両親も兄弟も人間にドーンとやられて、ひとりぼっちになったつきのわぐま。
強いから泣くまねなんかしないよといいながらも、胸の中を風がふいているようで、さびしかったくまは
「どなたか音楽をおしえてください。お礼はたくさんします。」
こんな張り紙をします。
やってきたのは北風。
一週間後やってきたのは北風のおかみさん。
さらその一週間後やってきたのは北風の少女。
北風のお父さんからトランペット、お母さんからバイオリンを教えてもらおうと思いますが、どちらもうまくいきません。
三番目にやってきた少女に、お礼はなにもないというくまに、少女はハンカチをとりだし、50数えるとホットケーキの材料があらわれます。
ホットケーキを食べながら、北風の少女は、いいます。
「雪は、ほと、ほと、って歌いながらおちてくるのよ」
「風にだって雨にだって歌があるわ。木の葉だって、花だって歌をもっているわ」
この少女がいってしまうと、さびしい自分になってしまうと思いながら少女に声をかけようとするくまでしたが・・・・。
少女が立ち去ったあと、椅子の上には、青いハンカチがありました。
また来たときハンカチを返そうと、しまい場所を、さんざん考えたすえに、自分の耳のなかのしまうことにしました。
するとふしぎな音楽がきこえてきます。雪の音でした。
”死”という言葉を使わないで、”ドーンとやられて”とあると、なぜかもっと悲しい感じになります。
北風は青い馬にのってやってくるのですが、つい最近見た絵本のなかに、青い馬があって親近感がありました。
多分、素敵なハンカチは、北風の贈り物だったのかもしれません。
くまの気持ちには北風、青い馬がぴったりしています。南風や東風だったら、また別の物語になりそうです。
独特の擬音語も安房さんが初期のころから使用していたのがわかりますが、読みながら宮沢賢治の世界と重なるようにも感じました。
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