きょうのうそ寒い写真を見ていて、今は使っていない古い半シュラフ(寝袋)を日に当てるつもりでいたことを思い出した。残留していた2頭の牛を捕まえ下牧させるために、登攀用のロープを使うことを思い付き、その際に押し入れの隅に押し込められていた半シュラフを見付けた。
今も登山者の間では半シュラフなど使われているのだろうか。これと羽毛服(ダウンジャケット)を併用することで、軽量化を求める登山者、主に登攀を目的とした人たちの間で活用された。状況次第では、これにシュラフカバーを利用したこともある。
この半シュラフは、半世紀近く経っている。英国隊がエベレストに挑戦した際、頂上攻略のために最終キャンプで使用された物と同じメーカーの品だと吹聴されて買った。今も当時の性能が保たれているかどうかは分からないが、寒さには人一倍弱いくせにこの半シュラフのお蔭でか、腰から下が冷えて眠れなかったという記憶はない。
ただし、これはあくまで腰から下の話で、冬の山で快適に眠った記憶などは一度たりともない。シュラフカバーの中にまで首を突っ込み丸くなって、吐く息でその中を暖めてまで厳寒に耐えようとしたものだ。
冬と違い、夏の山ではこの半シュラフとシュラフカバーがあれば充分で、思い出そうとすればこの中途半端な寝袋に世話になった山行は多く、この山の用品にもかなりの愛着がある。だから、もう使うことはないと思うが、それでも外に出して日に当ててやろうという気になったのだ。
今では「ダウンジャケット」とか「ダウン」とか呼ばれてすっかり一般化したが、「羽毛服」と呼ばれたころは舶来品しかなくて、高価で手に入れるのも当時は楽ではなかった。山岳会によっては羽毛は贅沢だという理由で、国内の山行においては羽毛製品を使うことを禁止しているという話まで聞いた。それくらいだから恐らく当時の製品は、値段相応の本物の水鳥の胸毛、グースダウンが使用されていたと思う。今は「ダウン」と言っても品質や値段は色々のようで、それにしてもここまで普及するとは思わなかった。
その後寝袋も、羽毛服も新しい物に換えた。しかし相変わらず、雪のある時季は快眠とまではいかなかったような気がする。昔の物の方が良かった気がするが、今夜は試しに古い半シュラフと羽毛服を着て、零下にもならない部屋で寝てみたらどんな気分がするのだろうか。半シュラフと同じくらい古い羽毛服もまだあるが、これは遠慮しておく。
今夜は集落の裏の開田に木星、月、土星の接近を見に行くつもりでいる。K山君、了解しました。本日はこの辺で。