1.Undulation
2.Heaven
3.鳥になり海を渡る
4.花火
5.そのままどこか
6.waterfall in me
7.目を閉じて、失せるから。
8.Samidare
9.回転
10.観察(interlude)
11.ただいまと言えば
12.Repeat
13.find fuse in youth
意味のない僕らの 救えない程の傷から
泪のあとから 悪い言葉で震える
天使とぶざまな 救えない会話に 刺されて今は
今ながれるこの頬は すべてを すべてを すべてを (Samidare)
昨日、
カネコアヤノさんの名盤「よすが」をレビューした時に、
J-POPって感じじゃない~みたいな表現を使用したんですが、
正直今回の崎山蒼志に関してはよりJ-POPとは乖離した音楽をやってますね・・・
って、
俺J-POP大大大大大好き人間でもあるのに、安易にこういう表現しちゃってアレですけど、
ただぶっちゃけめちゃくちゃ伝わりやすいと思うから使用してるだけであって。
J-POPですと小泉今日子のレコードとか最近聴いてるし。
で、
崎山蒼志、
知ったのはいつも通りNHK-FMからでした。
音楽を探す時ってyoutubeやサブスクとかは大体類似品を並べて来るんで、
実は「色々な音楽を聴く」という点に於いては案外効率が悪いんですよ
個人的にはやはりラジオが一番便利だといつも感じてますね
色々なジャンルが無作為に流れるんで効率が良いですよ。
話が逸れた。
一番最初に聴いたのは「Samidare」って曲で、
正直度肝を抜かれましたね。
独特の声に、
攻撃的なアコギの音色、
生に拘ったアンサンブルの躍動感・・・
それに加えて激しい心の痛みの表現も突き刺さって来たし。。
何もかもが自分の好みでその後蘇我のタワレコでこのCDを買ったんですけど。
崎山蒼志は、
その時のトークによると、
幼い頃、、、小学生くらいだったっけ。。
から曲を作ってて、
レディオヘッドに影響受けたとか、
ナンバガも好き、とか、
お前一体いつの時代の人間だよ、、、って思ったくらい早熟なミュージシャンなんですけど、
なんというか歌詞の内容もアレンジも少年が描くようなものじゃなくて、
もっと深みがあって芸術的でもあって・・・
“才能が爆発してる”んですよね
うん、
「才能の爆発」って言葉が相応しいわな
勿論、そういう研ぎ澄まされた感覚っていうのは幼い頃からの研鑽や努力によって培われたんでしょう
そのくらいしてなきゃこういう言葉もサウンドも絶対に生み出せないわな。
非常に形容し難い音楽で、
ロック?って感じじゃないし、
オルタナ?って感じでもない、
ポップスじゃないし、
テクノでもない、
敢えて言うなら、
「アコギ」かな。
うん、
アコギが一番際立ってるわ
もうエレキを越える熱量のアコギの激しい音色を中心とした、
バラエティ豊かな音楽絵巻、、、って感じですかね
アコースティックロックとか言っても良いんだろうか
でもここまでアコギが攻撃的に聴こえる音楽もなかったんで・・・
その意味ではある種の先駆者になれるポテンシャルも感じられた名盤でした。
回転するこの世は夢か
否かそれはわからないけど
祈りは届くよ 季節や
陰謀を貫通して 何処までも (回転)
で、
例のごとく赤字の3曲が推しの3曲という事なんですけど・・・
今回元々決めてた3曲から1曲悩んで変えちゃったんですよ
まあ甲乙付け難いのもあったし、
振り幅も考えて・・・
宝石箱のようなアレンジが楽しい「Undulation」は本作の中でもポップな一曲
そこからロック色の強い反骨精神溢れる「Heaven」と序盤から流れが良いです
3曲目の「鳥になり海を渡る」って曲はアコギと歌だけで聴かせるこれまた渋くて力強い楽曲
結構、
一曲一曲が濃いので、
真ん中に小休止が欲しいな~って考えてたら、
ポップス風味の「そのままどこか」~から小気味良い打ち込み中心の流れが始まるので、
それもまた聴いてて心地良かったし、
良い具合にアルバムに緩急付けてるな。とか感じました
そう、
シングルっぽい曲が詰まってるアルバム~とかじゃなくて、
もっとアルバムっぽいアルバムだと感じたので、
そういう意味でも物凄くアーティスティックなテイストを感じた作品でもありましたね。
歌詞を引用した「回転」は個人的に大好きな曲
いきなりポップなサビがドスの聴いたヘヴィなアレンジで襲って来るので物凄い鮮烈な印象でした
歌詞全体も絶望というか失望を歌ったものから力強い希望に似た感情を歌ってるものもあって、
そのメリハリもまた素敵に思えた本作
ポップで激しい序盤から優しく穏やかに終わる終盤と、
一枚通して聴いた時のカタルシスを前提として作られてるアルバムに感じるんで、
本当は「一曲を取り出して聴く。」っていう趣向に向かない作品ではあるんですよね
でも、だからこそ、これだけのアルバム然としたアルバムをいきなり作れるセンスは素晴らしい。
しかもこのサブスク全盛の時代で・・・本当野心作であり意欲作に仕上がってるかな、と
乱れ飛ぶ激情と包み込むような優しさが同居してるのもスキの無い名盤と言えます。
赤字の3曲は、
どれも違ったタイプの楽曲を選びました
先述の「Samidare」は強い悲しみと焦燥感がめいっぱい伝わって来る、
それでいてアコギ主体の為尖ってはいるけど聴きやすくも感じるバランス感もバッチリな名曲
間違いなく入り口にも相応しいこれから長く歌われていくであろうアンセムでしょう。
繊細な心理を感情の激流に乗せて歌う音像は何度聴いても圧巻だし、沁みます。
逆に、
「花火」はロック色の強いメロディアスな一曲ですけど、
結構流れが変態的というか・・・
Aメロからサビに入った~と思いきや、
その後ちゃんとした大サビが用意されてるっていう、
ちょっとトリッキーな楽曲で初めて聴いた時は興奮しましたね(笑
一般的なポップスのフォーマットに縛られてない独特な構成とアレンジが魅力的な一曲
歌詞もネガティブなんだかポジティブなんだか判断が付かないニュートラルな感じがまた素敵です。
で、
ある意味異色作の「Repeat」。
これ、
個人的な趣向で赤字にしましたけど、
でもこういうスペイシー・ポップ?が好きな層も結構居ると思っていて。
先述の様に激しいアコギサウンドでもなければロックナンバーでもない、
浮遊感たっぷりの打ち込みの楽曲になってるんですけど・・・
歌詞がまた妙にスケールが大きくて(笑
なんかいきなり輪廻転生みたいな作中観になっちゃうんですけど、
でもその破天荒で際限が無い感じも崎山蒼志っぽいと言えばっぽいんですよね
そういう意味では個人的な趣向に基づく3曲ですけど、案外入り口にも向いてる、、、のかも。多分!
結構、
長くなりました
だってあんまり形容し易いって感じじゃないし・・・
彼が影響を受けたバンドと比べても似てるって感じがしないので、
そういう意味では比較的新しい音楽が、
“令和のロックンロール”が痛快に楽しめる名盤に仕上がってるんじゃないでしょうか。
本当にハイセンスで素晴らしい音楽だな~って鮮烈に感じた一枚でした。
一度、ライブも観てみたいですね。