政権一転、改善へ意欲強調 ブログ「保育園落ちた」共感広がる
行政・政治 2016年3月9日 (水)配信朝日新聞
「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが、政府・与党に波紋を広げている。政権幹部は当初、「議論しようがない」などと受け流していたが、ネット上でブログに共感する声が広がると一転して待機児童への政府対応を強調。世論の大勢が政権批判に転じないよう、神経をとがらせている。
「ブログを読ませていただきました。共鳴を呼んで広がっているのは承知しています」。加藤勝信・1億総活躍相は8日の閣議後の記者会見でそう語り、待機児童の受け皿拡充に取り組む考えを強調した。石破茂・地方創生相も「(ブログに)刺激的な表現が使われている。そこまで言う状況になぜ陥ったのか、虚心に分析しないといけない」と述べた。
ブログの内容は2月29日の衆院予算委員会で民主党の山尾志桜里氏が取り上げた。安倍晋三首相に「社会が抱える問題を浮き彫りにしている」とただすと、首相は「実際に起こっているのか確認しようがない。これ以上議論しようがない」と突き放した。議員席からは「ちゃんと(ブログを書いた)本人を出せ」などとヤジも飛んだ。
これに反発した市民らが、「保育制度の充実は必要」とする署名活動をネット上で開始。近く数万人規模の署名を山尾氏に提出する。今月5日には「保育園落ちたの私だ」と書いた紙を掲げた母親ら約30人が国会前に集結し、抗議の声を上げた。こうした動きに野党も呼応し、政権批判のボルテージを上げる。
政府内からは「保育とか介護の批判は分かりやすい」(官邸幹部)と、懸念する声が浮上。首相は7日の参院予算委で再びブログに対する受け止め方を問われ、「受け皿作りは、政権交代前の倍のスピードで進めている」と、政府の取り組みに理解を求めた。
昨年、安全保障関連法案への国会前での抗議活動がインターネットなどを通じて広まったことから、政権幹部はネットで世論に火がつくことを警戒する。自民党の谷垣禎一幹事長は8日の記者会見で、待機児童対策の重要性を指摘した上でこう語った。「ネットを利用した社会運動がずいぶん出てきている。情報手段と世論の喚起の仕方、政治、社会運動のあり方も変化している。十分意識しなければならない」
(石井潤一郎、高橋健次郎)
◆キーワード
<「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログ> 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが投稿されたのは2月15日。「一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」「(議員が)不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ」などと、入所選考に落ちた怒りがつづられた。フェイスブックで共感を表す「いいね!」が押された件数は4万6千件を超え、同じ趣旨の投稿が相次ぎ、ツイッターなどでも議論が広がった
行政・政治 2016年3月9日 (水)配信朝日新聞
「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが、政府・与党に波紋を広げている。政権幹部は当初、「議論しようがない」などと受け流していたが、ネット上でブログに共感する声が広がると一転して待機児童への政府対応を強調。世論の大勢が政権批判に転じないよう、神経をとがらせている。
「ブログを読ませていただきました。共鳴を呼んで広がっているのは承知しています」。加藤勝信・1億総活躍相は8日の閣議後の記者会見でそう語り、待機児童の受け皿拡充に取り組む考えを強調した。石破茂・地方創生相も「(ブログに)刺激的な表現が使われている。そこまで言う状況になぜ陥ったのか、虚心に分析しないといけない」と述べた。
ブログの内容は2月29日の衆院予算委員会で民主党の山尾志桜里氏が取り上げた。安倍晋三首相に「社会が抱える問題を浮き彫りにしている」とただすと、首相は「実際に起こっているのか確認しようがない。これ以上議論しようがない」と突き放した。議員席からは「ちゃんと(ブログを書いた)本人を出せ」などとヤジも飛んだ。
これに反発した市民らが、「保育制度の充実は必要」とする署名活動をネット上で開始。近く数万人規模の署名を山尾氏に提出する。今月5日には「保育園落ちたの私だ」と書いた紙を掲げた母親ら約30人が国会前に集結し、抗議の声を上げた。こうした動きに野党も呼応し、政権批判のボルテージを上げる。
政府内からは「保育とか介護の批判は分かりやすい」(官邸幹部)と、懸念する声が浮上。首相は7日の参院予算委で再びブログに対する受け止め方を問われ、「受け皿作りは、政権交代前の倍のスピードで進めている」と、政府の取り組みに理解を求めた。
昨年、安全保障関連法案への国会前での抗議活動がインターネットなどを通じて広まったことから、政権幹部はネットで世論に火がつくことを警戒する。自民党の谷垣禎一幹事長は8日の記者会見で、待機児童対策の重要性を指摘した上でこう語った。「ネットを利用した社会運動がずいぶん出てきている。情報手段と世論の喚起の仕方、政治、社会運動のあり方も変化している。十分意識しなければならない」
(石井潤一郎、高橋健次郎)
◆キーワード
<「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログ> 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが投稿されたのは2月15日。「一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」「(議員が)不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ」などと、入所選考に落ちた怒りがつづられた。フェイスブックで共感を表す「いいね!」が押された件数は4万6千件を超え、同じ趣旨の投稿が相次ぎ、ツイッターなどでも議論が広がった