新型コロナ GoTo8ホテル「集団感染」 従業員と旅行者5人以上 昨年10月28日まで
地域 2021年1月23日 (土)配信毎日新聞社
政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」でGoTo客を受け入れていた宿泊施設のうち、少なくとも延べ8軒のホテルや旅館で、従業員や旅行者ら5人以上の感染が確認されていたことが観光庁への情報公開請求で判明した。2人以上の感染者が出た宿泊施設を含めると延べ28軒にのぼる。同事業に登録した施設側の感染の内訳が分かったのは初めて。
GoToは観光庁から運営業務の委託を受けた「ツーリズム産業共同提案体」が事務局を組織して予算の執行を管理している。毎日新聞は昨年10月28日、観光庁に「ツーリズム産業共同提案体から報告があった感染者に関する文書」を情報公開請求。GoToが始まってから同日までのデータ(A4判59枚)が1月13日に開示された。
公開された文書のタイトルは「新型コロナウイルス感染症に関する報告様式」で、GoToに登録した宿泊施設などが事務局に報告した感染者が一覧表になっていた。ホテルの施設名などは黒塗りだったが、施設内における感染者数や、従業員か旅行者(GoToを利用していない人を含む)など感染した人の属性、濃厚接触者数などが明らかにされた。
文書によると、5人以上の感染者が出たのは、沖縄県や大阪府、千葉県などにある宿泊施設だった。千葉県の宿泊施設は昨年8月25日、同26日、同29日、9月8日に旅行者6人、従業員7人の計13人が感染したと報告。新潟県の施設でも旅行者7人と従業員4人、大阪府の宿泊施設では従業員5人から陽性反応が出たことが確認された。沖縄県のある施設では従業員10人が感染したと報告があった。
一方、2人以上の感染が確認されたのは東京都や沖縄県、大阪府などにある宿泊施設で、延べ28施設あった。
データはいずれも10月28日までのもの。GoToが全国で一時停止となったのは12月28日のため、集団感染の疑いがあるケースはさらに増える可能性がある。
開示文書に記載された感染者の合計は8月4日から10月28日までの計304人。内訳は旅行者181人、従業員121人、確認中など2人だった。旅行者のうちGoToを利用したとみられるのは約80人。観光庁によると、1月14日現在の感染者は従業員401人、GoToを使った旅行者は393人となっている。
多くの宿泊施設で感染が相次いだことについて、観光庁の担当者は「保健所の調査で旅行者からホテル従業員らに直接うつした事例は確認されていない。根拠がないことは変わらない」と強調する。【島田信幸】