入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       ’16年「夏」 (20)

2016年05月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


午前3時、カッコーが鳴いている。外に出てみたら、中天に少し欠け始めた月が夜空を独占していた。しばらく眺めるともなく眺めていると、月の光の中に、無数の星々の淡い光が見えてきた。
 
 昨夜は、海老名出丸ご夫妻と控えめに酒を飲みながら旧交を温めていたつもりが、不覚にも沈没。しかしそのお蔭で夜中に目覚め、ついには鳥の声を聞きながら久しぶりに山の夜明けを味わっている。こうして少しづつ空が明けていくのを眺めながら、とりとめのないことを考え、思い出し、後はまた前夜の酒の余韻を頼りにグライダーが滑らかに着地するように、もう一度とろけるような眠りに戻るつもりだ。
 グライダー、妙なことを思い出したものだ。18歳の夏に飛んだ。あの時のことが格別懐かしいわけでもないが、機体が風を切る音と、利根川の上空300メートルからの眺めを少しだけ覚えている。


   HALはカメラが嫌い?

 天気予報はどうしたのだろう。良い方に外れているから不平を言うのは控えるが、それにしても素晴らしく晴れ上がった空だ。海老名出丸夫妻は悪天を避け、二晩目は幕営を止めて小屋泊まりにしたというのに、これでは気の毒だ。
 7時、起きてすぐに牧場を見回る。光のまばゆさ、それを受ける木々の葉のコントラストが目に沁みた。コナシの花もこの分でいけば週末には見ごろとなるだろう。明後日は入笠山の開山祭である。

Kさん、またお出掛けください。

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       ’16年「夏」 (19)

2016年05月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


ようやく第1牧区の「三本のミズナラ」が芽吹き始め、牧場の雰囲気も変わった。コナシも今日のような天気が続けば、今は赤い蕾でも、すぐに白い花を開くだろう。ただし、同じ木でもこの花の開花はまちまちで、そのため折角咲いた白い花に赤い蕾が混ざっている間は、純白の花嫁ドレスになぞらえるにはふさわしくない。枝打ちではさんざんに手を焼かされたが、やはり”性悪の花嫁”である。呵々。

 東部支所の職員の農業研修が一応今日で終わった。4人づつ4回にわたって行われたが、彼ら彼女らは普段は金融や共済に関係する人たちが主で、牧場と直接関わることはない。それでもJA上伊那が入笠の地にこのような牧場を持ち、いろいろな問題を抱えながらも保持し続けているその実態に触れたり、知ってもらえたことは意義があったと思う。
 牛乳を飲むときこの美しい牧場を思い出し、先人の努力、牧場の今、酪農の現状などを少しでも考えてもらえたら有難い。ご苦労様でした。
 また今日は、畜産のコンサルタントのY氏、畜産課々長、同係長も牧草の状況などの視察で来牧、しかし充分な対応ができず申し訳ないことをした。

 海老名出丸さんご夫妻が来訪。昨年の10月以来で、今回も2泊の予定。今のような季節、キャンプ場を独占してノンビリ過ごすには「これ以上のところはない」、と言っていただいた。宣伝しておきたい。海老名出丸さんによれば、蝉は2時半にピタリと鳴くのを止めたとか。

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       ’16年「夏」 (18)

2016年05月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上ってくる途中、田植の終わった田の中で植え直しをしている年配の女性の姿があった。植え直しとは、田植を済ませたあと、倒れたままになっている苗をもう一度手で起こしたり、植え直したりする作業のことだが、機械で広い田を一気に植えてしまうような昨今、ここまで丁寧なことをする人も少なくなった。
 その際、他の上手く植わっている苗に影響しないよう気を付けて、バランスをとりながら泥の田の中を少しづつ移動していく。今朝のその女性の、なんとも年期の入った無理のない動きを見て、懐かしい風景を目にしたような気がした。
 山室で馬耕・馬運を業とするY君夫婦は、当然田植も手でしたのだろうが、おそらく彼らがあんなふうに泥田の中を動き回れるまでには、まだ時間がかかる気がする。
 彼らは農業の機械化の流れに抗して、夫婦で馬を使い、田起こしから田植、刈り取り、収穫までを古い農法でやろうとしている。まだ小さな子を背負い鍬を操る妻のNさん、言うことをなかなか聞こうとしない馬に苦労する夫のY君、大変だろうが折れずに続けていってほしい。労多くして益少ない仕事だろうが、きっと君たちは選ばれたのだろう。牧場への往きと帰り、二人の大事な山田の様子を毎日見ている、これからも見ていく。
 いたずらに古いものを尊び、新しいものを嫌うわけではないが、後世に伝える価値のあるものは、残すべきだ。時代遅れと謗られても、骨とう品なぞに負けるな。






   アラスカの森へクリンソウの様子を観にいったら

 Nさんご夫婦が小屋に2泊して、今朝帰っていった。折角来てくれたのに何もできず、あっという間に日が過ぎてしまった。梅雨が明けたらまた是非お出掛けください。そのころには、夏の夜空もきっと満喫できると思います。牧場(ここ)から眺める天の川は絶品です。

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       ’16年「夏」 (17)

2016年05月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 あっ、カッコーが鳴き出した。この鳥はしばらくはしつっこいほど鳴く。それにつられて他の鳥も囀りを始めた。こうして耳をそばだてて聞いていると、いろいろな鳥の声がする。ウグイス以外は分からないと思ったら、無粋なカラスも一声鳴いてどこかへと飛び去った。今日もいい天気だ。



 爽快な朝が始まったばかりだというのに、ここでまた一日前の話をするのもナンだが、昨夜の月はものすごかった。人工の照明と見紛うほどの明るい月がずっと夜空で独演していた。あんな見事な月をここで見たのは初めてだと言ってもいいくらいだった。
 「独演」などとつい書いてしまったが、違った。後で知ったが、実はわれわれの地球と、そのお隣の惑星である火星が、それぞれの軌道の関係で約760日ぶりに最接近するという。そのため、ここ数日の夜空の主役は月よりもむしろ火星ということになるか。
 最接近した時(22日11時10分GMT)の二つの惑星間の距離は7800万キロメートルだというが・・・、ウーン地球と月との距離の何倍になるか計算でもしてみれば、少しは距離感覚がつかめるかも知れない。しかし、それがどうしたと聞かれれば、ハッブルの撮った火星の絵でもご覧くださいと言うしかない。
 また、日本時間は国際標準時よりも9時間早いから、ということは今夜の20時10分になるのか。いい時間だ、今夜は火星に注目しよう。

 またカッコーが鳴き出した。頭を今日に戻せと鳴いている。
 かんとさん、来ています。実に悩ましいです。ありがとうございました。

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       ’16年「夏」 (16)

2016年05月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


   山の夕暮れ。疲れてガタの出た身体に、ビールが潤滑油のように感じる。美味い。今夜は帰らないことにして、引きずり込まれるような心地よい酔いと疲労感の中でただ呆けている。それ以外に何かをするのが勿体ないほど、この時間の停頓した、闇が訪れる前の一時の間が何にも換えがたく尊い。

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