入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「冬」 (47)

2019年02月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 真っ白な雪の原を歩いた人の古い足跡。前日と夜中に降った雪がその跡を隠しきれず、何となくそれも自然の風景の一部におさまったように見える。行き惑い、結局は引き返したのか、一人ではなかったように見える足跡。別の季節にキャンプにやって来た人たちが訪れて、残したものかも分からない。小屋に人気があれば、立ち寄ってみようとしたかも知れないが、そうでない無人の小屋は、その人たちの目にどんなふうに映っただろう。

 キャンプの人気が高まり、冬でも結構盛んだという。新聞が紹介している「日本オートキャンプ協会」発表の数字では、2012年ごろから利用者の数字が伸び始め、1年に1泊以上キャンプを体験した人の数が同年が720万人、5年後の17年が840万人になるそうだ。この数字をもって、大幅に増えていると言えるのかどうかは微妙だが、「便利でおしゃれなキャンプ場が各地にオープンしている」からというのを、人気向上の一番の原因にしている。この他にも、キャンプに便利で都合のよい車の登場、普及や、使い勝手の良い便利な用具の進歩が大きいと思う。なにしろ、テントの中でストーブを焚き、ベットに寝る時代である。
 近年よく耳にするオートキャンプ場というのは、テントを張った場所のすぐそばまで車を乗り入れ可能なキャンプ場のことらしい。当キャンプ場は、別にそういうことを謳っていないが、そうできる場所もあれば、そうでない所もある。そういえば、駐車場からテント場までの距離をよく尋ねられるようになったのは、そんなキャンプ場の影響もあるのだろう。聞いてくる人がこの場所をどのように想像しているのか分からないが、距離はテント場によって変わる。計ったわけではないが「1分以内」とか応えるようにしている。
「ソロキャンプか」とか「グランピング」とか、よく分からない片仮名言葉を利用して、「おしゃれな」雰囲気を出そうとする弊がこの世界でも行われている。「幕営」とまでは言わないが、どうもこういう風潮は出来れば真似たくない。「マタギ」は「ハンター」と呼ばれることを好まないらしいが、鹿肉など野生動物の肉を使う料理を「ジビエ料理」と呼んでみても、それで料理が美味くなるのだろうか。「シシ肉」と言えばイノシシの肉のことだが、こっちの方が美味そうな気がする。

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     ’19年「冬」 (46)

2019年02月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 この時季、天候は寒暖を繰り返し、安定しない。そのせいかどうか分からないが、この呟きも揺れる。もう少しの間は、折角の冬の季節と付き合っていたいという気持ちが揺り戻しのように起きる。きょうの写真もちょうど1週間前に上で撮ったものだが、夜の間に、前日からの雪が白銀の世界を用意してくれた。

 オリンピック種目にもなるという人工壁の早登り競争を、偶然TVで見た。自然や気象という様々な条件の中で行われる山岳登攀と比較してみてもあまり意味がないが、ある登山家が言っていた、「山には死があるが、街にはそれがない」と。これが、まさに一番の大きこな違いかも知れない。
 恐らくこの競技なら、日本選手は活躍するだろうという思惑、期待があってのことだと思う。競技の正式な名前すらも知らないから素人発言は控えた方がいいが、それにしてもおかしな競技が現れたものだ。すでに確立している各種の競技では間に合わないような、新たな運動能力を競い合う競技なのだろうか。商業化の一途を走る伏魔殿IOCの開催国への配慮、ということはある?
 
 ついでにもう一つ、素人発言。日本体育協会だかJOCは、冬季五輪やワールドカップでのアルペン競技の毎回の不振をどのように考えているのだろう。一体なぜ日本はこれほど長い間、低迷を続けているのかを聞いてみたいものだ。モーグルとパラリンピックの競技は例外として、アルペン競技だけが他の競技と比べ、何故かその低落があまりに長く、歴然としている。猪谷千春が1956年のコルティナダンペッツォで銀メダルを取り、その後目立った活躍といえば2006年、まさに半世紀後、トリノで皆川健太郎が4位入賞したぐらいだ。ほとんどの結果が良くて10位台、そして棄権も多い。かつて、あれだけのスキー人口が支えたのにである。不思議だ。
 考えられるのが、優秀な指導者の不足ではないかという気がするが、どうだろう。また、というかそれゆえに、指導方針が一貫していないという気がする。例えば、SAJの基礎スキーがそのいい例だが、これまでの指導のやり方があまりにコロコロと変わり過ぎた。一流の選手の滑りを見ても指導者がそれを正しく理解、分析できず、生かしていけないとしたら、それでは良い指導法など生まれるわけがない。日本にいなければ、海外から優秀な指導者を呼んだらどうか、と思う。

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     ’19年「冬」 (45)

2019年02月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 暖かい地方からは例年のように、梅の花の便りが届くようになった。わが陋屋の庭にある梅の蕾はまだ固そうだが、やがてはそういう季節がここにもやって来る。風はあるが、きょうのような晴れて光の明度が高い日には、こんな寒い地方だから余計にそんなことを思う。次に来る季節をつい無意識の裡に待っている。
 
 それにしても、温暖化は明らかに進んでいる。昨年の2月、積雪はこの冬より多かったが、一度だけ車で行くことができた。1月の10日を過ぎてからそんなことができたのは、12年間で初めてのことだった。ところが今年はさらに雪が少なく、恐らくきょうあたりでも先週同様、車で行くのに何の問題もないだろう。
 調べてみると昨年の2月は、3週連続で上に行っているが、法華道の下りでは雪の消えるのが早まり、スノーシューズを脱ぐのが行くたびに早くなった。先週、k山君が法華道を登った時も、スノーシューズを履いたのは山椒小屋跡を過ぎてからのようだった。厳冬期に、それほど雪の少なかったのも初耳だ。
 4月の仕事始めの20日も、ここ2年ばかり、車をド日陰の曲がりの少し手前で捨てずに上まで行ってる。あそこから1時間ばかり雪道を歩きながら、今年も牧場の仕事が始まるぞという新鮮な覚悟、気合を入れることが、お蔭でできなくなってしまった。本当は、どんな季節、どんな時よりも、入笠牧場の管理人であることを一番に喜ぶのは、静まり返った林道を歩いて通う除雪前の最初の朝だったのだが。

 去年の春ごろまでだったか、気紛れに任せて野や山に出掛ける連れがいた。しかし、そんな付き合いも相手が長い旅に出てしまい終わった。これまでなら、1年前の今ごろは、などと折に触れて思い返すこともできたが、春が来ても今年からはもう、そうやって思い出す場面がない。その分だけ少し今年の春は精彩に欠けるかも知れない。

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     ’19年「冬」 (44)

2019年02月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 冬の山に陽が落ちる、寂しさの最も身に沁みる時、あの人、冠松次郎はそれを「歯に沁みるようだ」と言った。実際にこの場所に立てば、もっと駒ケ岳も御嶽山もその存在が大きく、はっきりと分かるが、iPhoneで偶々通り掛けに写した風景。実景を目にしたときの印象にはとても及ばない。それに、あの時吹いていた冷たい風や、その音も伝わらない。

 きょうのこんな写真でなく、もっといいものを撮るからと、牧場で撮影会をやってくれないかという声は聞く。にもかかわらず、そういう声に耳を傾け、実行に移すことがこれまでに一度としてなかった。考えてみれば不思議なくらいだ。CM撮影については、昨年撮影の新たな1本がに最近になって、テレビに登場しているらしい。それくらいだから、あの丘だけでなく、牧場の中の様々な目を惹く風景を四季を通じて、もっと自由に時間をかけて撮りたいと思う人はいるに違いない。
 しかしこれは、いざやるとなれば簡単な話ではない。参加する側はカメラを持ってきてくれれば済むが、受け入れ側は大変である。そもそも牧場管理者であるJA上伊那の承諾を得られるのか、稟議書を提出しなければならないだろう。得られたとして、撮影会の規模をどのくらいにするか、場所はどの範囲までとするか、防疫対策は、作品をどのように扱うか、選考をするのか否か、食事・宿泊、参加費用はどうするか、季節も牛が入牧する前の春と、下牧した後の秋ぐらいだろう。思い付くだけでも苦労は多い。しかも多分、これを一人でやらなければならない。
 それでも、無理してでも一度実行してみれば、およそのことが分かる。CMや映画撮影のように、放牧牛の何頭分かに匹敵する牧場の一事業になるかも分からない。さらに、上手くいけば、農協や行政も協力してくれるようになるだろう。今後の牧場をどうするかを考える上での参考にもなるかも分からない。とりあえず、コナシかクリンソウの咲くころ、写真教室を開催できるよう考えてみたい。

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     ’19年「冬」 (43)

2019年02月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 豚コレラ騒ぎもどうやら終息したらしい。隣村宮田村の2千400頭を含む3万頭ほどのブタが殺処分されたらしいが、それは飼育されているブタ全頭からすればわずか(0.2アーセン)で、市場への影響は少ないということのようだ。
 感染を媒介したのが野生のイノシシではないかと、その対策費が愛知と岐阜には3千万円から一挙に1億8千万円増えて、2億1千万円にもなったとニュースになった。しかし宮田村の場合は、愛知県から搬入されたブタが感染していたためで、"貰い損"ということになるのだろうか。愛知県側の行政の対応に養豚業者ばかりでなく、宮田村の村長が怒るのも無理はない。被害は甚大である。宮田村はJA上伊那畜産課の担当地域になるから、さぞかし課員は多忙を極めただろう。

 ところで、コレラに感染したイノシシは、ブタに近付けさえしなければ、やがてはどこかで自滅するのだろうか。それも、次々と仲間に感染させながら。もしそうだとすると、野生のイノシシは生息数が激減するかも知れないという心配が起こる。それならそれでいいという人もいるだろうが、個人的にはそう思わない。牧場管理人として実際のことを言えば、牧草の受ける被害は鹿とは比較にならず、一夜にして田1枚分くらいの広さの牧草が引っくり返されてしまう。当然、イノシシなどに牧場へ近付いてなど欲しくはない。その気持ちは養豚農家と変わらないが、それでもどこかの森の中で生き続けてほしいとは思う。今や体重で換算すれば、この地球に生きている大型野生動物はわずか1割そこそこ、他は人間と家畜、それも家畜はなんと7割にもなるという。
 イノシシを罠で捕獲することは鹿と比べたら、かなり難しい。牧草が被害に遭った時だけ急いで罠を仕掛けても、まずそれでは成功しない。群れはどこか別の場所に去った後、後手になってしまう。嗅覚も優れていて、またブタのように賢く、警戒心もかなりのものだ。それでも春先、親は姿を隠していても、うり坊が何匹も列を作り山道を横切る姿は微笑ましい。動物園のイノシシが、犬や猫のように飼育担当者に懐き、身体を平気で触れさせるような例もある。だからといって、捕鯨に反対するような人たちに賛同するわけではない。
 もうすぐ狩猟期間が終わるが、今期はあまり猟師の姿を見掛けなかった。

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