■前橋バイオマス発電事業の計画手続きが止まりません。それもそのはず東電の威光で、行政や議会がイケイケドンドンで放射能汚染された森林の間伐材や福島県で大量に発生する廃材等を、東電の主要グループ会社の筆頭格の関電工に木質バイオマス発電所を作らせて、そこで焼却処分するという、とんでもない計画だからです。なのに、群馬県の政官業癒着体質は、この亡国計画を食い止めるどころか、補助金を付けて後押しする始末です。補助金の件は、先日当会が住民監査請求に踏み切りましたが、発電所設置のために必要な許認可手続きは着々と進んでしまっています。
こうした中、これだけの大量の木質チップを燃焼させることから、環境アセスメントに該当するのではないかと考えた当会では、群馬県の環境行政に問い合わせました。しかし、群馬県は、関電工の説明を鵜呑みにして、湿った木質チップを燃やすから排ガス量のうち水蒸気分を除外して毎時4万ノルマル立米だと判断して、環境アセスの適用を免除してしまいました。この経緯は次のブログを参照ください。
○2016年4月2日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス発電計画に環境アセスを適用しない群馬県の不思議↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1943.html#readmore
■そこで、仕方がないので、直接関電工に公開質問状の形で、回答を求めることにし、4月7日付で関電工のトップ宛に次の内容の公開質問状を郵送で送りました。
*****関電工への公開質問状(1)***** PDF ⇒ 20160407dhjioj.pdf
平成28年4月7日
〒108-8533 東京都港区芝浦四丁目8番33号
株式会社関電工
取締役社長 水江 博 様
TEL(03)5476-2111 FAX(03)5476-3946
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢
公 開 質 問 状 (1)
件名:前橋バイオマス発電事業に係る手続、計画内容、工事及び維持管理計画等について
拝啓 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
当会は税金の非効率的な使い方や行政の不当な処分で不利益を被った事例を正してゆくことを目的としている群馬県を拠点とする市民団体です。
さて、貴社が2016年3月26日及び同27日の午前10時から前橋市鼻毛石町にある前橋東部商工会で開催した質問への回答説明会及び第3回地元説明会で、説明者の福本雅邦氏らから、貴社が主体となって進めている表件事業について、主に工事の流れ等について、説明をいただきました。
このことに関して、次の質問があります。
質問1「出資比率について」
説明会の席上、前橋バイオマス燃料㈱と前橋バイオマス発電㈱の2つの法人における、出資各社の資本比率について質問を差し上げましたが、「自分で調査するように」として、とりあっていただけませんでした。
標記事業の出資比率は、この事業で裨益する者は誰かを特定するために重要な情報です。とりわけ前橋バイオマス燃料㈱には、群馬県から4億8000万円もの補助金が交付される予定になっています。この事業に関与する者とその関与度合いを正確に把握する必要があるため、次の情報をご教示ください。
① 前橋バイオマス燃料株式会社
㈱トーセン ___%
㈱関電工 ___%
群馬県森林連合組合 ___%
群馬県素材生産流通協同組合 ___%(※群馬県森林連合組合と同じ)
② 前橋バイオマス発電株式会社
㈱関電工 ___%
㈱トーセン ___%
質問2「排ガス量について」
第3回説明会の前日に、宮城公民館で開かれた地元市民団体からの質問項目に対する回答説明の席上、貴社は、木質バイオマス発電施設からの排ガス量について、毎時4万ノルマル立方メートル未満であると述べました。この根拠となる排ガス量の計算式と、それに用いた各種パラメーター(木質燃料の形状(破砕チップなのか、切削チップなのか、などなど)とそれらの投入量と比率、それぞれの燃料ごとの水分量、空気比(1次空気と2次空気のそれぞれの数値)の情報を含む)についてご教示ください。
質問3「木質燃料の計画サイトへの搬入量、燃焼施設への投入量、燃焼灰及び脱水プレスから出る排水の量について」
今回、群馬県では、前橋バイオマス燃料にかかる木材破砕・脱水・保管施設と、前橋バイオマス発電にかかる燃焼・発電・付帯施設は同一場所にあることから一体施設と見做しているようです。
しかし、前橋バイオマス燃料㈱に搬入される燃料の種類と量、および脱水され排出される水分量、それに前橋バイオマス発電㈱に供給される燃料の種類と量、および焼却残渣の種類と量が不明です。
群馬県の補助金申請書に記載の数値としては、次のとおりとなっているようです。
○未利用剤由来木質バイオマス63,100トン
○製材端材由来木質バイオマス21,000トン
他方、燃料供給事業体のデータとして、購入量=搬入量が「林地残材8.2万㎥/年(原木5.9万㎥、チップ2.3万㎥)+製材工場残材2.1万㎥/年」で、販売量=燃焼施設投入量が「燃料用木質チップ7.0万t/年(林地残材5.6万t、製材工場残材1.4万t)という数値もあります。
実際には、それぞれどうなっているのでしょうか?次の項目につき、最新の確定値をご教示ください。
○購入量:林地残材 __t/年(内訳:原木__t、チップ__t)
及びそれぞれの水分量 ___%(原木__%、チップ__%)
製材工場残材 __t/年(内訳:材木__t、チップ__t)
及びそれぞれの水分量 ___%(原木__%、チップ__%)
○販売量:燃料木質チップ __t/年(内訳:林地残材__t、製材工場端材__t)
及びそれぞれの水分量 ___%(林地残材__%、製材工場端材__%)
○焼却灰:合計____t/年(内訳:主灰___t、飛灰___t)
○脱水プレスからの排水量:合計____㎥/年
当会は、本質問状について貴社に提出する際に記者会見で明らかにし、また貴社のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、再度記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。
つきましては、平成28年4月13日(水)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
記
市民オンブズマン群馬 事務局長 鈴木 庸
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
以上
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■上記のとおり関電工には4月13日までの回答期限を要請していましたが、当日までになしのつぶてでした。ところが、先週末に4月15日付で次の回答書が郵送されてきたのです。
*****関電工からの回答書***** PDF ⇒ 20160415dh.pdf
平成28年4月15日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
株式会社関電工 戦略事業本部
木質バイオマス・プロジェクト
回 答 書
冠省
平成28年4月7日付文書「公開質問状(1)」にてご質問頂いた事項につき、以下のとおり回答致します。
記
質問1「出資比率について」
前橋バイオマス発電株式会社と前橋バイオマス燃料株式会社は、いずれも非上場の事業会社であるため、各社の出資比率の開示は控えさせていただきます。
質問2「排ガス量について」
前橋バイオマス発電所から排出される排気ガス量算出に関する具体的な計算式につきましては、発電プラント設備の設計ノウハウ等に関わる要素が含まれるため、開示は控えさせていただきます。
質問3「木質燃料の計画サイトへの搬入量、燃焼施設への投入量、燃焼灰及び脱水プレスから出る排水の量について」
本件バイオマス発電事業における搬入・供給燃料の種類・量、脱水・排水水分量、焼却残渣の種類・量などは、適時適切に見直していく事業計画によって常に変動するものであて正確な確定値を算出できる性質もものではなく、また、事業上の重要機密事項にもかかわる情報であるため、開示は控えさせていただきます。
ご質問に対する回答は以上でございますが、当社といたしましては、各種法令等を遵守することはもとより、地域のみなさまや行政機関とともに歩むバイオマス発電所を目指し、全社一丸となってまい進いたしてまいる所存であります。今後ともご支援ご理解のほど衷心よりお願い申し上げます。
早々
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■ご覧のとおり、関電工は当会に対して、「非上場の会社情報」「ノウハウ」「事業上の重要機密事項」を理由に、一切の情報提供を拒否してきました。
こうした秘密主義体質はまさに東電ゆずりと言えます。このような企業が、放射能に汚染された間伐材や廃材等を大量に群馬県のシンボルである赤城山の南麓で20年間も燃焼し続けることは、福島原発であれほど日本国を疲弊させた反省もなく、放射能の二次的拡大を図ろうと企てている証左でもあります。
泥棒に追い銭のような補助金の交付は決して許してはなりません。また、放射能汚染の心配がないのであれば、大都市の真ん中で立地しても問題がないはずです。なぜ、山間部が放射能汚染されている群馬県に立地するのか、きちんとした説明責任を果たせないような企業は、群馬県から撤退すべきです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】