暖かい地方からは例年のように、梅の花の便りが届くようになった。わが陋屋の庭にある梅の蕾はまだ固そうだが、やがてはそういう季節がここにもやって来る。風はあるが、きょうのような晴れて光の明度が高い日には、こんな寒い地方だから余計にそんなことを思う。次に来る季節をつい無意識の裡に待っている。
それにしても、温暖化は明らかに進んでいる。昨年の2月、積雪はこの冬より多かったが、一度だけ車で行くことができた。1月の10日を過ぎてからそんなことができたのは、12年間で初めてのことだった。ところが今年はさらに雪が少なく、恐らくきょうあたりでも先週同様、車で行くのに何の問題もないだろう。
調べてみると昨年の2月は、3週連続で上に行っているが、法華道の下りでは雪の消えるのが早まり、スノーシューズを脱ぐのが行くたびに早くなった。先週、k山君が法華道を登った時も、スノーシューズを履いたのは山椒小屋跡を過ぎてからのようだった。厳冬期に、それほど雪の少なかったのも初耳だ。
4月の仕事始めの20日も、ここ2年ばかり、車をド日陰の曲がりの少し手前で捨てずに上まで行ってる。あそこから1時間ばかり雪道を歩きながら、今年も牧場の仕事が始まるぞという新鮮な覚悟、気合を入れることが、お蔭でできなくなってしまった。本当は、どんな季節、どんな時よりも、入笠牧場の管理人であることを一番に喜ぶのは、静まり返った林道を歩いて通う除雪前の最初の朝だったのだが。
去年の春ごろまでだったか、気紛れに任せて野や山に出掛ける連れがいた。しかし、そんな付き合いも相手が長い旅に出てしまい終わった。これまでなら、1年前の今ごろは、などと折に触れて思い返すこともできたが、春が来ても今年からはもう、そうやって思い出す場面がない。その分だけ少し今年の春は精彩に欠けるかも知れない。
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