、簡単には方法論(methodology)はみつからない。
(3)参院改革のキーワードは自主、独自、独立性と政治的緊張の維持だ。自民1強、総与党時代とか慣れあい政治では国民の意思は的確に反映することにはならない。近年は自民1強時代が続いて衆院に続いて参院でも与党勢力優位で過半数の議席を確保して、参院が衆院のコピー化となって行政チェック機能が働かない現実政治体制だ。
(4)参院改革でまず目指すのは参院の自主、独自、独立性だ。国会議員の任期は衆院が4年で途中解散権もある。参院は6年で3年ごとに半数改選で解散権はない。議員身分を心配することなく6年間政策、理念を監視チェックして議論、審議を深めることを役割、期待するものだ。
(5)政治には適度な「緊張」も必要でそれが国民に対する情報発信、政治活動につながり、6年間も議員身分が保障されるというのも政治的緊張感を欠く。参院任期も4年にして衆院とは時期をずらして選挙を実施する。
参院が解散権を持つのかは、あってもいいが衆院のように事実上首相の特権ではなく国会の判断、3分の2以上の賛成が必要の条件で国会議員が責任を持つ制度を考える。任期4年にして解散権はないという考えでもいい。衆院、参院2院制の政治に緊張感を生むことは必要だ。
(6)他国の例に多い参院のもとに政府の予算執行状況、財政運営を検証して提言、強制力を持たせる「独立財政機関」(IMF提唱)の特性を持たせることも考えらえる。現在は会計検査院が毎年政府機関の予算執行状況を検査、検証しているが多額のムダ出費が指摘されても報告だけで見直し強制力がないので改善に向かわない。
参院改革では政府の予算執行状況、財政運営の検証力に強制力を持たせる考えだ。
(7)参院改革ということではないが、憲法改正の国民投票のように政権への国民の不満、批判を選挙以外でも国民が直接に意見、意思を述べる、判断する国民政治審査権(仮名)を設置して国民主権者が政治に影響力を示す権利、機会があれば政治に緊張感をもたらす効果も考えられる。