(1)日本維新の会というのは岸田政権と事情は似ている。ともに「何もしない」ことが国民の比較高い安定した支持を集めている特徴だ。日本維新の会は野党の立場で憲法改正に前向きで、橋下、松井共同代表が個人的にも安倍元首相、菅前首相とも親しく良好な関係にあり、よく与党保守政権の補完勢力と期待されているといわれてきた。
(2)国政政党日本維新の会の母体の地域政党大阪維新の会の存在感、主導力が高いのも不思議な逆転関係をつくりだしている。大阪維新の会は橋下元大阪府知事、市長が大阪都構想実現のために立ち上げた地域政党で、橋下氏の強い個性、信条で府民、市民の声を聞かない独断専権的な政治手法で議会、教組の旧態然とした古い組織運営を批判、敵にして革新的政治運営を打ち出して、正義感ぶりが府民、市民の高い支持を得ていた。
(3)大阪都構想は財政難、過疎化が課題の地方自治統治のあるべき体制であったが、当時橋下市長が市民の声を聞かない、議会の声を聞かない説明責任を果さずに独断専行型政治姿勢が理解を得られずに信条の大阪都構想が住民投票で否決され、橋下市長は政界を去った。
当時、大阪維新の会の橋下府知事と松井市長が相互に立場を変えて改選して、橋下市長として大阪都構想の実現にまい進する身勝手手法が正義感首長としては支持されても、その身勝手手法は大阪都構想という大阪の行政区割り変更に対しては府民、市民の理解を得る手段もなく理念が住民投票で否決されて敗北となり政界を去ることになった。
(4)その後松井府知事が後を継ぎ、まったく同じ手法で大阪維新の会の吉村市長と相互交代する選挙に打って出て大勝し、余勢をかって大阪都構想実現の再挑戦をしたが、政治手法が変わらずに府民、市民不在の大阪都構想実現の再挑戦は住民投票で否決され、今回大阪維新の会橋下代表から引き継いでいた松井代表も政界引退を決めて今回代表選で日本維新の会共同代表の馬場衆院議員があらたな同代表として選ばれた。
(5)地域政党の大阪維新の会の絶大な政治力は大阪に限定されたもので、国政政党の日本維新の会として全国力を開拓できるのかは国政政党の日本維新の会が母体となる地域政党の大阪維新の会の存在感、主導力から自立(independence)して、「何もしない」ことが国民の比較高い支持を集めている現状から国政で独自の政治力、政策力を発揮できるのかにかかっている。