最悪の5235億円赤字 健保組合、全体の8割 景気悪化で保険料収入減
2010年9月13日 提供:共同通信社
大企業の会社員らが加入する健康保険組合の全国組織、健康保険組合連合会(健保連)は10日、2009年度の決算見込みを発表した。1473組合(10年3月末現在)全体で過去最悪の5235億円の赤字となり、赤字組合数は08年度の69%から80%の1184に大幅に増えた。赤字は2年連続。
景気悪化で加入者の給与がダウン、それに伴い保険料収入が減ったことが主な要因。健保連は10年度も6935億円の赤字を見込んでおり、加入者の保険料アップにつながる可能性もある。
健保組合の決算は03~07年度は黒字だったが、08年度の後期高齢者医療制度の導入に伴い、高齢者医療への拠出金負担が増加。08年度も3189億円の赤字だったが、09年度は不景気が追い打ちをかけた。
経常支出は08年度からほぼ横ばいの6兆6952億円だったが、経常収入は3%減の6兆1717億円。加入者の給与水準落ち込みに加え、加入者数も08年度比約19万6千人マイナスと、6年ぶりに減少。保険料収入が2265億円減った。
高齢者医療への拠出金が保険料収入に占める割合は、08年度の44%から46%に増え、保険料のうち半分近くが加入者ではなく、高齢者に回っている計算だ。
平均保険料率(労使分担)は7・45%で、08年度から0・07ポイント上昇。財政悪化などで23組合が09年度中に解散した。
※健康保険組合
従業員700人以上の企業や、3千人以上となる同業種の複数企業などによって設立される公的医療保険。2009年度現在、加入者本人約1585万人と扶養家族1398万人の計約2983万人が加入する。組合数は1992年度の1827をピークに減少しており、近年は財政悪化などで解散する組合が増えている。ほかの公的医療保険としては、中小企業の従業員らが入る全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業者らが入る国民健康保険などがある。