入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「冬」 (42)

2019年02月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 入笠から帰ってきてまだ二日しか経っていないと気が付き、驚いている。炬燵の虜囚になって単調な日常に還ると、上でのことがもう随分と昔のような気がしていた。日頃は、月日の過ぎてゆくのがあまりに早いと感じていたが、こうしてみればそうでもない。時間の経過に対する感覚は、体験、その印象の強弱など諸々で変わるらしいが、早いよりかゆっくりの方がもちろんいい。ただ、そう言いながらも、2月も半ばまで来ると梅の花、福寿草、春への期待が少しづつ膨らむ。雪融けの水音、きらめく陽光。

 昨夜、某テレビ番組でアンカッレッジやフェアバンクス、加えてなによりアラスカ鉄道からの冬の眺めも紹介されると知り、普段は滅多にしか見ない民放を見た。アラスカ鉄道には2度乗っているはずだが、アンカッレッジ~フェアバンクス間が12時間もかかるとは、全く記憶から落ちていた。別の時、この間を飛行機でも行ったことがあるが、それは駅舎の運行掲示板に「Every Two Weeks」とあり、途方に暮れた挙句のことで、一人旅だった。あの駅舎も、濃紺の車体に黄色い帯の入った特徴ある列車も健在だった。2週間に一度の便が、毎週になったのは、それだけ利用者が増えたからだろう。
 そういえば、アラスカへ行くと言って旅立ったI氏だが、計画通り彼の地に落ち着いたと連絡があれば、訪ねていってもいいと言っておいたのだが、カナダで魚釣りに狂っているうちにその気がなくなってしまったか。存外、フェアバンクスでなく東京に戻っていたりして。
 それはともかく昨夜寝る前に、テレビ番組に影響されてまた星野道夫のアラスカの写真集を眺めた。広大な雪原にテントを張り、1ヶ月半もの間誰とも会うことなく撮影を続けたのだ。彼の作品はその質もだろうが、素人にはその人並みはずれた撮影に対する熱意と努力が伝わってくる。カメラ大小3台、レンズ9本、フイルム50本・・・、厳選された荷物の中にココアが入っていた。
 山でココアを飲んだ記憶はないが、今度上に行ったら一夜だけでもテントを張って、寒さに震えながら彼の真似をしてココアを飲んでみようかと思っている。

 赤羽さん、ボツボツやっていきます。ご支援をいつも感謝してます。かんとさんからは早くも5月の連休、TBIさんと2名で、小屋3泊の予約が入った。これが有難くも、恐ろしい。クク。

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     ’19年「冬」 (41)

2019年02月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上にいて、たかだか5,6キロ雪の上を歩いただけだが、今も足を動かすと腿に軽い痛みを感ずる。久しぶりに歩いて、それに身体が反応した証拠なのだから悪い気はしない。そんな時、体力の衰えを嘆くムキもあるようだが、そんなふうには思わない。

 写真を見て、この独り言を聞いてくれる人たちが、冬の牧場へ足を運びたくなるようなものを撮りたいと思う。ちゃんとしたカメラで、さまざまなレンズや三脚も用意し、腰を据えて挑戦すれば被写体はいくらでもあるからと思わぬわけではない。しかし、そうしない。そもそも、その段になるとそんなことは忘れている。牧場にはたくさんの鹿が跋扈するから罠でなく、銃の免許も取得してドッコンドッコン撃てば、と言ってくれる人もいるがそうしないのと同じようなものだ。折角、望遠鏡も用意したのだから、さらにカメラや関連機器を用意して、かんとさんのようにもっとたくさんの天体写真に挑むこともできるのだが、そうしないのもまた同じ理由である。その訳は実に単純で、結局、牧場管理人であることに尽きる。資質・能力に関わる点もあるし、なにより貧乏のせいでもあるが、なるべく仕事以外の面倒なことはやりたくないというのが本音だ。
 特にこんな独り言など、不慣れなPCに呟くのは面倒この上ない。いつ止めようかと思いつつ、まだ続いているから不思議だ。駅前などで通行人に何事か訴えている人を見掛けるが、だれも足を止めない。しかしそれでも毎日出掛けていって、何事か熱く吠えている。内容は別にして、似たようなものだ。にもかかわらず、なぜこうして続いているのか。結局は、牧場にそうさせられている、ということではないだろうか。牛とは直接関係しないが、この山の中の牧場、素晴らしい自然は、どこかで誰かが発信していかなければいけない、そう思わせるだけの魅力があるからだ、と。至らぬ数々の呟き、そして手あたり次第に撮った写真も、そういうふうに聞き、かつ見てもらえたらと思う。

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     ’18年「冬」(40)

2019年02月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょう、この写真を撮った時、"あそこ"が手招きしているぞと思いながら小屋へ帰ってきた。そしたら、偶々点けたラジオのニュースで、写真の北アルプスではなく、中央アルプスで4件の滑落事故があり、3名が死亡したとたあった。その中には40代の女性も含まれていた。
 それでつい、さっき別れたばかりのマナスル山荘本館の前で言葉を交わした、3人の中年の女性たちを思い浮かべた。小屋の夕食を前に、わざわざ夕暮れの寒い戸外でコンロを燃やし、チーズフォンデュを食べながらワインを嗜み、突如現れたおやじにも、熱々の洒落た料理をを美味しいから食べろと勧めてくれた人たち。その一方、遭難した人は厳冬期の3千メートル級の山に行ったのだから、それなりの経験、技術もあったと思う。
 それぞれが、それぞれの山を体験しようとして、その結果のあまりの違い。山は、ある人たちにとっては楽しむだけでは終わらせてくれない。別のスイッチを入れられてしまったかのように。(2月10日記)

 K山君、そうか、来ていたのか。会えずに残念だったが、君が冬の法華道を、あの古道の静けさを存分に堪能してくれたのは、実に良かった。一冬にポツリポツリと訪れる人がいるだけでも、法華道は喜ぶだろう。何年もかけて古道を復活させた北原のお師匠も、この独り言は読んでいるから、きっと大喜びするはずだ。尾根を抜けた山椒小屋跡の雰囲気なんかもなかなかだったろう。高座岩や御所が池、そう、入笠の山頂など無視しても、その方が充分に入笠の伊那側は楽しめる。
 今冬はまだ雪の法華道を歩いていない。林道はあんなふうになってしまったし、今度はスノーシューズで、やはり法華道からここへは来ようと思っている。まだ積雪は増える、都合を合わせて是非また合流しよう。今度は牧場も案内する。第1牧区やアラスカの森はきっと、気に入るはずだ。

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     ’18年「冬」 (39)

2019年02月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 まるで冬山にいるみたいだ、と呟いてから、ここも冬山だと思い直した。もう外は真っ暗だから、することと言ったら酒を飲みのみ、せいぜいきょう来る時に買ってきた月刊誌を読むことぐらいしかない。午後8時、外の様子を見ようとヘッドランプを持って小屋から出てみたら、雪は止んでいた。積雪もさほどのことはなく、外気温もマイナス5度と大したことはない。曇り空で星は見えないが、それはそれで構わない。それよりもこうして、誰もいない山の中でゆっくりと過ぎていく時間を意識しているのがいい。ラジオはあるがテレビはない。さっき、ちょっと音楽を聴いてみたが、やはりここに相応しいのは深い静寂か、古い石油ストーブの燃える音ぐらいだ。(2月9日記)

 午前8時半、晴れ。気温マイナス7度。誰が言ったのだろう「銀世界」、まさにそうだ。朝の光を浴びながら柔らかな粉雪を踏みしめ、その銀世界を歩いてきた。音のない白い森、水量を減らした黒い水の流れ、清浄な大気、一夜にして変貌した天然の演出。何万本もの樹々の、数えようもない数の枝に丹念に施した雪化粧がキラキラと光り、さあどうだと言っている。自然が自然のためにしたことを、部外者のように見る。輝く冷気、快い。
 入笠山の登山口まで遊びがてら、スキーを履いて行ってきた。伊那側には人影すらなかったが、峠を超えた途端に人だらけ。マナスル山荘の本館は随分と賑わっていた。殆どの登山者が伊那側には牧場があり、小屋があることなど知らないようだった。帰り、弁天様の前で、重装備した7台の車ど出くわした。どの車もチェーン使用で、あれで走られると轍が深く掘れ過ぎてしまい、きょうくらいの積雪ても、普通の車は車体と雪面の間隔がなくなりカメになる恐れがある。

 つい少しウトウトしてしまった。3時。今7人の男女が大声を立てながら、小黒川林道の方へ歩いていく。どこへいくのだろう。

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     ’19年「冬」 (38)

2019年02月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日、やはり北海道にはそれなりの寒気が来ていたようだ。北海道の各地でマイクを向けられた通行人は皆、口を揃えて寒いを連発していた。札幌の気温はマイナス11度とかで、日中の気温がマイナス二桁になるのは同地では珍しいのだとか、むしろこの事実の方に驚いた。信州でも、この辺りは標高が700メートルで寒く、そのくらいになることもありはしまいか。まして入笠牧場は1千700メートル位あるから、その程度の気温では不思議でも何でもない。寒さはそれほど気にならないが、問題は降雪量である。あまり降れば、車が雪に閉じ込められてしまう。それを見極めるのが難しい。
 これから上に行くが、雪雲の動きについての予報が正しければ、入笠の雪は大したことがなさそうだ。池の平辺りまで車で行ければと期待しているが、この続きは、上から。

 牧場管理棟10時到着。気温マイナス3度。それにしても、雪の量があまりにも少ない(写真はきょうの「貴婦人の丘」)。予想に反して池の平どころか、小屋まで車で来てしまった。路面の雪は凍結して、轍が完全に氷化しているところが多かったが、とにかく今回も車の走行、その行儀の悪さには呆れた。中には故意にとしか思えないような蛇行する車輪の跡が見られ、温暖化の進行とあいまってやって来る車両は増え、荒れた状況は年々ひどくなるようだ。もうかつてのように、スノーシューズや山スキーの出番などは終わってしまったのかも分からない。
 11時ごろから雪が舞い出し、昼を過ぎて本格的に降り出した。この後2,3時間は降り続けるかも知れないが、まず、雪に閉じ込められてしまうようなことはない、と思う。夜間も時々降雪があるかも知れないが、明日は午後の3時ごろまでは好天が期待できそう。山を下りるとしても、少し気温が下がってからなら、このくらいの雪で"カメ″になる心配はないだろう。

 牧場に着いて一番に、気になっていた取水場へ行ってみた。嬉しいことに、透明感に溢れる水がこの時季でも、ドクンドクンと湧き出ていて感動した。

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