市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

1月23日第114回高崎高校同窓会総会が開催される

2016-01-26 23:32:00 | 国内外からのトピックス
■毎年恒例の県立高崎高校同窓会総会が今年も1月23日(土)午後3時から高崎市柳川町の高崎ビューホテルで開催されました。暖冬といわれつつも、1月後半に入り大雪が降り、まだ高崎市内の目抜き通りにも除雪された雪の塊が残っており、前日から寒波の襲来で、足元に気を付けながら同ホテルに同校OBらが多数、三々五々集合しました。


 今年の幹事は85期の皆さんでした。当日午後2時40分ごろ会場に到着すると、既に幹事期の皆さんをはじめ、各卒業年度の幹事の皆さんらが、今や遅しと、2階の榛名の間の前のロビーに集まっていました。手続きを済ませて会場内に入ると同窓会や学校の幹部の方々は全員揃っていましたが、まだ1割程度の席しか埋まっていませんでした。

 開会時刻の10分前になると、57期本田明OB指揮の同校吹奏楽部によるミニコンサートが始まりました。3曲目はいつものようにラデツキー行進曲で、会場からの盛大な拍手で開会を盛り上げました。開会時刻の午後3時には、8割がた席が埋まりました。




■85期の林恒徳OBの司会で、69期の阿久澤茂副会長による開会の言葉の後、吹奏楽部による旧校歌の演奏があり、そのあと、現校歌の斉唱を行いました。


会場内の模様(旧校歌斉唱中)。

会場内の模様(現校歌斉唱中)。

 次に、物故会員への黙祷に続き、昨年の総会で新しく会長に選任された67期の串田紀之・同窓会長から挨拶がありました。

「みなさん、こんにちは。正月が過ぎましたけれども明けましておめでとうございます。本年もよろしくおねがい。心臓がどきどきしておりましてちょっと深呼吸をさせてください。すいません。本日は、第114回高中・高崎高校同窓会総会、それから、懇親会と言う、忙しいなかご参加ただきましてありがとうございます。先ほどご紹介いただきました串田でございます。67期です。ちょうど去年のこの時に佐藤前会長から継続しまして同窓会長ということでおおせつかりました。まあ1年、ようやく1年経ちました。これもここにいる皆様方のお支えがあって1年がようやく過ぎようとしています。本当にありがとうございます。その中で、平成28年、皆様におかれましては輝かしい新春を迎えられことと思います。しかし、バスの事故、それから大雪ですね。想定外の事故が起きました。バスで亡くなられた学生の皆さんには、ご冥福をお祈りしたいと思います。そんな中でも、まだ高校の3年生におかれましては、センター試験も終わりこれから本当に試験の本番と言うことで、おそらく素晴らしい吉報が皆さんのもとに、佐藤先生のもと、校長のもと届けられるものと思います。今年は85期の皆さん方が鋭意努力をしていただきまして、このような大きな設営をしていただき、本当にありがとうございます。そして議題の中心はやっぱり来年がですね、平成29年が120周年、創立120周年記念ということになりますので、これをまた議事にしまして、また皆様方にご判断いただくことになるんですが、よろしくお願い申し上げます。まあ話はあちこち行ってすいません。きょうは総会、懇親会と、長時間になりますけれども、皆さまがたのお力を拝借しながら、議事がスムースに進むことをお願い申し上げまして、話はまとまりませんが、挨拶に替えさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。」(拍手)

 続いて、母校の佐藤功校長から挨拶がありました。

「あらためましてこんにちは。先ほどご紹介いただきました校長の佐藤でございます。高崎高校に赴任しましてもうすぐで、2年になろうとしています。実はこの席に立つのは非常にプレッシャ―でして、昨夜から落ち着かない、そんな状況にあります。やはり本校は歴史があり、子どもたちは非常にいい子たちです。それを預かる身としては厳しい立場に置かれています。ただ日々楽しい思いをさせていただいていますので、それは子どもたちとか本校の職員に感謝したいかな、とこんな具合に思っています。で、高崎高校でありますが、このあと式次第にもあるんですけれども、うちの副校長の方から詳しい話があろうかと思いますが、年が明けてから非常に好調なスタートをきったかなと思います。先ほどありましたように、センター試験でありますけれども、なかなかいい結果が出ております。ただここで油断をしますと、取りこぼしが出てしまいますので、更に引き締めてやって行きたいなというふうに思います。週刊誌をちょっと太い活字で飾れたらいいかなと、こんな具合に思っているところでございます。それから部活動等につきましても、新聞等で皆さんご存知かと思いますが、バスケット部が、新人戦で14年ぶりに優勝するという。ただ上毛スポーツの一面を高女に取られたのがちょっと悔しいかなと思っております。それから文化部関係なんですけれども、先ほどうちの部員が演奏したかと思うんですが、実は明日、高崎の音楽センターで西関東の吹奏楽アンサンブルコンテストがありまして、うちのパーカッション部門、出ることになっております。これも久々の地元で、なかなか1月から調子がいいなと、こんなふうに思っています。本校でありますけれども、実は今、SHSに再度チャレンジをしようということで、過日申請をしました。採択された際は、OBのかたがた、かなり応援をいただくことになるかとおもいますれけれども、その際、よろしくお願いしたいと思います。今日はあのう、実はまだ緊張しておりまして、唇が乾いてきたところでありますけれども、同窓会、またはOBの方々がいろいろなところで本校、バックアップいただきまして、本当に感謝を申し上げております。この後も引き続き高崎高校にご支援、ご鞭撻をいただけましたらありがたいかなと思います。よろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)

 次いで、本年度の叙勲・褒章等受章・国務大臣表彰者への記念品贈呈式が行われました。今年は、次の12名の方々が受章対象者として紹介されました。

<平成27年叙勲・褒章等受章者 敬称略>○印は出席者
瑞宝双光章 安中誠一(45期):元警察庁技官=さいたま
旭日双光章 櫻井弘(56期):元県接骨師会長=高崎○
旭日双光章 佐藤和徳(57期):元県医師会副会長=高崎○
瑞宝中綬章 山岸俊之(57期):元国土庁長官官房水資源部長○
瑞宝小綬章 芥川龍雄(58期):元東京貯金事務センター所長=茅ケ崎
瑞宝小綬章 半田博保(59期):元北海道開発庁計画監理官
瑞宝小綬章 林弘二(60期):元土木研究所地震防災部長○
瑞宝中綬章 田口弘明(62期):元海上保安庁次長○
瑞宝小綬章 堀越孝良(62期):元農林水産政策研究所次長=川口○
瑞宝単光章 矢嶋 ●(漢字1文字:リッシンベンに山と豆。「やすし」と読む)(62期):元県警部=高崎
旭日小綬章 宮前有光(63期):元日本司法書士会連合会=富岡
文部科学大臣表彰 佐藤功(校長・顧問):県立高崎高等学校校長○


受章者の皆さん。

 受賞者を代表して56期の櫻井弘OBから挨拶がありました。

「56期の櫻井です。ただいま高中・高高同窓会総会におきまして、はからずも記念品を頂戴いたし感激をしております。心から御礼を申し上げます。結びに、母校高崎高校のますますの発展と、併せて同窓会の発展、またご臨席を頂きましたご先輩、ご多幸を祈念して御礼の言葉と致したいと思います。ありがとうございました」(拍手)

 そして串田会長と共に受賞者の皆さんの記念撮影が行われました。

 次に翠巒育英会から次の寄付者のかたがたへの感謝状贈呈式が行われました。

<平成27年 翠巒育英会 感謝状贈呈者 敬称略>
国峯善次郎(50期):(社福)愛善会理事長・鼻高保育園園長○
佐藤和徳(57期):特定医療法人博仁会・第一病院院長○
羽鳥修司(63期)(63期有志 代表幹事):)高崎観光協会 理事長・割烹魚仲主人○
熊井戸浩一(78期)(78期同窓会ゴルフ大会 幹事):熊井戸工業株式会社代表取締役副社長○
中里龍生(78期):藤岡外科内科クリニック院長○
波潟憲昭(81期):上越鋼業代表取締役○
粕川泰彦(84期)(84期同窓会新年総会 代表幹事):常黙庵住職・愛隣保育園長○
佐藤功(校長):県立高崎高等学校校長○


寄付者の皆さん。

 贈呈式が終了すると、吹奏楽部の部員の皆さんが退場となりました。司会から「3月21日(祝・月)18時開演で、群馬音楽センターで演奏会が開催予定されており、多くの皆様の参加をよろしくお願いします。1口5000円で協賛金を受付け中です。82期西村先生までよろしくお願い申し上げます」との説明が添えられました。

■その後、議事・報告等として。平成27年度事業報告、同会計報告及び監査報告、平成28年度事業計画、予算案の説明がありました。

 その他として、①維持会費納入状況、②翠巒育英会、③創立120周年記念行事についての説明がありました。


母校現況報告。

 さらに母校現況について、森泉孝行・副校長から報告があり、最後に閉会の言葉を坂本正樹・副会長が発しました。全部終わったのが午後3時50分頃でした。



退席して懇親会場へ移動する同窓会幹部ら。

■懇親会は午後4時から3階の赤城の間で開催され、約800名が集いました。



 85期の前川幸三OBの司会で、開会の言葉は85期を代表して冨田和弘OBが発声しました。

 その後、会場に校旗が入場し、応援部OBの音頭取りで校歌斉唱が行われました。続いて、串田紀之・会長の挨拶の後、佐藤和徳・顧問による乾杯の発声がありました。

 アトラクションは、以前高崎市の国際交流の集いで見かけた太田のサンバチーム「ウニドス・ダ・トカ」によるサンバが披露されました。
○2013年6月3日:梅雨の合間の晴天に恵まれ大勢の入場者で賑わった第23回国際交流の集い↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1047.html





 このころになると、懇親会も盛り上がりのピークとなり、筆者もあちこちで話の輪に加わりました。驚いたことに、当会のブログを愛読しているかたがたが結構いらっしゃいました。

 土建関係者からは、大同スラグ問題について関心があるという声が多くきかれました。また群馬高専についても、教育関係者から今後の同校のアカハラ問題の行方を占ううえで、当会のブログ記事は大変見逃せない情報であるとの声が聞かれました。

 懇親会もやがて大詰めとなり、幹事担当キーが、85期代表の冨田和弘OBから次期幹事である86期代表の佐藤雄一OBに引き継がれました。


↑キー伝達式。85期から86期へキーが引き継がれる。↑

 そしてクラス会の歌と翠巒を応援部OB指導の下に斉唱した後、中締めの言葉が山本忠順・副会長から発せられました。閉会の言葉は85期で県議の橋爪洋介OBが行いましたが、話が長くなりそうなので、会場を退室する人が目立ちました。

 午後5時半に懇親会が終了し、同ホテルをはじめ、周辺の柳川町界隈の料理店、飲食店で各期の同期会の宴会や会食が随所で繰り広げられ、それは翌日未明まで続いたのでした。


今年も同期会に顔を出してくれた富岡賢治・高崎市長。

【ひらく会情報部】

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オブチ「姫」事件と比較しながら甘利大臣の金銭授受疑惑問題の1月28日以降の動きに注目しよう!

2016-01-25 23:30:00 | 政治とカネ
■先週1月21日の木曜日発売の週刊文春が「政界激震スクープ」と銘打って、自民党の閣僚代議士のスキャンダル記事を大々的に掲載しました。この結果、自民党の閣僚代議士である甘利明経済再生担当相は、同日、参院決算委員会や記者会見で釈明し、告発した会社側であるS社、即ち薩摩興業㈱(千葉県白井市清戸272、設立1973年9月、資本金1000万円、代表者:寺床博好、従業員5名)の関係者と面会した事実を認めましたが、1200万円の賄賂と報じられた金銭の授受については、「報道と私の記憶の一部が違う。精査させてほしい」として、回答を保留にしました。そして、「第三者も入れてきちんと調査をして、説明責任果たし職務を全うする」と答えました。これを聞いていて、なにやら、群馬5区の姫が一昨年10月20日に発した「第三者委員会できちんと調査をして説明責任を果たしてゆく」という言葉を思い出したのは当会だけではないと思います。

 まずは、この事件を報じた記事を見てみましょう。

**********NHK NEWSWeb2016年1月21日12時30分
甘利大臣 説明責任果たし職務を全うする

 甘利経済再生担当大臣は、21日午前の参議院決算委員会で、一部の週刊誌で、千葉県白井市の建設会社が、UR=都市再生機構に補償を求めた交渉を巡り、甘利経済再生担当大臣の事務所に現金を提供したなどと報道されたことについて、事実関係を調査して、説明責任を果たすという考えを示すとともに、大臣としての職務を全うする考えを強調しました。
 甘利経済再生担当大臣を巡っては、一部の週刊誌で、千葉県白井市の建設会社が、周辺で行われた道路工事で損害が出たとして、UR=都市再生機構に補償を求めた交渉を巡り、甘利経済再生担当大臣の事務所に現金を提供したなどと報道されています。
これについて、甘利大臣は21日午前の参議院決算委員会で、「けさ、週刊誌報道を読ませていただいた。しっかり調査をして、説明責任をきちんと果たしていきたい」と述べました。
 そのうえで、甘利大臣は、「週刊誌で書かれていることについて、第三者を入れて、きちんと調査する。今回の一連の秘書の行動は、取材が始まって、『こんなことが行われていたのか』と半信半疑で、うそではないのかと思った。『それは本当なんだろうか』という思いであったので、すべてを含めて調査をする。そして、しかるべき時に説明はできるようにする」と述べました。
 また、甘利大臣は、「大臣室や地元の事務所で直接、現金を受け取ったと報道されているが、事実か」と問われたのに対し、「その会社の社長一行が大臣室を表敬訪問したことは事実だが、記憶があいまいなところもあり、きちんと整理をして、説明をしたいと思う。また、地元の事務所に来られたということは覚えており、そこで何の話をされて、どういうことをされたのか、今、事実関係、記憶をたどっているところだ」と述べました。
 そして、「政策秘書がUR=都市再生機構に出向く様子が報道されているが、大臣の指示だったのか」と質問されたのに対しては、「全く、私の指示ではない。報告も全くない」と述べました。
 さらに、甘利大臣は、「政治とカネの問題とは無縁であり、罪に問われるような事実は一切ないと、天に誓って言えるか」と問われたのに対し、「一切ありません」と答えました。
そして、「辞職という選択肢はあるのか」と問われたのに対しては、「託された職務を全力で全うしていきたい」と述べました。
 一方、「今後、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の関連法案の国会審議や、協定の署名、締結と、大事な仕上げに入るが、今回の騒動でマイナスの影響は出ないか」と問われたのに対し、「出ないように全力を尽くす」と述べました。
 安倍総理大臣は、「甘利大臣が速やかに調査を行い、みずから国民に対する説明責任を果たしていくと言っており、しっかりとその責任を果たしていかれると思っている。そのようにしていかれるものと確信している」と述べました。
 一方、安倍総理大臣は、憲法改正について、「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった現行憲法の基本的な考え方を維持することは当然の前提として、そのうえで、必要な改正は行うべきものと考えている。いよいよ、『どの条項について改正すべきか』という、憲法改正議論も、現実的な段階に移ってきた」と述べました。
 そのうえで、安倍総理大臣は、「この段階においては、国会や国民的な議論の深まりが必要であり、その中でおのずと、どこをどう変えていくべきか、あるいは変えていかないほうがいいという議論が深まっていく。引き続き、新しい時代の在り方にふさわしい憲法の在り方について、国民的議論と理解が深まるよう努めてまいりたい」と述べました。
**********

■週刊誌の報道記事は末尾に掲載していますが、「記憶と一部違う」という甘利大臣の発言を予見していたかのように、週刊誌の記事では、告発した側では写真や録音、コピーなど万全な証拠を記録として残していることを示唆しています。

 したがって、どちらが本当のことを言っているのかは、さほど時間がかからずに判明するものと見られます。

 その際、次の事項について、どちらが本当のことを言っているのかが焦点になりそうです。なお、これは1月21日時点のことです。

週刊誌の報道:大臣室で50万円を直接受け取った。

甘利氏の説明:貴社の一行が大臣室を訪問したことは事実。録音による報道と私の既往の一部が違うので精査する。

週刊誌の報道:神奈川県大和市の地元事務所で50万円を受け取った。
甘利氏の説明:会社の方が来たのは覚えているが、何を話してどういうことをしたのか、記憶をたどっているところだ。

週刊誌の報道:地元事務所長が受け取った現金の一部は政治資金集報告書に記載がない。
甘利氏の説明:一連の秘書の行動は初めて聞いた。半信半疑だ。第三者も入れてきちんと調査して説明する。

週刊誌の報道:甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した
甘利氏の説明:罪を問われるような事実は一切ない。今日まで政治家として法に反することはやってきていないつもりだ。

■今回の事件も、小渕優子・元経産相のときと同じように、政治献金をきちんと政治資金収支報告書に記載しなかったことから政治資金規正法違反となる可能性があります。さらに、国がほぼ全額出資する独立行政法人であるURへの口利きによるあっせん利得処罰法に抵触する可能性も指摘されています。

 そうなると、群馬五区の代議士である小渕優子・元経産相のときと同じく、秘書に罪を押し付けて、一件落着が図られるのでしょうか。

 しかし、もしこの件でどこかの市民団体あたりが東京地検特捜部に告発状を提出し、それに基づいて特捜部が捜査に乗り出したとしても、オブチ「姫」のこともあるので、秘書が在宅起訴され、裁判でも執行猶予付き判決が出て、はい、一件落着という経過になることが予想されます。

■おそらく、そうしたことにならないように、今回の週刊誌の報道によれば、告発者は用意周到に、録音機や写真、コピーをきちんと証拠として残しておいたのでしょう。

 こうした用意周到の良さについて、自民党内では、甘利経済再生担当相を擁護する声も最近になって増えつつあるようです。やはり自民党の体質は、この程度のレベルであることがわかります。

■こうしたなか、甘利明・経済再生担当相は1月25日夕、産業競争力会議後の会見で金銭授受疑惑をめぐる週刊誌報道について「今週中に会見で説明責任を果たす」とし、日程は「調整中」と述べました。また、甘利大臣本人に関わらない件については「第三者による事実確認調査を行っており、ある程度時間を要する」と述べました。

 一方、週刊文春の方も、当然第2弾の記事を準備していると思われます。したがって、今週の木曜日以降の動きが注目されるところです。

 今回の事件は、金銭授受の現場の録音や、渡したカネのコピーがあるところから、東京地検特捜部であっても、嫌疑不十分で不起訴処分にするのは、かなり難しい展開を余儀なくされるでしょうが、オブチ「姫」の事件という前例があるところから、当会としては、あっけない幕引きに至る可能性が相当高いと見ています。

【市民オンブズマン群馬・政治とカネ調査班】

※週刊誌の報道記事
**********週刊文春1月28日号(1月21日発売)
TPP立役者に重大疑惑 政界激震スクープ 実名告白
「甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した」
口利きの見返りに大臣室で現金授受。現場写真、音声公開!

難航したTPP交渉を大筋合意に導き、評価を高めた甘利明TPP担当大臣。今国会では承認が控えるが、そんな矢先、その適格性が問われる重大な疑惑が発覚した。甘利大臣や秘書が、口利きのお礼として多額の金を受け取ったというのだ。衝撃告発の中身とは――。

 神奈川県大和市にある古びた喫茶店『F』。昨年十月十九日、薄暗い店内の片隅でワイシャツ姿の中年男性二人が向かい合っていた。
 この数カ月間、二人は毎週月曜日、近くの回転寿司でランチを済ませると、この店でコーヒーを飲んでいる。男たちは小声で十分ほど話しこんだ後、手前に座った年配の男が周囲を気にしながら、テーブルの上に二つの封筒を差し出した。
 「ウフフフ……」
 封筒を見た窓際の男が、突如笑い声をあげ、年配の男が冗談めいた口調で「本
物でしょ?」と語りかけた。
 窓際の男が躊躇なく封筒を受け取ると、もう一方の封筒を手にしながら、
 「ウフフフ。あ、私がお預かりしておきます」
 そう言って、傍に掛けていた自身のジャケットの内ポケットに二つの封筒をねじ込んだのだった。

「甘利大臣に直接手渡した」

 封筒を受け取った男の名は清島健一(39)。実はこの男、地元ではちょっとした実力者だ。甘利明TPP担当大臣(66)の公設第一秘書で、甘利氏が地元に構える大和事務所の所長でもある。
 年配の男性が、この日のことをこう振り返る。
「清島所長に渡した二つの封筒の中には現金が十万円ずつ入っています。知人に頼まれて、ある外国人のビザ申請で便宜を図ってもらおうと、甘利事務所の力を借りていました。秘書が動くには経費がかかると所長から言われたため、この日、十万円を所長に、もう一つの封筒は政策秘書の方に渡してくださいという意味で預けたのです。
 実は、清島所長や甘利事務所の方にお金を渡したのは、このビザの件だけではありません。ある案件では、所長や他の秘書に金銭を渡したり、飲食の接待をして、千万単位の金をつぎ込んできました。しかも、現金を甘利大臣に直接手渡したこともあるのです」
 そんな衝撃的な告発をするのは一色武氏(62)。千葉県白井市にある建設会社『S』の総務担当者だ。自身でも会社を経営しており、甘利氏の支援者でもあ
る。その一色氏が告発に至った経緯をこう語る。
 「利益供与をしたわけですから、真実を話すことで自分が不利益を被ることは承知しています。
 しかし安倍政権の重要閣僚で、TPP交渉の立役者と持て囃された甘利大臣や、それを支える甘利事務所の秘書たちが、数年もの間、金をとるだけ取って、最後は事をうやむやにしようとしている姿に不信感を抱くようになったのです。『うち(甘利事務所)が間に入りますから』というような甘い言葉を私にかけては、金をタカってきましたが、それは支援者に対する誠実な態度といえるのでしょうか。私は、彼らのいい加減な姿勢に憤りを覚え、もう甘利事務所とは決別しようと決心したのです。
 私は、自分の身を守る手段として、やり取りを録音しています。また、毎回いつ誰とどこで会ったかなどを記録に残し、領収書はメモと一緒に保管してきました。口利きの見返りとして甘利大臣や秘書に渡した金や接待で、確実な証拠が残っているものだけでも千二百万円に上ります」
 そう言って、彼は膨大な資料やメモ、五十時間以上にも及ぶ録音データなどを小誌に提供したのだった。
 甘利氏は、安倍政権の閣僚の中でも別格の存在だ。
 第一次政権では経産大臣、第二次政権が発足するとアベノミクスの司令塔として経済再生担当大臣、さらに成長戦略の柱であるTPP担当を任ぜられるなど安倍首相の信頼は厚い。
 「一次、二次の安倍政権を通じてずっと大臣の職にあるのは甘利氏だけです。TPP交渉では、アメリカの担当者と怒鳴りあい、席を蹴って退席したこともあった。そんな交渉ができたのは、安倍首相の“全権委任”とも言うべき信頼があってのことです。第二次政権における甘利氏は、菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相と並ぶコアメンバーなのです」(政治部記者)
 予算編成を終えた昨年十二月二十三日の夜には、安倍首相、菅官房長官、麻生財務相と四人で赤坂の中華料理店で食事。「アベノミクスはうまくいっている。本当によかった」などと盛り上がったという。
 甘利氏が担当するTPPは、大筋合意を受け、今後各国の承認手続きが控える。
 「二月上旬にも担当閣僚が参加して署名式が開かれます。署名で協定の文言が固まり、各国が協定を批准・承認する国内手続きに入ります。政府は通常国会にTPP協定の承認を求めるとともに関連法案を提出する方針で、予算成立後の後半国会は“TPP国会”となりそうです」(同前)
 そんな重要課題を担う甘利氏や秘書に、適格性に疑問を抱かせる重大疑惑が浮上したのだ。
 一九七〇年、予葉県企業庁は、「千葉ニュータウン」の開発に伴い、「県道千葉ニュータウン北環状線(清戸地区)」の道路用地買収を始めた。現在、道路建設は、千葉県企業庁から委託された独立行政法人都市再生機構(UR)が行っている。この道路建設を巡り、隣接するS社との間で度々トラブルが生じてきたのだった。S社の総務担当である一色氏が経緯を語る。
 「工事が始まると、もともと当社が地主から借りている道路建設予定地の一部を、地主が勝手にURへ売却してしまい、URとトラブルになってしまいました。さらに、工事によって地中から硫化水素が発生したり、工事の振動で当社の建物がゆがんだりと、その後も次々と問題が起きたのです」
 二〇一三年頃、URとS社の間で補償の話が持ち上がった。しかし交渉は建航するばかり。そこで一色氏が頼ったのが甘利事務所だった。

大臣室でとらやの羊羹と一緒に

 「二〇一三年五月九日、私は大和事務所を訪ね、『清島所長の力で何とかしていただけませんか』と、相談したのです。所長とは数カ月前に知人の紹介で出会ってぃました。所長は、真剣に話を聞いてくれ、『私が間に入ってシャンシャンしましょう』と言い、まずはURに内容証明を送ることを提案してくれました。内容証明を送って事実関係がはっきりすれば、甘利事務所も介入しやすいと思ったのでしょう。結果、所長の提案がきっかけで、URとの交渉が進展してぃくことになるのです」
 一色氏によれば、清島氏はまず、ペテラン秘書の宮下忠士氏をUR本社(横浜市)に向かわせたという。
 このとき対応したURの担当者の名剌のコピーを清島氏は持参し、一色氏に経過報告をする。依頼から約一ヵ月後の六月十四日のことだ。
 結局、清島氏が提案した内容証明をきっかけに補償交渉をすすめたS社は、三ヵ月後の八月、URから補償金を手にしたのだった(URによると約二億二千万円)。
 清島氏の尽力に一色氏は、さっそく八月二十日に大和事務所を訪れた。決着がついたお礼を言い、現金五百万円を持参した。
 「事務所を入った右手に応接室があり、そこで現金を出すと、所長はスタッフがいる広い部屋に行き、大きな声で「一色さんは約束を守る人だね」と、現金を見せびらかしていました。当時、男女数人が事務所にいたことを覚えています。応接室に戻ると、所長が領収書を持ってきてくれたのですが、なぜか百万円と四百万円に分けていました。発行元はいずれも自由民主党神奈川県第十三選挙区支部で、宛名はS社でした」
 ところが、清島氏は後日不可解な行動をとる。
 「所長が、先日の百万円の領収書をコレに替えてほしいと、自民党神奈川県大和市第二支部が発行する百万円の領収書を持ってきました。この支部の代表である藤代優也県議は甘利氏の元秘書です。
 所長が新たに発行した領収書の日付は九月六日になっていました。不思議に思ったものの、何か特別な事情があるのだろうと思い、所長の言うままに領収書を受け取りました」
 政治資金収支報告書によれば、S社名義で自民党神奈川県第十三選挙区支郡には八月二十日付で百万円、神奈川県大和市第二支部には、九月六日付で百万円の政治献金がなされている。
 一色氏が渡した五百万円のうち、少なくとも三百万円は闇に消えたのだ。
 この“お礼”の後、清島氏の計らいにより、一色氏とS社の社長は、甘利大臣と面会することになった。
 十一月十四日、一色氏らは議員会館を訪れる。
 「まずは甘利事務所のMさんという女性とともに国会内を見学することになっていました。清島所長からは事前に、『Mさんにも三万円くらい商品券を用意してくださいね』と頼まれていたのですが、うっかり忘れてしまい、仕方なく、現金を封筒に入れ、議員会館の地下にある売店の側で、所長に『Mさんに渡してください』と預けました。そして国会見学を終えると、十三時過ぎから議員会館で昼食を取りました」
 そして、一色氏らは清島氏に大臣室へ案内された。
 「うちの社長が、桐の箱に入ったとらやの羊羹と一緒に紙袋の中に、封筒に入れた現金五十万円を添えて、「これはお礼です」と言って甘利大臣に手渡しました。紙袋を受け取ると、清島所長が大臣に何か耳打ちしていました。すると、甘利氏は「あぁ」と言って五十万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまったのです。そして羊羹が入った紙袋は、椅子の横に置きました。事前に面会は十五分だけと清島氏から言われてぃたのですが、結局四十分くらい大臣室で雑談をしました。そして全員で記念写真を撮りましょうということになったのです。大臣に渡した五十万円は、三日前に横浜銀行東海大学駅前支店でピン札に替えて、札のナンバーがわかるようにコピーもとっておきました」

甘利事務所ぐるみで関与

 ところが、S社とURとのトラプルはこれだけでは終わらなかった。しかも、それはより巨額な補償交渉へと発展し、甘利事務所もこの問題への関与を深めていく。
 新たなトラブルのきっかけは、URの工事により建設中の道路に隣接しているS社の敷地のコンクリートに、いくつもの亀裂が入ったことだった。
 「業務に支障がでる恐れがあるためURに抗議しました。ただ、コンクリを補修するとなると、敷地全てのコンクリを剥がす必要があるのです。なぜかというと、実はコンクリの下に大量の産業廃棄物が煙まっており、当社は二〇一四年に、行政機関から、“コンクリを剥がした場合は地中に埋没する全ての産廃を取り除くこと”と文書で指導されているのです。つまり、コンクリを打ち直すということは、当社が借りている敷地一帯に埋まっている産廃を全て撤去しなくてはならない。それには百億円以上かかるのです。
 実は、産廃を投棄したのは地主の父親です。産業廃棄物処理法にもある通り、産廃は本来、不法投棄者が責任を負うべきもの。にもかかわらず、URは、地主の父が撤去すべき産廃が埋まる道路予定地は約三十億八千万円もかけて処理をするというのです。一方、隣接する当社の敷地の方が広いにもかかわらず、私たちには、約一億三千万円の補償金しか支払わないというのです」
 ここでも一色氏が頼ったのは甘利事務所だった。
 二〇一四年二月一日の午前十時三十分。一色氏は、大和事務所の応接室で甘利大臣の到着を待っていた。
 「この日は、大臣に新たなURとのトラブルを説明するために伺いました。数センチ程の厚みがある青いファイルに資料を挟み、事前に清島所長から指示されていた通り、要点をまとめたA4用紙二枚を持参しました。十時半を過ぎたころ大臣が現れ、挨拶をすませると、所長が、『この資料を見てください』と言って、私のファイルを大臣に手渡したのです。真剣に目を通していただき、『これはどういうこと?」と、いくつか質問もされました。すぐに要点を理解されたようで、やはり頭のよい方ですね。大臣は、「一色さん、ちゃんとやってるんだね。わかりました』と言い、所長に『これ(資料)、東京の河野君(現・大臣秘書官の河野一郎氏)に預けなさい』と指示しました。
 そして所長が『一色さん、例のものを』と小声で言うので、私は現金五十万円が入った封筒を大臣に差し出しました。甘利さんは「ありがとう」と言って、封筒を受け取りました。そして最後に、所長がシャッターを押し、私と大臣の写真を撮ってくれたのです」
 この三日前、一色氏は前回同様、現金をピン札に替えてコピーをしている。
 しかし、URとの補償交渉は、甘利氏に事情を説明してから約五ヵ月半が経っても進展しなかった。
 「七月半ば、私の誕生日が近いからという理由で所長から会いたいと連絡がありました。『大臣から預かっているものがある』と。居酒屋で所長と会うと、大臣が私に書いてくれた色紙を持ってきてくれました。私の名前を入れて『得意淡然失意泰然』とありました。物事が上手くいっていなくても、焦らずに時節の到来を待つべきという意味だそうです。これを読み、私はじっと待つことにしたのです。甘利大臣がきっと動いてくれると信じながら」
 この日の会計も一色氏が支払った。実はこの頃、一色氏は清島氏との関係を深め、毎週のように会うようになっていた。
 さらに、甘利事務所の鈴木陵允氏(現・政策秘書)も補償交渉に加わった。
 清島氏の紹介で、鈴木氏と一色氏が初めて酒を酌み交わすのは二〇一四年七月十七日のことだ。
 「鈴木氏が環境省の役人を議員会館に呼び、産廃の処理をどうするのか話してみましょうと提案してくれたのです。九月二十五日、私は十七時半に環境省の課長ら二人と議員会館で面会しました。もちろん鈴木氏と所長が同席してくれました。このとき鈴木氏は、机を叩きながら、環境省の役人に迫っていたので、『なかなかのやり手だな』と感じていました。話し合いが終わると、私と所長と鈴木氏は赤坂で食事をし、錦糸町のキャパクラなどを二軒ハシゴしました」
 清島氏や鈴木氏とは一体どんな人物なのか。
 「清島氏は、国士舘大学を卒業し、○二年から江田憲司衆院議員(現・維新の党)の事務所で秘書になりました。江田氏が○三年に落選すると、甘利事務所に移り、一一年には公設第一秘書となり、今では地元の大和事務所の所長を務めています。甘利氏からの信頼は厚く、一二年、大臣の母が亡くなった際、遺産処理を手伝ったほどです。ただ、周囲に『(甘利氏への)遺産があんまりなかった』と漏らすような軽い男です」(地元政界関係者)
 「鈴木氏は別の自民党衆院議員の事務所にいましたが、もっぱら運転手でした。甘利事務所に移ってからは、甘利氏の夫人に気に入られ、去年の夏、夫婦で箱根の温泉へ旅行をしたときは、彼が運転手として同行しています」(別の地元政界関係者)
 二〇一四年十一月二十日、一色氏は清島氏から金銭提供の依頼を受ける。一ヵ月後には衆院選が迫っていた。
 「URとの交渉に尽力してくれる清島所長の頼みとあって、S社と私の名義で五十万円ずつの寄付をすることにしました」(一色氏)

フィリピンパブで度々接待

 ところが、収支報告書に記載があるのはS社からの五十万円のみ。一色氏の五十万円には、清島氏が、政治団体として届け出のない「甘利明事務所」と書いた手書きの領収書を出した。
 さらに二〇一五年になると、清島氏と鈴木氏は、驚くべき提案を持ちかける。
 「国交省の局長に“口利き”を依頼するので、商品券五万円を用意してほしいと言うのです。清島所長は『商品券は鈴木を経由して国交省の局長に渡った』と私に説明しました。また、他にも国交省の役人に渡す商品券が必要だと言うので三十万円を所長に渡しています」(同前)
 次第に清島氏と鈴木氏は、一色氏に露骨に“タカる”ようになっていたという。
 「鈴木氏からは、高級車レクサスを要求されたこともあります。清島所長とは毎週のようにメシを食い、フィリピンパプにもよく行きました。経費はすべて私持ちです。メモに残しているだけでも昨年、所長と鈴木氏に口利きの“経費”として渡したのは二百十万円。飲食費は百六十万。二〇一四年は“経費”が四百五十五万で飲食費が二百十一万、その前の年もあるわけですが、彼らはこの金を何に使ったのでしょうか……」
 小誌は疑感の中心人物である清島氏を直撃した。
――一色氏から何度も現金をもらっていますよね。
「いや、もらってないです」
――現金をもらいURに働きかけをしていたか?
「問い合わせという形で、やっている形なんですよ」
――大和事務所で大臣が五十万円を受け取った?
「それはですね、私たち介入してぃないことなので」
――では、渡したのはご存じなのですね?
「渡したのは封筒ですか?それはパーティ券として使ってくださいと渡されていますので」
――大臣室でとらやの羊羹と五十万円を受け取った?
「S社の社長が献金という形で持ってきたのではないですか」
――国交省の局長に話をつけるからと言って一色氏からお金を受け取った?
「それは知りません」
――外国人のビザ申請で二十万円を受け取った?
「それは私、知りません」
――大臣は一色氏の産廃の件は知っている?
「知らない」
 と、終始動揺しながら否定してみせた。さらに、二〇一三年の三百万円の不記載につぃて尋ねると、「パー券で処理している」と答えたが、再度質問すると「計上ミスかもしれない」と説明。
 四百万円の領収書の写しを見せると、慌てた様子で
 「エッ…これ、撮っていいですか」と言い、スマホで撮影したのだった。
 一色氏から飲食のたびに受け取っていた十五万円については、「パーティ券で処理している」「領収書も発行している」と答えるのだ。
 だが、清島氏の回答は小誌の把握している事実と大きく異なっている。

「お金が釣り上がることだよ」

 まず、冒頭の現金授受の場面は、小誌記者の目の前で行われたものである(グラビア参照)。
 また、「URへは問い合わせをしただけ」と言うが、昨年十一月十二日、鈴木秘書は、千葉県にあるUR事務所を一色氏と訪れている(グラビア参照)。さらに、この日、鈴木氏がURの会議に同席してぃる録音もある。また、大和事務所にURの国会連絡担当職員を呼び出し、一色氏、清島氏、鈴木氏と四名で産廃撤去について話し合った昨年十月五日の会合についても写真と録音がある。
鈴木氏〈私、前向きだと思ったんだけど〉
UR職員〈後ろか前かで言ったら、前かと〉
 国交省への口利きについては、録音によれば清島氏は昨年九月十七日、居酒屋でこう語っている。
〈(何もしてくれないなら局長も商品券を)返せばよかったですよね、五万。ヘヘヘ〉(局長は、小誌の取材に
受け取りを否定)
 清島氏の発言に矛盾はまだまだある。まず、大臣室で受け取った五十万円は、収支報告書に記載はない。たとえパーティ券であったとしても二十万円を超えれば、記載義務がある。
 飲食の度に現金を受け取っているという疑惑についても、「パーティ券として処理している」と言うのだが、
 「確かにパーティ券は昨年も約四十万円ほど買っていますが、大臣への五十万円や秘書への“経費”は別に渡しています」(一色氏)
 甘利氏の関与についてはこう明言している。
〈『大臣もこの案件(URの件)は知ってるんで、こっちもちゃんと返事返さなくちゃいけないんですよ』って(URに)言った〉(二〇一五年十二月七日)
 《「大臣さえ納得してれば、うちが納得すれぱ、お金を釣り上げるわけないでしよ」って(UR総務郵長に言った)。「うちが納得するのは、ある程度、お金が釣り上がることだよ』と今日も言った」(同年十二月二十二日)
 交渉の当事者であるURは次のように回答する。
 「十月五日、十二月一日、十六日に状況の確認との名目で、当機構の職員が大和事務所に呼び出されたのは事実です。清島氏や鈴木氏からは「前に進めるようなことを考えてほしい」という話がありました。「大臣にも報告しています」という発言もあった。秘書からの問い合わせはよくありますが、(三回も四回も呼ばれることは)あまりありません。ただ、口利きだと感じたことはありません」
 元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏は次のように指摘する。
 「寄付を受け取りながら、収支報告書に意図的に記載しなかったとすれば、虚偽記入で政治資金規正法違反にあたります。
 また国会議員や秘書が、国が資本金の二分の一以上を出資する法人が締結する契約などについて、請託を受け、権限に基づく影響力を行使して、当該法人の職員にその職務上の行為をさせるように、あっせんして、報酬を得ることは、あっせん利得処罰法違反です。URは国交省のほぼ全額出資ですし、安倍政権の中枢にいる甘利大臣であれば、国会議員の権限に基づく影響力が十分にある。議員や秘書が、URとの契約に関して、業者から依頼を受けてUR側に働きかけ、報酬を受け取ったとすれば、違反が成立します」
 甘利氏は、この案件にどう関わったのか。一月十六日、地元に戻った甘利氏本人を直撃した。警察官に守られ、自宅マンションに入っていく甘利氏。「五十万円を受け取ったのは事実ですか?」と記者が大声で問うと「知らないで~す」と一言だけ、語尾を伸ばして答えた。
 甘利事務所に事実関係を詳細に尋ねたが、締め切りまでに回答はなかった。
 強大な権力を金に換える政治家や秘書にTPPのような国政の枢機を任せられないことは言うまでもない。

**********同号グラビア記事
Catch Up 私はこの金を甘利大臣に渡しました。
 「この日、私は甘利大臣に現金五十万円を渡しました」
 こんな衝撃告白をするのは、千葉県白井市にある建設会社「S」の総務担当者、一色武氏(62)。右の写真で甘利明TPP担当大臣(66)と握手している当人である。
 甘利氏と言えば、菅義偉官房長官、麻生太郎財務大臣と並び、安倍政権の中枢を担う一人。TPPの大筋合意では、粘り強い交渉で米側からタフネゴシエーターとして恐れられた。だがその甘利氏にm政権を揺るがす重大疑惑が浮上した。
 二〇一四年二月一日午前十時半、神奈川県大和市野地元事務所で甘利氏と会った際の様子を、一色氏が振り返る。
「大臣と面会したのは、当社とUR(独立行政法人都市再生機構)の補償交渉をめぐる案件で、口利きをお願いするためです。私が資料をお見せしながら案件について説明した後、現金の入った封筒を渡すと、大臣は『ありがとう』と言って、封筒を受け取りました。後になって『受け取っていない』と否定されないために、面会する三日前の一月二十九日、私は横浜銀行東海大学駅前支店で五十万円をピン札に両替しています」
 その五十万円のピン札をコピーしたのが、上の写真だ。
 甘利事務所と一色氏の金銭授受はこれだけではない。一色氏はURの案件で複数回にわたり口利きを依頼し、十三年以降、大和事務所所長の清島健一氏(公認第一秘書)や、政策秘書の鈴木陵允(りょうすけ)氏にも現金を渡してきたという。
 小誌は今回、現金授受の決定的現場を押さえた。上の写真をご覧いただきたい。大和市内の喫茶店において一色氏と清島氏が対面したのは、一五年十月十九日のこと。一色氏が周囲の目を気にしながら現金二十万円を手渡すと、清島氏はニヤッと笑い、傍らに置いたジャケットの内ポケットに仕舞ったのだった。
 一色氏はこう続ける。
「証拠として残したメモを見ると、昨年だけで二人に二百十万円は手渡しています。会うたびに、キャバクラやフィリピンパブで接待もしている。これだけ賄賂を渡していれば、甘利
大臣が当社のために動いてくれると信じていました」
 政治家や秘書が口利きの見返りに報酬を受け取った場合、あっせん利得処罰法違反にあたる可能性がある。疑惑の詳細は二十二ページからの特集記事で。
**********
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大同有害スラグ問題を着る!・・・国土交通省の謎の工事を再度問う!一体何の工事なんだ!?

2016-01-24 23:57:00 | スラグ不法投棄問題

■昨年11月にお伝えいたしましたが、国道17号前橋渋川バイパスの終点側・沼辺信号付近で不審な工事が行われています。詳しくは以下のブログ記事をぜひご確認ください。青いURLをクリックすると関連記事がみられます。↓↓↓
○2015年11月9日:大同スラグ問題を斬る!・・・国土交通省の謎の工事に迫る(その1)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1793.html
○2015円11月10日:大同スラグ問題を斬る!・・・国土交通省の謎の工事に迫る(その2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1794.html
○2015年11月11日:大同スラグ問題を斬る!・・・国土交通省の謎の工事に迫る(その3)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1795.html
○2015年11月12日:大同スラグ問題を斬る!・・・国土交通省の謎の工事に迫る(その4)調査を振り返って 
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1796.html
*****リットン調査団の現況報告*****
 リットン調査団集合(^^)/

 今回は、例の「謎の工事」がどうなっているのか?久しぶりに見に行きましょう。新聞カメラマンのように脚立を忘れないように・・・。と、その前に昨年2015年11月の様子を簡単に振り返ってみましょう。


国道17号沼辺信号付近の怪しい白いフェンスが工事現場です。


脚立で白いフェンスを傷つけないようにフェンスの上から撮影。薗原ダム担当の林様、フェンスに傷をつけてないから、陰気臭くネチネチとしかも偉そうに文句を言わないでくださいね。


何の工事ですか?とても歩道工事には見えません。アースアンカーなど必要なのですか?地滑り地帯なのでしょうか?まさか危険スラグの膨張による隆起に耐えるための工事ではないでしょうね?だったら危険スラグを全て撤去すればいいじゃないですか。正々堂々とわかりやすく工事内容を示して工事を行ってください。

■団長の「では団員諸君、脚立から落ちると危ないので注意するように!」の声を背にして、さっそく徘徊老人軍団は、最近の様子の撮影を敢行してみました。


大きなレッカーで擁壁を吊り上げて設置しています。もう一度言いますが、何の工事なのですか?この大きな民間工場のフェンス工事にしか見えません。しかも丁寧に2段にフェンスを造作しています。まるで工事前と違っていませんか?どなたか施工前と施工後の様子を確認していただけませんか?いったい何の工事なんだ!


信号の柱付近のアスファルトは以前のままのようです。そこには危険スラグは入っていないのでしょうか?歩道工事といっても一部の歩道工事なのでしょうか?どのような基準で工事場所を選定しているのでしょうか?

■最後に工事看板を、もう一度皆さんと一緒に見てみましょう。


上記の写真が、その看板です。
「歩道工事を行っています
環境整備工事
国土交通省 関東地方整備局
高崎河川国道事務所 上武監督官詰所」
と描かれています。歩道工事なのに環境整備工事なんだって?一体何の工事なんだ!?

*****続く*****

■以前にもお伝えした通り、ネットでこの謎の怪しい工事を探してみると、次の工事情報しか検索できませんでした。

**********
工事名:H27上武道路他環境整備工事
 工事場所:群馬県太田市武蔵島町~群馬県前橋市上細井町外5箇所
 工事内容:本工事は、高崎河川国道事務所管内における国道17号上武道路、群馬大橋拡幅、渋川西バイパス、綾戸バイパス及び国道18号高崎安中拡幅、国道50号前橋笠懸道路の道路予定地等を管理するため、除草工、防草工、防護柵、舗装工、擁護工、応急処置工等を行うものである。
 工期:平成27年4月1日から平成28年3月31日まで
 予定価格:71,200,000(税抜き)
**********

■確かに、現場の工事看板には「環境整備工事」と示してあるので、この工事なのだろうと推測いたします。しかしこの工事は、「道路の除草や応急処置などの維持管理等を行うもの」というふうに、国土交通省自ら内容説明をされています。

 応急処置にしては、今回の工事は本格的過ぎます。アースアンカー工法まで繰り出し、大企業の工場のフェンスを大掛かりに作り直しているのですから、この工事名で対応するのは無理があるのではないでしょうか?

 「群馬県太田市武蔵島町~群馬県前橋市上細井町外5箇所」といえば、ほぼ群馬県を縦断するような広範囲の道路管理になります。このような長い距離の管理をしなければならないのに、この渋川での一箇所に大規模に関わってしまっているとなると、他の場所は手抜きをしてはいないでしょうか?非常に心配になります。

■国は、このような怪しい隠ぺいの匂いがプンプンする工事をチェックする機関を持たないのでしょうか?会計検査院という機関があることはご存知でしょうが、群馬県で大規模に行われていたスラグ隠ぺい工事を事後的にチェックしてくれるのでしょうか?普段からこの会計検査委の仕事ぶりには大いに疑問があります。

 果たして本当に、彼らは厳しく仕事をしているのでしょうか?仕事をあまりしたくない方ばかりなので、普段から厳しくチェックしていないとなると、国土交通省はすぐにつけあがり、不作為、隠ぺい、などやりたい放題なのではないか、という懸念が膨らみます。

■当会ではこの工事について、当会では、危険スラグの膨張が原因で民間企業の大きな工場のフェンスを押し倒してしまったのだと推測しています。擁壁を押し倒すような危険なスラグの不法投棄場所はここだけではありません。

 国土交通省の発表では、半田その4改良の垂直でしかも高いテールアルメ(補強土壁)にも、大量に危険スラグが不法投棄されています。その証拠に、雨が降ると大量の茶色いサビ色の水が噴き出します(→お願い:どなたかこのサビ水の成分を分析していただけませんでしょうか)。


張り出してオーバーハングしているテールアルメ(補強土壁)

議員の先生も視察されています。塩川議員のホームページより引用。
詳しくは下の青いURLをクリックしてください↓↓↓
○2015年11月5日:大同スラグ問題を斬る!…更に更に更に、そして更に崩壊が進む上武国道(その4) 
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1790.html

 この民間企業の大きな工場のフェンスが危険スラグの膨張により、押し倒されてしまったことがもしも明るみでれば、半田改良その4工事で造られた高い垂直な擁壁は危険極まりない不安定な擁壁ということになってしまいます。

 擁壁が崩れ、自動車が何台も下敷きになり、死亡者が何にも犠牲になるような大惨事を心配するお役人様はひとりもいないのでしょうか?もしかしたらこの危険事象のことを一般に知られたくないために、環境工事を隠れ蓑に姑息に手直ししているのではないか、ということが疑われます。

 手直しにしては大規模になってしまいましたね!国土交通省様!!

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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大同有害スラグ問題・・・週刊金曜日に掲載された「汚染された地が残された」と題する記事で占う今後の展開

2016-01-23 23:12:00 | スラグ不法投棄問題
■昨年12月8日に当会が取材を受けていた大同有毒スラグ問題について、1月22日発売の週刊誌に記事が掲載されました。取材記者は、三重県で石原産業が2001年から土壌補強材、土壌埋戻材として生産、販売していたフェロシルトが、実は環境基準を超える六価クロムやフッ素、放射性物質などが含まれている産業廃棄物であることを明らかにしたジャーナリストで、大同有毒スラグ問題がフェロシルト事件と酷似していることから関心を抱いたとして当会にコンタクトしてきたものです。さっそく記事の内容を見てみましょう。

**********週刊金曜日2016年1月22日号
20160122_shukan_kinyobi_p26.pdf
20160122_shukan_kinyobi_p27.pdf
大同特殊鋼スラグ偽造事件 汚染された地が残された
<不法投棄は問えない!?>
昨年9月に始まった群馬県警による大同特殊鋼の有害スラグ・リサイクル偽造事件の捜査は年を超えた。
最終的に不法投棄は間われない見込みだ。
この事件で自主規制を強化した鉄鋼業界だが、他方でスラグ輸出の規制緩和を国に働きかけている。

群馬県東吾妻町の住宅地の一角。佐藤建設工業(渋川市)の敷地に油圧ショベル「ユンボ」が5台。ダンプカーが山の砕石を運び込む。かつて大同特殊鋼(本社・名古屋市)渋川工場(群馬県渋川市)が、有害スラグ(鉄鋼製造の過程で副産物としてでるカス)と天然砕石をユンボで混ぜ、再生路盤材を製造、工事現場に出荷していた。

★自濁したスラグが家まで迫った

 近所の女性(60歳)が言う。「騒音と振動がすごかった。飛来したスラグで換気一扇が詰まり、大雨で白濁したスラグが庭に流れ込み、家に迫った。セメントみたいに固まり怖かった」。住民の苦情で同社は四方を鉄板で覆い、暮れには佐藤建設工業の社長がお歳暮を抱え家々を回ったが、スラグの素性は明かさなかった。その後、事件が顕在化し、女性は報道でスラグと知った。2014年にスラグは撤去された。
 渋川工場では戦前からスラグを土地の造成材に使い、01年にフッ素の土壌環境基準(溶出基準、1リツトル当たり0.8ミリグラム)、03年に土壌汚染対策法の土壌含有量指定基準(1キロ当たり4000ミリグラム)が設定された後も、基準を超えたスラグを出荷し続けた。
 フッ素が多いのは、電気炉で鉄スクラップから製鋼する際、フッ素化合物を投入するため。環境基準ができて他の電気炉メーカーや大同特殊鋼の知多工場も使用をやめたが、渋川工場は「廃止を検討したが、特殊な製品の製造に不可欠でやめられずにいた」(同社関係者)。
 公共事業に最初に使ったのがお膝元の渋川市。田中市郎建設部長は「工場の働きかけもあったが、水と混ざると固まる性質が、坂道の多い市に適合していた」と言うが、安全性は確認しなかった。
 しかし09年、鉄鋼メーカーでつくる鐵鋼スラグ協会が第三者機関による審査証明制度を導入、会員に遵守を求めたことで、環境基準を上回るスラグを出荷できなくなった。渋川工場が天然砕石と混合して薄め、審査をすり抜けたのはそれからだ。
 群馬県も応援した。10年6月、県土整備部が、混合した路盤材がフッ素などの基準を満たせば使うように促す通知を出すと、公共工事に一気に広がった。何しろ天然砕石の路盤材がトン3000円もするのに1300円と格安なのだから。
 だが、製法はずさん極まりなかった。市民オンブズマン群馬が入手した工場の内部資料(13年6月の管理表)によると、ロットごとに原料のスラグと砕石を混ぜた「混合再生材」のフッ素含有量が記されている。たとえば1キロ2万2100ミリグラム含有のスラグは、砕石と混ぜると1600ミリグラム。1万600ミリグラムのスラグは1400ミリグラム。再生材の数値はまちまちだ。
 市民オンブズマン群馬の小川賢事務局長は「混合比率を決めても実際にはユンボでスラグと砕石の山を崩してこねるだけだから均一製品ができるわけがない。リサイクル製品とは名ばかりだった」と指摘する。
 製法を記した同社のマニュアルは鐵鋼スラグ協会に提出されていた。協会は有害スラグの混入を知っていたのか。内田靖人常務理事は「マニュアルに測定値の記載はなかった。基準超えのスラグを原料に使うなんて予想もつかなかった」と言う。昨年1月ガイドラインを改定、原料段階から基準以下とし、販売価格を運送費などの費用が上回るいわゆる「逆有償」取引を認めないと会員に通知した。

★産廃の判断に苦労した群馬県

 県は、有害スラグと再生路盤材を産業廃棄物と断定するのに1年半以上費やした。環境省は廃棄物の判断材料として5項目を挙げるが、中でも県が重視したのは性状と逆有償だった。
 契約書によると、大同特殊鋼は子会社の大同エコメットにトン10円で販売、大同エコメットは佐藤建設工業にトン100円で販売。一方、大同特殊鋼はエコメットに処理費としてトン数千円、佐藤建設工業に同数百円払っていた。明らかな逆有償で、委託先の2社は産廃業の許可がなく、大同特殊鋼と共に委託基準違反も明白だ。
 一方、性状による判断は難航を極めた。土壌の環境基準が「道路用等の路盤材として利用される場合には、再利用物自体は土壌と区別できることから適用しない」(中央環境審議会答申)と適用除外だったからだ。
 当時の審議会委員は「鉄鋼業界が『フッ素は自然界にあり、基準適用なら路盤材に使えなくなる』と猛反対した」と明かす。
 困った県を救ったのが周辺土壌の汚染の存在。廃棄物・リサイクル課の松井利光次長は「スラグの安全基準を定めているのはJIS(日本工業規格、13年改定)だけ。JIS違反では県警に告発するのは難しかった。だが、国土交通省の調査が進み、周辺土壌の汚染が幾つも見つかり、廃棄物断定の決め手となった」。
 昨年9月、群馬県警が廃棄物処理法違反の疑いで大同特殊鋼に家宅捜索に入った。結局、不法投棄は間われず、同社などの委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまる見込みだ。廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(松井次長)。
 昨年1月国と県、渋川市の公共事業担当部局の協議で原状回復策を決めた。工事をした195カ所のうち77カ所の基準超えについて民有地の19カ所を撤去、残りは被覆に。廃棄物を埋めたにもかかわらず、基準以下はそのままとなった。工場の出荷量は計76万トンあるが、撤去量は一部にとどまる。群馬県県土整備部の岩下勝則建設企画課長は「生活環境への影響はないので撤去の必要はないとなった」。これに対し大同特殊鋼は「(逆有償について)取引の対価や金額決定の合理性を十分説明できると考えている。県のルールに従っており、違法行為を行なったと認識していない」(総務部)としている。
 かつてリサイクル偽装事件を起こした石原産業(大阪市)は、各地に埋めた産廃72万トンと汚染土を約486億円かけて全量撤去した。今回は行政側三者が自ら利用したのに加え、国の規制もリサイクル優先の趨勢の中で曖味だった。結局公共事業部局が、責任問題に発展するのを嫌い、幕引きを図ったとも言える。
 昨年10月、東京都内で環境省の「廃棄物の越境移動等の適正化に関する検討会」があった。日本鉄鋼連盟の北野吉幸(きたのよしゆき)鉄鋼スラグ委員会委員長が、資料を手に訴えた。
「海外の需要があってもFOB価格(貨物を積み地の港で本船に積み込んだ時点の価格)がマイナスの輸出になった際、環境省から『廃棄物の輸出に当たる恐れがある』と言われる。廃棄物輸出に当たらないと明確化してほしい」。
 鉄鋼業界が毎年排出するスラグは約4000万トン。輸出の多くを占める高炉スラグはほぼ無害だが、電気炉のスラグも含め、スラグ全体の国内需要が将来減る可能性がある。連盟には運賃が高い遠方の国への輸出を増やす狙いがある。環境省は「使い道が明確なら逆有償と判断しない。同様の事件が海外で起きないよう判断基準をつくりたい」と言うが、環境基準設定の時のように業界の意向がそっくり反映される心配もある。
 今回の事件もオンブズマンの調査・告発活動なしにここまでこれなかったろう。一層の国民の監視が必要だ。
撮影/杉本裕明
==========
すぎもと ひろあき・ジャーナリスト。著書に『ルポ にっぼんのごみ』(岩波新書)など。
**********

■この記事の冒頭に、「不法投棄は問えない!?」というタイトルが付けられていますが、これは正確に言うと「不法投棄は問われない!?」という意味だと思われます。

 当会の考え方としては、大同有毒スラグは明らかに不法投棄であることは確かですが、群馬県廃棄物・リサイクル課が群馬県警に出したとされる告発状の内容は、公表されていません。したがって、どのような罰条なのかがわからないため、ひょっとしたら「大山鳴動して鼠一匹」という可能性が否定しきれません。

 そのため、不法投棄は問われず、この記事が指摘するように、委託基準違反のみで幕引きされてしまうのではないか、という懸念が頭をもたげるのです。

■この記事では、当会の他にも国、県、渋川市、そして大同特殊鋼にも関係者の取材を行っています。その分、記事の内容に深みを増しています。

 「不法投棄は問われない」とするこの記事の根拠として、「性状による判断は難航を極めた」ということが挙げられています。その理由は、「道路用等の路盤材として利用される場合には、再利用物自体は土壌と区別できることから適用しない」とする中央環境審議会答申を引用しています。

 また、告発の決め手について、この記事では群馬県廃棄物・リサイクル課の次長が語った理由を挙げています。それによると「スラグの安全基準を定めているのはJIS(日本工業規格、13年改定)だけ。JIS違反では県警に告発するのは難しかった。だが、国土交通省の調査が進み、周辺土壌の汚染が幾つも見つかり、廃棄物断定の決め手となった」としつつも、「廃棄物処理法の『何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない』という条項の適用については、1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」と結論付けています。

 群馬県では、環境森林部よりも県土整備部のほうがはるかに権勢を誇っているため、立ち入り調査から告発まで20カ月も要したのは、県土整備部から環境森林部にプレッシャーがかけられたものと、当会は考えています。

 ジャーナリストの取材に対して、廃棄物・リサイクル課次長が不法投棄について、上記のような見解を語ったということは、やはり県土整備部からの圧力を窺わせます。

 確かに路盤材にリサイクル製品を使用することは、一般土壌と隔離されているから、「みだり」に捨てたということにならない、と行政が穏便な処分を念頭にしたがるのは、容易に想像できます。

 しかし、1300円で販売・施工されていたから、「みだり」に捨てたということにならない、というのはどうしても理解できません。逆有償取引があったのですから、1300円で販売・施工されようとされまいと、サンパイを投棄したのは間違いないからです。

 しかも、路盤材のみならず盛土材としても、大同有毒スラグが野放図に公共事業に使われていたのですから、明らかに不法に、というか、違法に投棄されていたことになります。

■当会では、群馬県廃棄物・リサイクル課に対して、2015年9月7日に県警に提出した告発状の内容について開示するように再三求めていますが、同課では、かたくなに開示を拒んでいます。

 こうした現況を見ると、また群馬県という二重基準がまかりとおる行政体質の自治体であることを勘案すると、大同スラグ問題の今後の展開についても、三重県のフェロシルト事件とは異なる展開になる懸念は、払しょくしきれないのです。

 なお、記事の中に当会の代表の写真が掲載されていますが、その写真説明文として、「小川賢事務局長」とあるのは間違いで「小川賢代表」が正しいことを、最後に付け加えさせていただきます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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大同有害スラグ問題を斬る!・・・速報!千葉県で判明した新日鐵住金スラグ「ジオタイザー」大量不法投棄

2016-01-22 23:41:00 | スラグ不法投棄問題
■スラグ(鉱滓)はもともと産業廃棄物です。このスラグは安全性をきちんと確認し、品質的にあらゆる観点から評価して、環境や高齢の観点から問題がないと誰もが納得した場合に有効利用されることは、社会経済にとって決してマイナスではありません。しかし、利益追求主義がはびこり、コスト低減至上主義が叫ばれる昨今の風潮は、最近多発するスラグ不法投棄の背景になっていると考えられます。こうした中、またもや大量の鉄鋼スラグが造成工事に紛れて不法投棄されていたことが、スクープ報道されました。

**********毎日新聞2016年1月22日 
http://mainichi.jp/articles/20160122/k00/00m/040/095000c
スラグ 24万トン無断埋設 地権者が撤去要求 千葉
 千葉県袖ケ浦市の大規模な土地開発事業を巡り、土地区画整理法で義務づけられている地権者の承認を得ないまま、鉄精製時の副産物である「製鋼スラグ」が約24万トン埋設されていることが分かった。スラグは水と反応して膨張する性質があり、これ以前に宅地造成に使用された例はないとされる。地権者は不安視し、スラグの全面撤去を要求。同法を所管する国土交通省も調査を始めた。
 この事業はJR袖ケ浦駅北側に広がる田畑などを宅地として再開発するもので、地権者約400人で作る区画整理組合が主体となり、中堅ゼネコンの奥村組(大阪市)と竹中土木(東京都江東区)の共同企業体(JV)が受注した。2011年7月に着手され、東京ドーム10個分に匹敵する約50ヘクタールの敷地に、地権者の戸建て住宅や大規模マンション、大型商業施設、道路などを造成し、17年度末の完成後には約3700人が居住する計画。総事業費は約78億円で、このうち約17億円は国の、約7億円は市の補助金が充てられる。
 毎日新聞が入手した資料や地権者によると、当初はスラグの使用計画はなかったが、JV側は12年1月、組合の理事会に工事費などの詳細を説明しないままスラグを使って地盤改良することを報告しただけで、組合の意思決定機関である「総代会」や事業を所管する千葉県の承認を得ずに地盤改良工事に着手。地盤改良材として新日鉄住金(東京都千代田区)の君津製鉄所(千葉県君津市)から排出された製鋼スラグを約24万トン搬入し埋設した。
 JV側は地盤改良工事費を約10億円としているが、土地区画整理法では当初の予定にない工事費を計上する場合、地権者と県の承認を受けて資金計画を変更することを義務づけている。JV側が資金計画変更の承認を総代会に求めたのは、地盤改良工事の約8割を終えた14年12月になってからで、同法に抵触する疑いがある。
 スラグは石や砂状で有害物質を含んでいなければ再生利用でき、道路などの軟弱地盤改良に使われるが、水と反応して膨張する性質がある。新日鉄住金が地権者に説明した内容によると、これ以前に宅地開発での利用事例はないという。
 搬入されたスラグは15年8月、「ジオタイザー」の名称で国に商品登録され、新日鉄住金は国に提出した資料で「14年に開発」と記しているが、搬入開始はそれより2年も前だった。資料には留意事項として「(土との)混合率が30%を超える場合は、改良土の膨張について問題ないことを事前配合試験で確認する必要がある」と記されている。
 スラグを巡っては、再生利用できなければ産業廃棄物となり、その処分に1トン当たり2万〜4万円程度かかるため、過去に再生利用を偽装した安価な取引がたびたび問題化している。組合はJVにスラグの取引価格の開示を求めたが、JV側は拒否。このため組合は、スラグの全面撤去や取引価格の開示に応じるまで、資金計画の変更を承認しないことを決めた。国交省市街地整備課は1月12日、JV側に対して改善を求めた。【杉本修作】
 奥村組と竹中土木の話 国や県の指導を受けたことはなく、地盤改良材の安全性に問題はない。他の質問への回答は差し控えさせていただく。

 新日鉄住金広報センターの話 ジオタイザーは2011年5月には既に「軟弱地盤改良用製鋼スラグ」の名称で商品化し、15年8月に新たな名称を付けて(国に)登録した。膨張試験をして結果はJVに示している。万一地盤に問題が発生した場合、必要な協力をJVと協議させていただく。
【ことば】製鋼スラグ
 鉄を作る際に出る鉄くずの「鉄鋼スラグ」のうち、特殊鋼などを精製する際に排出されるもの。石や砂の形状をしており、強度があるために道路の路盤材などに使われる。

**********毎日新聞2016年1月22日
http://mainichi.jp/articles/20160122/k00/00m/040/096000c
スラグ無断埋設 「我々の土地、実験台か」地権者ら憤り

JR内房線の線路左側に広がる千葉県袖ケ浦市の区画整理事業地。右奥には袖ヶ浦駅が見える=2016年1月21日、阿部義正撮影
 千葉県袖ケ浦市の大規模な区画整理事業を巡り、地権者の承認を得ずに鉄精製時の副産物である「製鋼スラグ」が大量に埋設されていたことが明らかになった。スラグには水と反応して膨張する性質があり、地盤の不安定化が懸念される上、専門家は植物などに影響を及ぼす強アルカリ水が溶出する可能性も指摘。地権者からは「我々の土地を実験台にしているのか」と批判する声が上がった。
 施工した共同企業体(JV)のトップで中堅ゼネコンの奥村組(大阪市)が地権者らに説明した内容によると、JVはスラグの排出元となった新日鉄住金(東京都千代田区)と2011年5月に、スラグの利用について協議していたという。奥村組が正式に施工業者に決まったのは同年7月。その2カ月も前から協議が進められていたことになる。
 奥村組の担当者は翌12年1月、区画整理事業組合の理事に「地盤の強度が出なかった(低かった)。地盤改良のためスラグを使う」と報告したが、費用や工事の詳細は報告しなかった上、この時点で既にスラグは納入されていたという。
 15年2月、組合の意思決定機関である「総代会」から、同会の承認を得ないまま工事を進めた理由を問われた奥村組の担当者は「いろいろと不都合があった。地権者に不安を与えるといけないと思った」と回答。被害が出た場合の保証期間を尋ねられると「完了後2年」と答えたという。

 事業を監督する千葉県の指示を受けたJVは15年9月、外部の検査機関に委託し、施工が正しく行われたかを調べるボーリング調査を実施。これによると、スラグを混ぜて地盤改良したとされる層の厚さは数センチから2メートル超まで大きな幅があり、一切使用されていない場所もあった。施工に不安を感じた地権者の有志が地盤を掘削したところ、土と混ぜられることなく固まっている数十センチのスラグの塊も次々と見つかった。
 男性地権者は「こんな欠陥だらけの土地を子や孫に引き継げない」。別の男性地権者は「我々の土地が実験台かゴミ捨て場にされたのではないか」と憤った。県は先月18日、土地区画整理法に基づき改善を勧告した。
 一方、スラグには雨水などと反応して膨張する性質があり、道路で利用されるスラグには日本工業規格(JIS)で膨張率に基準(1・5%以下)が設けられているが、宅地利用での基準はない。別メーカーのスラグをもらい受けて盛り土に使った群馬県榛東村の民家では床が隆起する問題も起きている。
 また、袖ケ浦市の現場のスラグを地権者の許可を得て毎日新聞が環境省指定の第三者機関で鑑定したところ、水素イオン濃度(pH)が12前後の強アルカリ水が検出された。【杉本修作】
★スラグの被害に詳しい畑明郎・元大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話
 使用した時点で国にリサイクル品として認定されていないのなら産業廃棄物を市街地に使ったと言われても仕方がない。大量に発生するスラグの扱いは鉄鋼メーカー共通の問題で、処分に苦慮した可能性もある。製鋼スラグは膨張する特性があり、長い年月で化学変化し、地盤が安定しなくなることは十分考えられる。

**********毎日新聞2016年1月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/articles/20160122/ddm/041/040/164000c
千葉・袖ケ浦のスラグ無断埋設
地盤不安定化の恐れ スラグの被害に詳しい畑明郎・元大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話
アルカリ水溶出も

 使用した時点で国にリサイクル品として認定されていないのなら産業廃棄物を市街地に使ったと言われても仕方がない。製鋼スラグは膨張する特性があり、長い年月で化学変化し地盤が安定しなくなることは十分考えられる。また、強アルカリ水は植物や人の皮膚に影響があり、地下水の位置などの条件によってはアルカリ水が地上に溶出することもあり得る。
**********

■このように、またまた大量のスラグが不法投棄された事件がスクープされました。千葉県の大規模な宅地開発に24万トンものスラグが不法投棄されたのです。いつものようにスラグ報道のポイントをまとめてみましょう。

①国や地方自治体の補助金が投入された土地区画整理事業にスラグが不法投棄されている問題であること。

②地権者や地域住民に説明のないこと

③スラグが地盤改良材として偽装されて土と混合されていること


◆ポイント①「行政補助金事業へのスラグ不法投棄」について
 「総事業費約78億円の住宅や大規模マンションの造成事業で、このうち約17億円は国の、約7億円は市の補助金が充てられている」ことがこの報道の冒頭で紹介されています。群馬県の危険スラグ問題でも国土交通省のスタンス・考え方に疑問の声が上がっていますが、千葉県においてもお役人様の不作為・違法行為がある可能性を強く示唆しています。

◆ポイント②「ステークホルダーに説明なし」について
 群馬県の危険スラグ事件は、今のところ道路工事に用途外・違法使用された問題として被害者は国や群馬県、渋川市などとなっているので、文字通り他人事で問題解決が長引いています。この報道の最大のポイントは直接の被害者として、地権者が紹介されています。なんの説明もないままスラグが不法投棄されたのでは、事業に賛同して土地を提供した地権者の方々はたまったものではありません。スラグが全量撤去されるべく、遠隔地ながら同じ首都圏に住む者として応援してまいりたいと存じます。

◆ポイント③「スラグを地盤改良材として偽装」について

 群馬県の危険スラグ問題では、危険スラグを「公共工事から排出されたコンクリートなどの建設廃材をリサイクルした正規の再生砕石や盛り土材などの天然石だ」などと偽ることで、不法投棄されました。
 今回報道された千葉県の問題では土質改良材に偽装しスラグを不法投棄した疑惑事件であることが紹介されています。スラグなのに悪乗りして、商品名までつけて「有価物」と偽装しているようです。その名も「ジオタイザー」。かなり強そうな語感ですが、実態は単なるスラグのようです。

■強アルカリが指摘され有害物性も有するスラグですが、土質改良材という謳い文句からすると、軟弱な土にスラグを混合してしまったことが容易に想像できます。

 果たして、スラグにセメントと同じように土質を改良する効果があるのでしょうか?確かにうどんを捏ねる時のように、水分が多い材料に乾いた粉を足せば水分調整をすることはできるでしょう。しかし、スラグでは膨張する性質はあっても固まる性質は弱いと考えられることから、土質改良材として、どうして土地区画整理に使用されたのでしょうか?国などが認可しているのでしょうか?そうだとすれば、そこに癒着等スラグマネーの暗躍が想像できます。

 報道では「地権者約400人で作る区画整理組合が、奥村組(大阪市)と竹中土木(東京都江東区)の共同企業体(JV)にスラグの取引価格の開示を求めたが、JV側は拒否。」と報道されていることから、逆有償取引の疑いがあることが、紙面から伝わってきます。

 逆有償取引は、有価物の購入とみせかけ、裏で多額の金がキックバックされる取引のことで、産廃処分の形を表面上、取り繕うだけなので、この取引形態が指摘できれば、産業廃棄物の不法投棄である疑いが極めて濃厚です。

■この問題の当事者でもある竹中土木は、多額な使途不明金問題でも世間を騒がせています。スラグマネーがお役人様や政治家の皆様に渡っている可能性も考えられます、スラグ問題は新たなステージに突入したと言えるでしょう。

**********毎日新聞2016年1月21日
http://mainichi.jp/articles/20160121/k00/00m/040/138000c
http://mainichi.jp/articles/20160121/ddm/041/040/090000c
竹中土木 所得隠し 「使途秘匿金」1億円超 12〜13年 東京国税局認定
 東京都江東区の大手土木会社「竹中土木」が、東京国税局から2013年12月期までの2年間で1億数千万円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。複数の工事で外注費としての実態が不明な支出があったことが税務調査で判明した。同社は国税局の調査に支出先や支払い理由を明らかにしなかったため、1億円を超える支出について「使途秘匿金」と認定され、約5000万円の制裁課税を受けた模様だ。
 他に経理ミスも見つかり、所得隠しを含めた申告漏れ総額は2億円超に上るとみられる。重加算税を含めた追徴税額は約8000万円。同社は既に修正申告を済ませ、納税したという。
 関係者によると、問題を指摘されたのは、竹中土木が12〜13年に費用計上した関西方面での土木工事に関わる外注費。工事台帳や請求書などから外注した内容が明らかな正規支出とは別に、一部で支出先や目的が不明だったり業務に関係あるかはっきりしなかったりする支出があることが税務調査で分かった。
 不明瞭な支出の資金は、工事の現場ごとに経費の中に架空の外注費を計上することで工面し地元対策に充てていたとみられるが、竹中土木は支出先などを明らかにしなかったという。同国税局はこうした業界特有ともいえる裏金作りについて、仮装・隠蔽(いんぺい)を伴う悪質な所得隠しに当たると判断した模様だ。
 竹中土木は、大手ゼネコン「竹中工務店」(大阪市中央区)の子会社で1941年設立。資本金70億円、14年度の売上高772億円。毎日新聞の取材に対し、竹中土木管理本部総務部は「国税当局と一部見解の相違もあったが、修正申告を行い納付した」と回答した。【太田誠一】
○ことば「使途秘匿金」
 法人による金銭の支出や資産の引き渡しのうち、相当な理由がなく相手方の名称や所在地などを帳簿に記載していないもの。支出先を記載していても実際の支出先でなければ同様に使途秘匿金と認定される。税額は通常の法人税に加えて、制裁として支出額の40%を上乗せして算定される。政治家へのヤミ献金やリベートなど違法な支出につながりやすいため、ゼネコン汚職事件(1993〜94年)を機に導入された。
**********

■「ジオタイザー」についても調べてみました。国土交通省HPの「NETIS:新技術情報提供システム」の中で、「技術名称:ジオタイザーによる軟弱度改良」として紹介されています。
http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Search/NtDetail1.asp?REG_NO=KT-150041
20160122_netis_newtechnologyinformationsystem_geotizer.pdf

 この中に開発年:2014、登録年月日:2015.08.11という記載があり、開発会社は新日鉄住金㈱の設備・保全技術センター土木建築技術部です。したがって、毎日新聞の報じているように、土地開発事業の現場に持ち込まれたのが、登録年月日よりも2年以上前だということになると、明らかに奥村組と竹中土木のJVと、新日鐵住金との間で、密約があったものと考えられます。

 しかも、現在もなお、このジオタイザーと称する胡散臭いスラグは「事後評価未実施技術」とされており、直轄工事等にて活用された後の「試行実証評価」及び「活用効果評価」が実施されていない技術という分類に位置づけられています。

 ゼネコン側にとっては、逆有償付きのサンパイ・スラグを土木資材として使うことによりコストを低減でき、新日鐵住金側にとっては、サンパイの処理費用が大幅に節約できるというメリットがあったはずです。

■スラグ(鉱滓)はそもそも産業廃棄物です。とくに鉄鋼業界から製鉄・製鋼の副産物として排出される鉄鋼スラグは、膨大な量に上ります。これまでは、有害性がないことを確認した上で、主に沿岸の埋立てに使用されてきました。しかし、排出側にとっては、スラグ等サンパイの処理には、安全・安心に処理しようとすればするほどコストが嵩むため、少しでもコストを減らし、あわよくば付加価値を付けて、安くても有償で引き取ってもられば、それに越したことは有りません。

 一方で、サンパイを大量に処理する場合、もっとも手頃なのは造成工事に紛れて不法投棄をする方法です。県土の至る所が今やサンパイ埋立場と化しつつある群馬県では、以前から「サンパイのトライアングル」と称して、次の3者関係が取りざたされてきました。
①「埼玉県の農地の下に賦存する砂利」
②「首都圏の土建工事から生ずる廃棄物」
③「群馬県の山林に賦存する山土」

 これは、①を首都圏の土建工事用の資材として利用し、砂利掘削後に農地にぽっかり空いた穴に③から持ってきた山土を搬入し、③で山土を掘り取った跡を掘るために、、②の首都圏の土建工事から排出される廃棄物を、群馬県に持ち人で不法投棄するという構図です。

 今回の千葉県袖ケ浦市での大規模土地開発事業を巡る約24万トンものスラグの不法投棄問題は、大同有毒・危険スラグ不法投棄問題にも大きく影響をあたえる予感がいたします。事件の類似性に注目して、引き続き関心を寄せ続けて参ります。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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