自宅療養者6千人超 1カ月で5・7倍に 感染者増、宿泊施設逼迫
新型コロナウイルスの感染拡大で、入院やホテルなどではなく自宅で療養する人が2日時点で6271人に上り、約1カ月前の1096人から約5・7倍となったことが6日、厚生労働省のまとめで分かった。その1週間前の11月25日時点と比べても全国で1281人増え、福岡県では約3倍、埼玉県でも約1・8倍に膨れあがった。
厚労省は病床逼迫(ひっぱく)を回避するため、軽症や無症状の人は自治体が用意した宿泊施設での療養を原則としている。感染者急増に宿泊施設も逼迫、確保が追い付いていない実態が浮き彫りになった。
自宅療養を巡っては、4月に埼玉県で自宅待機中の男性2人が相次いで死亡し、急変リスクが課題となっている。家庭内感染につながり、感染者急増の一因となっており、対策が急務だ。
今月2日時点の厚労省のまとめを都道府県別でみると、最多は大阪の1700人。次いで東京1050人、愛知954人、神奈川704人の順。1週間前と比べ増加したのは茨城、沖縄など16都府県。100人以上増えたのは多い順に大阪(451人)、神奈川(269人)、東京(209人)、埼玉(158人)と続く。
一方、11月以降増加していた宿泊療養者は今月2日時点で3694人で、1週間前の4278人から減少に転じた。ただ、全国的に感染拡大は続いており、再び増加する恐れがある。
厚労省は8月、宿泊施設の確保が間に合わない自治体が相次いだことを受け、無症状や軽症の人は原則宿泊施設との方針を緩和し、「1人暮らしで自立生活ができる」といった条件に当てはまれば自宅療養も可能とした。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は11月、病床逼迫の恐れがあるステージ3(感染急増)相当の地域では、高齢者でも比較的症状が軽ければ、宿泊施設や自宅でも療養とするよう政府に提言している。
※自宅療養
新型コロナウイルスの感染者に対応できる医療体制は十分ではない。このため厚生労働省は、病院への入院は重症者を中心とし、軽症者や無症状者は宿泊施設での療養を原則としている。宿泊施設も足りない場合は自宅療養も可能。自宅や宿泊施設での療養中に急変する恐れもあるため、厚労省は「胸の痛み」「脈がとぶ」といった症状に注意するよう呼び掛けている。