【山梨】唾液の遺伝子情報を分析 道志村、健康管理に生かす
地域 2015年10月6日 (火)配信山梨日日新聞
住民の唾液から得た遺伝子情報を基に、病気のリスクや体質を調べて健康づくりに生かそうという試みが、道志村内で始まった。計画を進めているのは元村職員の山口則之さん(59)。村民を無償で検査して本人の健康維持に役立てつつ、遺伝子研究にもデータを活用する構想を県外の研究者に持ち掛け、実現にこぎつけた。遺伝子検査を地域の健康づくりに生かす試みは珍しいという。だが、遺伝子検査に対しては予期せぬ重篤な病気リスクが見つかることへの不安や、情報提供への抵抗感もあり、こうした活動が各地に波及するか、試金石になりそうだ。〈仲沢篤志〉
山口さんは2009年3月まで村役場に勤務。介護保険など主に福祉分野を担当していたが、高齢者が負担する介護保険料が年々増加している村の現状を踏まえ「民間の立場で、介護が必要になる前の健康づくりを後押ししたい」との思いを募らせ、退職を決意したという。
山口さんは約2年前、山口大客員教授で遺伝子研究に携わる並木幸久さんと知り合い、道志村での調査を提案。構想を具体化させるため、昨年12月に一般社団法人「山梨健康DNA情報バンク」を設立した。
計画では村民から協力者を募り、唾液の提供を受け、遺伝子情報を検査。遺伝子の配列をこれまでの遺伝子研究の結果と照らし合わせ、生活習慣病、糖尿病、高血圧などへのなりやすさや体質を分析する。協力者にはデータを報告、同法人の理事を務める東京女子医大病院の大屋純子医師が病気の予防法や生活習慣についてアドバイスするという。
目標とする協力者数は村民の55%に当たる千人。検査は企業などの支援を受けて実施するため、村民の負担は生じないという。データベース化した遺伝子情報は、病気のかかりやすさなどの傾向をつかむための研究に利用する予定で、並木さんは「道志村で特徴的な体質や症状などがあれば、より詳しく研究していきたい」と話す。
7月に初めての説明会を開き、並木さんが計画の概要を説明した。協力者を集め、年内には遺伝子検査を本格的に始めたい考え。
遺伝子検査をめぐっては、民間でサービスを提供する動きが出ており、さまざまな病気リスクの予測が期待される半面、予期せぬ重篤なリスクが見つかった場合の本人や家族に与える影響の大きさを危惧する声がある。また遺伝子情報を提供することへの抵抗感も指摘されている。
山口さんは「自分の体の状態を知り、予防に関する知識を得ることは、必ず自分の健康につながる。心配もあると思うが、村民には十分な説明をしていきたい。情報は遺伝子データと氏名が結びつかないよう、何重にも暗号化して管理していく」と話している。
地域 2015年10月6日 (火)配信山梨日日新聞
住民の唾液から得た遺伝子情報を基に、病気のリスクや体質を調べて健康づくりに生かそうという試みが、道志村内で始まった。計画を進めているのは元村職員の山口則之さん(59)。村民を無償で検査して本人の健康維持に役立てつつ、遺伝子研究にもデータを活用する構想を県外の研究者に持ち掛け、実現にこぎつけた。遺伝子検査を地域の健康づくりに生かす試みは珍しいという。だが、遺伝子検査に対しては予期せぬ重篤な病気リスクが見つかることへの不安や、情報提供への抵抗感もあり、こうした活動が各地に波及するか、試金石になりそうだ。〈仲沢篤志〉
山口さんは2009年3月まで村役場に勤務。介護保険など主に福祉分野を担当していたが、高齢者が負担する介護保険料が年々増加している村の現状を踏まえ「民間の立場で、介護が必要になる前の健康づくりを後押ししたい」との思いを募らせ、退職を決意したという。
山口さんは約2年前、山口大客員教授で遺伝子研究に携わる並木幸久さんと知り合い、道志村での調査を提案。構想を具体化させるため、昨年12月に一般社団法人「山梨健康DNA情報バンク」を設立した。
計画では村民から協力者を募り、唾液の提供を受け、遺伝子情報を検査。遺伝子の配列をこれまでの遺伝子研究の結果と照らし合わせ、生活習慣病、糖尿病、高血圧などへのなりやすさや体質を分析する。協力者にはデータを報告、同法人の理事を務める東京女子医大病院の大屋純子医師が病気の予防法や生活習慣についてアドバイスするという。
目標とする協力者数は村民の55%に当たる千人。検査は企業などの支援を受けて実施するため、村民の負担は生じないという。データベース化した遺伝子情報は、病気のかかりやすさなどの傾向をつかむための研究に利用する予定で、並木さんは「道志村で特徴的な体質や症状などがあれば、より詳しく研究していきたい」と話す。
7月に初めての説明会を開き、並木さんが計画の概要を説明した。協力者を集め、年内には遺伝子検査を本格的に始めたい考え。
遺伝子検査をめぐっては、民間でサービスを提供する動きが出ており、さまざまな病気リスクの予測が期待される半面、予期せぬ重篤なリスクが見つかった場合の本人や家族に与える影響の大きさを危惧する声がある。また遺伝子情報を提供することへの抵抗感も指摘されている。
山口さんは「自分の体の状態を知り、予防に関する知識を得ることは、必ず自分の健康につながる。心配もあると思うが、村民には十分な説明をしていきたい。情報は遺伝子データと氏名が結びつかないよう、何重にも暗号化して管理していく」と話している。