サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

白と黒/marble

2015-02-03 | アルバム感想







自分が誰かも 何が好きなのかも
分からなくなってる (白と黒)


かぼちゃの馬車ならもうすぐやってくる
そう、信じててもいいでしょう? (「かぼちゃの馬車なら、もうすぐやってくる。」)


見渡したら からっぽだよ
気付けば音も無い 真っ暗だ
ここは何処だろう (欲望のドーナツ)


回転してる しがらみの中
着古されたシャツだ
捨ててしまえばいいのに (希望のホシを)


何にもないよ 自分は
気が付いたら
ほらひとりぼっちみたい (呼吸)








一体何があったんだろう、ってくらいナイーブかつシリアスな歌詞が蠢いている本作ですけど
かといって音がロック寄りなのかと言えば違うしめっちゃ感情的な作品なのかって言えばそれも違う
音自体はmarbleの王道も王道、どころかより洗練されたオーガニック・ポップを響かせている傑作に仕上がってます
曲数も6曲で時間も約23分とサッと聴けてスッと心に入ってくる浄化作用の高いポップ・ミュージックとして鳴っているのが本作「白と黒」なんですね

まあ、タイミングがタイミングなだけに深読みしようと思えばいくらでも深読みできる作品にはなってるんですけど
それは野暮な行為だと思うので自分はしません けど、驚くのは孤独感や満たされない想いを吐露している作品にも関わらず
聴き心地は最高っていうか、耳馴染みが抜群っていうか、端的に言えば「サラッとシリアスな感情を吐き出している」良い塩梅の作品になっているんですよね
どこを切ってもグッドメロディ、多彩でシックな聴き心地の良いアレンジ、そして素朴でじんわりと良さが伝わって来る雰囲気・・・
marbleのストロングポイントといつも以上にシビアな歌詞が相俟って“気持ち良く言葉が聴き手に沁み込む”そんなアルバムに仕上がっています
BGMに出来る程度の軽さがありながら、聴き流せないシリアスさもあって正に新境地かつみずみずしい音像
決して過去の後追いでなく新しいmarbleのスタイルを提示している最新作にしてキャリアを代表するレベルの名盤になっているかと
これはファンだから、とかじゃなく完全に素直な感想であるので、ヴィヴィッドで純度の高いポップスを求める方には是非聴いて欲しいなあ、って思ってます
ある意味marbleが本当にやりたかった音楽なのかも・・・って気がしなくもないです。個人的には。
曽我部恵一とかクラムボンとか空気公団みたいな音が好きなら聴いてみて下さい。要は濁りのないピュアなポップス、という事ですね。


ただこのアルバムは一般発売されていなく、オフィシャル通販とライブ会場限定発売という仕様になっています
正直書くとこんだけクオリティの高い作品ならばもっともっと色々な人に聴いてもらいたいなあ・・・って気持ちもあります
具体的にはレコード店に置かれれば良かったんですが、まあ結構私小説的な、、、パーソナルな部分が占めるウェイトの多い作品ではあるので
その意味ではそれはそれで、って気もしなくもないんですけどね。
恋愛の歌とか一つも入ってないし、
めっちゃ前向きとは決して言い難い方向性ではありますが
程ほどにシビアでありながらそれでも懸命さも携えている歌詞
そんな歌詞をサラッと汗臭くなく伝えられるセンス、は正に理想的であり
本当に俺はmarbleの歌詞もメロディもアレンジも、要するに音楽そのものが大好きなんだなあ、と。
だからこそファンとして少しでもこの音楽の良さを正しさを伝えたくなっちゃうんだろうなあ・・・って思うレベルにクオリティの高いアルバムだって事です。

既にアナウンスされてますが、本作と今月の3本のライブをもってmarbleは活動休止期間に入ります
その前の最後の作品としては色々な意味で相応しい内容のアルバムになっていると同時に
また新しい、また違った純度の高さを提示出来たアルバムだと思っているので
個人的にはまだまだ“その先”の活動にも期待したいですし
期待したくなるアルバムだと思います
marbleのキャッチコピーであったオーガニック・ポップのネーミングに恥じない作品が休止前最後の作品ってところが
ファンとしては誇らしいし、嬉しいし、迷いなく推せる事に本当に「ありがとう。」って書きたいですね。
清廉かつシビアで、その中に眠る能動性なんかも感じられる傑作でした。「白と黒」。


一曲一曲ごとに触れると、
PVも作られている「白と黒」はヴィヴィッドなバンドサウンドが気持ち良いキラーチューン、
別に歌詞の中で何かが解決する訳でもなく、ただ、色々な迷いや不安を抱えながら、「歩くよ」
それ以上は何も言わない潔さが気持ち良い曲 余談ですがPVの最初の方の4人集まった所でmiccoさんが歌い出す部分が超クールだと思います(笑
「かぼちゃの馬車なら、もうすぐやってくる」はライブで聴いた時は正直単純に楽しくて盛り上がれる曲・・・ってイメージでしたが
音源で歌詞を読みながら聴くと「頑張った分だけ報われても構わないでしょう?」って痛切に祈るような案外シビアな曲でもありました
勿論アレンジはカラフル、メロディは伸びやかでポップ、菊池さんのギターも良い具合に遊んでて非常にロックンロールな仕上がりで
そういう祈りにも似た気持ちと共にワクワクドキドキするような感情も付随してるような曲でもあります

「サイダー水に浮かんで消えた。」は今作でも随一に音の純度、透明感の強い楽曲で
素朴なポップ・ミュージックが好きならば一発で気に入る類の楽曲かと
この歌詞がまたカラフルな言葉に隠れて、実は成功も失敗も通じる事も通じない事もあるのが人生なんだよ。と
自らに言い聞かせるかのように歌っている深くて沁みる内容になっています
「欲望のドーナツ」はスローバラッド、
オルタナティブな音像にもなっているのでこれまた気持ち良く聴ける 3分弱で終わる収まりの良さも素敵

「希望のホシを」はすごく不安定な心情がグッと来る塩梅で伝わって来る物凄い感情移入してしまう類の曲ですね
期待されてる 勘違いかもね ってフレーズが生々しくて個人的にこのフレーズが大好きです 人間くさくていいなあ、っていうか。
メロディもポップで派手さもあって、タイアップが付いてもおかしくないパターンの一曲です
「呼吸」は、既にライブでは早くも定番曲のオーラを身にまとっている、今作でシングルカットするならば間違いなくこれ!って楽曲です
一番パーソナルな部分が反映されてる曲というか、曲中からmiccoさんの人生が滲み出ていてファンなら気持ち涙無しには聴けない一曲
素朴であったか味のあるメロディ、跳ねるようなリズム、心地良いアレンジ(特にドラミングが◎)・・・正に最高のキラーチューンですね
あと個人的に考えちゃうような現実がある中で「おいしいものとかさ、食べようよ」って方向性の歌詞がツボだったりするので
その意味でもお気に入りの一曲です この曲は間違いなく活動休止前ライブで披露されるでしょう
音源発売前に生で聴いて一番印象に残った曲でもありました(今ではどれも印象的ですけどね!)
こういう素朴かつグッとくる曲を最後に、
もっと言えば活動休止前最後の作品の最後に持って来るセンスがやっぱり最高だと思います
まだまだmarbleとしての夢をファンとして、この先もその先も見続けていたい。そんな風に思わせる一曲ですね。名曲。










要約すると最高にmarbleらしくて、それでいて新境地でもあってみずみずしくて、最終的には心温まる作品であると言う事
そして今月7日に神戸、15日に東京で活動休止前最後のワンマンライブがあるのでファンな人、興味がある人は是非共に楽しみましょう

今後もmarble、miccoさん、菊池達也さん各々に注目&応援を続けていきます。大好きなので!




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